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クレイポットでおもてなし、土鍋料理レシピ

梓椒子のローカルレシピ
土鍋料理でおもてなし

弊誌で大人気の企画「梓椒子のローカルレシピ」。今回はローカル鍋の特集です。
材料さえ揃えばどれも手間いらず。おうちにある日本の土鍋で気軽に作ってくださいね!
いつもと一味も二味も違う鍋料理で、家族や友達をもてなして、喜ばせちゃいましょう。



クレイポット・ライス

小さな土鍋でごちそうご飯
香ばしい甘辛タレがやみつきの味




かつてはホテルのレストランで定番だったクレイポット・ライス。最近ではあまり見かけなくなり、寂しい限りです。でも大丈夫、自分で作っても美味しくできるんです。 ウェットマーケットでチャーシューを仕入れておけば、意外とカンタン。小さな土鍋が人数分ないときは、大きな土鍋でどーんと作って“中華風パエリヤ”の感覚で楽しんで。ご飯は必ずタイ米を使用してくださいね。


材料(1人分)

・チャーシュー(ウェットマーケットの焼豚屋で販売)……3切れ
・チャーシャオ(ウェットマーケットの焼豚屋で販売)……3切れ
・白身魚の切り身(シタビラメ、フエフキダイなど)……3切れ
・ムール貝(なくても可)……2個
・青菜(チンゲン菜、ホウレンソウなど)……3株
・シイタケ……3つ
・ネギ……1本
・赤唐辛子……1個
・ニンニク……1個
・塩……少々
・ライトソヤソース……小さじ1 / 2
・ダークソヤソース……大さじ1
・タイ米……茶碗2膳




\ウェットマーケットに行こう!/
マーケットの焼豚屋さんでは、100g単位で切り分けて売っている。いろいろな種類の焼豚があるので、チャレンジしてみよう。




作り方

1、ご飯を炊く
タイ米を洗い、米と水1:1の分量で、炊飯器で炊く。

POINT:
タイ米は若干硬めに炊き上げるのがコツ。




2、下ごしらえ
チャーシューは千切り、チャーシャオは薄切りにする。白身魚は刺身より少し厚めに切る。ムール貝は塩水で洗う。ネギは3cm幅で切り、赤唐辛子とニンニクは縦に細く切る。青菜は水洗いする。シイタケは石突きを取る。


3、炒める
フライパンを温めてサラダオイル大さじ2を入れ、ニンニクを炒める。チャーシュー、チャーシャオ、白身魚、ムール貝、シイタ ケ、ネギ、青菜、赤唐辛子を入れ、水を少量回し入れて炒め煮する。塩、ライトソヤソース、ダークソヤソースで味を調える。

POINT:
炒めるときに少しだけゴマ油を垂らすと風味が増して美味しくなる。土鍋に具材を移すときは汁も入れる。




4、土鍋を火にかける
土鍋に炊きあがったタイ米を入れ、その上に炒めた具材と汁をのせ、火にかける。小さな土鍋なら約3分でパチパチ音がしてきて、汁がなくなったら火を止める。

POINT:
タレが焦げやすいので、焦がさないように注意。






醸豆腐(ヨントウフ)

お好み具材をマーケットに買いに行こう
アツアツが美味しい“客家のおでん”




大きなホーカーには必ずある醸豆腐屋さん。もとは漢民族の一支流「客家」の家庭料理であり、中国どこでも食べられているものではありません。ですが中国各地から人々が集まるシンガポールでは、客家が持ち込んだ醸豆腐が根付き、メジャーな中国系メニューとして親しまれています。
今回はホーカーとはひと味違う、家庭の醸豆腐の作り方をご紹介。梓先生オリジナルの薬味がとっても爽やかで、食欲をそそります。低カロリーなのも嬉しいところ!


材料(5人分)

【具材】
・ローカル茄子……1本
・オクラ……10本
・干豆腐(硬めに作られた豆腐)……5個
・ローカル油揚げ(大白豆卜)……10枚
・白身魚のすり身(すり身状にしてウェットマーケットの醸豆腐屋で販売)……500g
・かまぼこ等(ウェットマーケットの醸豆腐屋で好きなものを選ぶ)……25個
・片栗粉……少々

【スープ】
・乾燥大豆(スーパー、ウェットマーケットの乾物屋で販売)……大さじ3
・ローカルの乾燥シラス(スーパー、ウェットマーケットの乾物屋で販売)……大さじ2
・出汁昆布(日本の昆布)……少量

【薬味】
・赤唐辛子……7本
・新生姜……3かけ
・レモン……1 / 2個
・ライトソヤソース……適量




\ウェットマーケットに行こう!/
鍋の具材がずらりと並んだ醸豆腐屋さん。魚のすり身を加工したものが主流で、中には蟹入り、牛肉入りなどもある。



最近では『アングリーバード』など、キュートなかまぼこも登場し、“キャラ弁”ならぬ“キャラ鍋”でちびっこも大喜び!




