#医療

家庭医の佐藤先生に聞きました!
シンガポールで取り組む赤ちゃんの「補完食(離乳食)」Q&A

日本メディカルケアの佐藤先生に聞きました!
赤ちゃんの「補完食」・当地ならではの食材情報など

※2022年7月1日時点での情報に基づくダイジェストです

初めての赤ちゃん、初めての海外育児…。
周りに相談できる人が少なく︑不安やギモンを抱えているママも多いのでは?
そんな方は、シンガポール歴が長く、幅広い知識を持つ家庭医の佐藤先生にご相談を!
赤ちゃんの「補完食」に関しても、当地ならではの食材情報などを交えながら、一人ひとりに合わせた丁寧なアドバイスをくれますよ。
今回は多くのママが抱える代表的な質問にお答えいただきました。



日本メディカルケア 家庭医
佐藤健一 先生


日本メディカルケア家庭医。日本・シンガポールで家庭医として豊富な経験を持ち、小児から大人まで幅広い年齢の方々のさまざまな疾患の診察を行う。乳幼児健診、子育てへのアドバイス等にも定評がある。

☞「日本メディカルケア」の詳細情報はこちらから




Q1 -「補完食」と「離乳食」って 違うの?

補完食(complementary food)とは、WHO(世界保健機構)が提唱しているもので、成長とともに増える栄養必要量を補うという視点から赤ちゃんの食事を 捉えたものです(下のグラフを参照▼)。

離乳食はどちらかというと母乳から離れるための食事というイメージですが、根本的には補完食と大きく変わりはありませんし、食材の調理方法は同じです。ただ、離乳食のようにグラム単位で食事量や回数を決めるのではなく、補完食は赤ちゃんの成長や発達、食欲によって回数や量をおおまかに調整していきます。
図に記載されている量はあくまでも目安で、それ以上食べてもよほど多くない限りは問題ありません。大切なのは赤ちゃんが大きくなっているか、元気であるかということです。



Q2 – 補完食を進める流れは?

補完食を始めるタイミングを見極めるポイントは主に4つです。

➀ 首がしっかりとすわっている
➁ 5秒以上座っていられる
➂ 哺乳反射が弱くなってきている
➃ 食べ物に興味を示している

\麺類は面倒な下ごしらえナシで美味しく作れて、親子でハッピー/
パスタは塩分
控えめがお勧め


タイミングは赤ちゃんによって変わるので焦らないようにしましょう。
母乳や粉ミルクは今まで通り好きな量を飲ませ、無理に減らす必要はありません
WHOは2歳までは飲んでいてもかまわないと提唱しています。飲ませるタイミングは赤ちゃんの希望に合わせ食事の前でも後でも構いません。ステップとしては、大まかには図2(下▼)のような流れで取り組むことになります。
詳しくはいつでもご相談ください。


*欧米では定番、栄養素がバランスよく含まれた「ライスシリアル」。
お米を粉状にしたもので、粉ミルクや母乳などの液体に混ぜて補完食に



Q3 – 補完食を始めたのですが、 食べ過ぎて吐するなど困っています。

補完食をせっかく始めても、お子さんがいっぱい食べすぎて嘔吐したり、逆に食べ物で遊んで食べてくれないことが多々あると思います。
ですが、補完食を与える際には絶対この量を食べさせないといけないなどのルールはなく、お子さんの様子をしっかり観察しながら進めることがベスト

目安はありますが、あくまでも参考程度で、赤ちゃんの満腹中枢は未発達
お母さんの「直感」を信じ、量を調節するなど柔軟に対応してください。



Q4 – 補完食を3 回食べていれば、食事の量としては十分?

\おやつはバナナやサツマイモ、ヨーグルトなどが◎/


赤ちゃんの胃袋の大きさは体重× 30ml程度と言われていますが、実際にはそれほど食べられず、一度の食事で摂れるエネルギーにはどうしても上限があります
そこで重要となるのがおやつ(補食)になります。
つまり、大人のように小腹を満たすというよりも、赤ちゃんはおやつで不足するエネルギーを補うという目的があることを理解してください。

ある程度カロリーのあるものを1~2回食べ、一日の必要エネルギー量を満たすようにしましょう。



Q5 – シンガポールで補完食を行うときに、気をつけることは?