作り方

1、下ごしらえ
干豆腐、茄子、オクラ、ローカル油揚げは、中央に切れ目を入れて、スプーンで魚のすり身を詰める。片栗粉を溶いた水を、すり身を入れた表面に塗り、つやを出す。

POINT:
干豆腐とローカル油揚げは四角いものを斜めに二分、茄子は幅1cmで切る。干豆腐はスプーンで中をくり抜き、ローカル油揚げはおいなりさんを作る要領で指で破ると よい。魚のすり身に、豚あるいは鶏の挽肉を加えても美味しい。 2、焼く
フライパンにサラダオイル大さじ2を入れ温め、1の干豆腐、茄子を焼き、軽く焦げ目を付ける。

POINT:
このひと手間によって、ぐっとコクが出て味わい深くなる。




3、煮る
土鍋の1 / 3程度まで水を入れ、大豆と出汁昆布を加えて加熱する。沸騰したら、すべての具材を入れ、8分ほど煮込んだところでシラスを入れ、さらに5分煮る。

POINT:
大豆は事前に水に浸しておく。日本のおでんのように長時間煮込むことはしない。スープは薄味だが、具材から程よい塩分が出て、薬味を付ければちょうどよくなる。




4、薬味を作る
赤唐辛子は洗って乱切りにし、新生姜は皮を剥いて切ってミキサーにかける。レモンの絞り汁を加えてよく混ぜてお皿に盛る。各自ライトソヤソースと合わせて薬味完成。

POINT:
レモンを入れるところが梓先生流。最後に薬味と鍋のスープを混ぜて飲むと美味しい。






海鮮ヤム芋鍋

海の幸どっさり!ぜいたく鍋
とろけるヤム芋に頬っぺた落ちそう




梓先生オリジナルの一品で、お腹と心を満たしてくれる大満足の鍋料理。フツフツ煮立った大きな土鍋をテーブルに置き、さっと蓋を取った瞬間、湧き上がる湯気とともに中身が見えて「オーッ!」と歓声を聞くのが快感で、心の中で「どうだ!」と言ってしまうのだとか。ちなみに歓声を聞くには扇海老と蟹が必須アイテムです。実は食材が豪華に見えるだけで、料理自体はそれほど手間ではありません。煮込む時間も短かめ。薄味なので塩分控えめ、栄養バランスも抜群! 〆に薬味、ご飯、卵を入れて雑炊にしても美味しいですよ。


材料(5人分)

【具材】
・ヤム芋(八つ頭)……高さ15cmくらいのもの1個
・渡り蟹……3匹
・扇海老(アメリカンロブスター)……3匹
・ムール貝……5~6個
・白身魚の切り身(シタビラメ、フエフキダイなど)……200g
・豚肉の三枚肉(バラ肉)……50g
・豆腐(木綿でも絹でも可)……1丁
・ニンニク……5個
・シイタケ……10個
・フクロタケ……缶詰1/2
・白菜……1/4個
・香菜(チャイニーズパセリ)……1束

※春雨を加えると最後にスープになじんで美味しい。
 また、ムール貝ではなく、ハマグリやアサリでもよい。

【スープ】
・粒胡椒……中さじ1
・塩……中さじ1
・ライトソヤソース……大さじ1
・ダークソヤソース……大さじ1
・赤唐辛子……1本

【薬味】
・赤唐辛子……7本
・新生姜……3かけ
・レモン……1/2個
・ライトソヤソース……適量




作り方

1、野菜の下ごしらえ
ヤム芋は皮を剥き5cm幅に切る。白菜は3cm幅に切り、ニンニクは皮を剥いて包丁で潰す。赤唐辛子は斜めに半分に切る。豆腐、豚肉、シイタケは食べやすいサイズに切る。

POINT:
ヤム芋はすぐに火が通り、型崩れしやすいので大きめに切る。




2、魚介の下ごしらえ
渡り蟹はタワシで甲羅をよく洗う。まず足をむしり取り、殻を剥く。ビラビラとしたエラは食べられないので取り除き、半分に切る。扇海老は洗った後、殻を剥き、胴をハサミで半分に切る。

POINT:
殻を取っておくと食べやすいうえ、衛生的。渡り蟹と扇海老ともに卵が付いていたらそのまま使用する。




3、煮る
土鍋に水200ccとニンニクを入れ沸騰させる。ヤムイモを一番下に入れ、次に白菜をヤム芋に被せるように入れる。さらに豚肉、豆腐、シイタケ、フクロタケ、渡り蟹、扇海老を入れ、粒胡椒を散らす。赤唐辛子は離して入れること。具材を水でひたひたにして煮込むため、水が足りなければ水を加える。


4、味付けをする
塩、ライトソヤソースで味付けをして、具材に火が通るまで煮込む。途中で味を見て、薄ければ塩を足し、ダークソヤソースで味を調える。大きな土鍋で20分ほど煮込み、最後に根付きの香菜を入れる。煮込みすぎると、ヤム芋が溶けてしまうので注意。


5、薬味を作る
赤唐辛子は洗って乱切りにし、新生姜は皮を剥いて切ってミキサーにかける。レモンの絞り汁を加えてよく混ぜてお皿に盛る。
各自ライトソヤソースと合わせて薬味完成。(薬味は醸豆腐と同じ)




シンガポールのフルーツ&スイーツ

シンガポール周辺ではだいたい10月から2月前後までが雨季。旧正月ごろに雨季が終わると、暑い日が続くようになります。その強い日差しを浴びて南洋の果物は色付き、5月から旬を迎え、8月までには店頭から姿を消すようになります。今回は、梓先生の大好きなフルーツ6種類を先生のコメント付きでご紹介!



ドリアン(左上)
果物の王様、ドリアン。強烈な匂いを敬遠する人もいて、ホテルや公共の乗り物の持ち込みは禁止! ドリアンの一番美味しい食べ方は、6月前後の旬の時期に屋台で食べること。それも1個を食べるのではなく、何個か買って大勢で味を食べ比べるのだ。まさに利き酒ならぬ利きドリアン。それぞれチーズやクリームのような味わいで微妙に違って楽しい。また、スーパーでもプラスチックに入れて売っており、これを冷凍しておくと、匂いも薄くなり食べやすい。


ランブータン(上中央)
その名はマレー語の「ランプットゥ(=毛髪)」に由来。中国系シンガポール人は「紅毛丹」と言い、やはり紅色の毛が皮を覆っているように見えるからその名が付いたそうだ。両手をひねるようにすると皮は簡単にむける。果汁の多い果物だが、果肉を最後まで食べようと種のまわりを齧ると、種に付いた皮が舌にザラザラとなり後味が悪くなるので気を付けて。


ロンガン(右上)
漢字で書くと「龍眼」。キャッツアイと呼ばれることもある。多くは東南アジア原生植物だが、現在は中国、台湾でも生育。ちょっと指に力を入れると、簡単に皮がむける。中身は白くみずみずしい果肉で、中に大きな種がある。白い果肉を割って種が顔を出すと、種の黒みがかった茶色に果肉と白さが際立ってあたかも龍の眼のように見える。果肉だけの缶詰やドライフルーツもある。


ランサット(左下)
大きなブドウのように房状になっている。球形より少し尖った形をしているのが特徴で、皮はむきやすい。中身はだいたい5房に分かれていて、ひとつずつ種がある(改良品種の場合は種なし)。味は酸味と甘味のバランスが絶妙。ちなみにランサットの木の樹液は、赤痢やサソリの刺し傷の治療に使われ、種は熱冷まし、腸の虫の駆除をするといわれている。


レイシ(広東語でライチ)(左下中央寄り)
中国南部が原産地で、楊貴妃が美容のために愛した果物とか。身はみずみずしく甘く、少し酸味がある。皮の赤みが鮮やかなほど新鮮で、茶色がかったものは熟し過ぎなので、手を出さないほうがよい。


マンゴスチン(右下)
果物のクイーンと言われ、雪のように白い粒、上品な味と香りで、食べた者をたちまち虜にしてしまう。しかし残念なことに皮をむいたとき、本当に満足のいく白い粒が揃うことは10個のうち2 ~ 3個。たいていは黄色いアクや色変わりがあってガッカリ。その部分は食べず、白い身だけを楽しんで。皮は赤紫色で、むくときに汁が衣服に付くとシミになるので注意。しかしこの樹皮には下痢の治療や、高熱を下げる効果もあるそう。


ローカルベーカリーのスイーツ
梓先生が通うウェットマーケットの一角にある「SWEE HENG(瑞興)」というパン屋さんで、ローカルスイーツをゲット。右上から時計回りに、小さな蒸しパン(10個1.50ドル)、タピオカココナッツ・クエ(3個1.20ドル)、ミニマフィン(6個2.50ドル)、スチームケーキ・パンプキン(5個1.80ドル)。値段はお安いけれど、大皿に盛ればゴージャスに!







Special interview

梓 椒子先生
ローカル料理研究家。在星歴40年。義母から学んだシンガポール家庭料理に加え、現地食材を利用したオリジナルレシピの料理教室を主宰している。



~梓先生からひと言~
今回は「土鍋で作れる3 品」を企画してみました。材料購入もそんなに面倒ではなく、日本からのお客様のもてなし料理として最適だと思います。ぜひチャレンジしてみてくださいね!


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