ご自身で補完食を作る場合、近隣諸国に比べ食品の安全性はある程度保たれているかと思いますが、心配であれば日本からの輸入食材を使用したり、オーガニックの食材を使用することになるかと思います。

一方、日本に比べ海外のベビーフードが比較的豊富に利用できるというのは利 点。これらの製品はエネルギーや必要な栄養素も考えて作られているので有効に活用し、ご自身の負担を減らすようにされてもいいでしょう。

ただ、シンガポールで売られているヨーグルトはLow Fat(つまりエネルギー量が少ない)のものが多いので購入の際は注意してください。
お子さんの状況に合わせたアドバイスも行っています。



Q6 – 補完食を食べると口の周りが赤くなる……これってアレルギー?



必ずしもアレルギーのためとは限りません。口の周りの赤みは、食物や唾液などが付くことで接触性皮膚炎が起こって発生することが大部分です。
この赤みを防ぐには食事前にワセリンなどを多めに塗ることで肌に食物や唾液が付くのを防ぎ、食べ終わったらきれいに拭き取り、きれいにしたあとは薄くワセリンを塗るようにします。
もしそれでも赤みが出る、体の別な場所にも赤みや蕁麻疹が出るなどがあれば、症状の写真を撮って受診されることをお勧めします。





Q7 – SNS などで見かける離乳食がステキ過ぎて、自分が作っている物との差にがっかり。
これでいいのか不安です。



まずお聞きしたいのですが、誰のために離乳食を作っていますか?
見てくれているフォロワーのため?違いますよね。たとえ見た目がイマイチで、遊び食べのせいでぐちゃぐちゃになっていても、目の前にいるお子さんが満足して笑顔になってくれること、それが何物にも代えがたい「いいね!」なのではないでしょうか。

 また、お子さんは食べることで味覚以外にも手や口での触覚、嗅覚、視覚などを総動員して経験を積んでいる途中です。それが大人にはご飯で遊んでいるように見えても子どもにとっては学習の機会でもあります。



Q8 – 子どものことで精一杯で、自分の食事には構う時間がない!
ママの栄養管理はどうすれば?

初めてのことだらけで要領が分からなかったり、離乳食を作ることに時間を取られてしまうと、お母さん自身の食事は疎かになりがちです。
ですが、お母さんがしっかり食事を摂ることはお子さんのためでもあり、自分の健康を保つためにも重要となります。

妊娠希望時・妊娠中・授乳中には鉄、葉酸、ビタミンA の必要量が増えます。
カルシウムは、必要量は変わらないのですが、もともとの摂取量が推奨量の半分程度でしかないので、しっかり摂ることも重要
になります。なので日々の食事に加え、サプリメントも活用しながら補っていきましょう。

また、市販の離乳食などを使用して、自分が休む時間を作ることもお勧めします。妊娠中・妊活中の方は、必要なサプリメントに関して通院先の医師に相談してみてください。


*貧血のあるなしや、食事内容などで変わってくるため、決められた追加量は定められていません



次回ウェビナーのご案内

\参加費無料!/
合同ウェビナー

日本メディカルケア× PARTI
「補完食とママの健康について」

詳細はPARTIのWEBやSNSで告知します

2022年2月25日に行われた合同ウェビナー「大人も子供も要注意!シンガポールの病気セミナー」では、多くの方にご参加いただき、大盛況のうちに終了しました!
次回ウェビナーもぜひご期待ください。

nihon medical care



日本メディカルケア

オーチャードのグレニーグルス総合病院内3階。家庭医の佐藤先生、産婦人科医の鍋島先生ともに在星歴が長く、経験豊富。産前・産後の ケアを担当する助産師の祝迫さんも常駐しています。精密検査や手術が必要な場合も高度医療設備が整う院内の専門医、技師と連携をしてスムーズな治療が可能です。


☞「日本メディカルケア」の詳細情報はこちらから




インタビュー こちらもおすすめ