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ジャパングリーンクリニックの石田医師に聞きました!新型コロナウイルスにまつわる、いま知りたいことQ&A

ジャパングリーンクリニックに聞きました!
いま知りたい、新型コロナウイルスのあれこれ

シンガポール国内での新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進んでいます。
その中できっと不安を抱えている方もいるはず。そんな気持ちを少しでも軽くするため、「ジャパングリーンクリニック(JGH)」の医師に、ワクチンや感染などに関する質問にお答えいただきました。
※2021年4月20日時点での情報に基づくQ&Aです




ジャパングリーンクリニック院長 石田卓医師
日本内科学会認定総合内科専門医・日本呼吸器学会認定呼吸器専門医。北海道大学卒業。福島県立医科大学特任教授、上海グリーンクリニック院長を経て現職。多くの感染症診療の経験がある。SARSコロナウイルス流行の際は厚生省からベトナム・香港に派遣された。新型インフルエンザの発生時は大学病院で対策の中心メンバーとして診療に従事。偶然にも新型コロナウイルス流行前に中国武漢大学で医学生の指導をしたことがある。
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Q1 シンガポールでも変異ウイルスは見つかっていますか?

変異ウイルスは世界中で何種類か見つかっていて、シンガポールでもB.1.1.7(イギリスで最初に見つかった変異ウイルス)が検出されています。しかしシンガポール政府の強い対策のおかげで市中感染として広まってはいませんので、日常の感染対策は今まで通りで十分です。






Q2 医療従事者はすでに新型コロナワクチンを打っているそうですが、副反応はどんなものでしたか?

まず、自分の経験をお話ししますと、注射時にはほとんど痛みはありませんでした。8時間ほど経って接種した場所に腫れと痛みが出てきました。写真のように打った場所が広く腫れ、痛みで2日間ほど左腕を上げるのが少し辛かったです。写真は、ワクチン接種日の夜撮影したもので、矢印の部分が腫れた部位(左腕)。皮膚の色は変化なし。



痛みは2回目接種のほうが強く出ました。症状は3日ほどで自然となくなりました。自分は熱は出ませんでしたが、同僚で38度以上の発熱があった人が何人かいました。また全身倦怠感、眠気、関節痛、腕のしびれ、リンパ節の腫れを自覚した同僚もいましたが、いずれもすぐに軽快しました。

ワクチンによる痛みや熱には解熱鎮痛剤のアセトアミノフェン(商品名はパナドールやバイオジェシックなど)を使うことができますが、使った人は多くないようです。アナフィラキシーと呼ばれる重い副反応が出た人はいませんでした。日本人での副反応の最新の集計は厚生労働省のサイトに掲載されていますので参考にしてください。
☞厚生労働省のサイト




Q3 シンガポールの接種会場の様子はどんな感じですか?ワクチンの種類はどうやって選ぶのですか?

会場によって雰囲気が違うようですが、システマチックに接種が実施されています。多数の係員が配置されていて、安全面に多大な注意が払われています。

注射後からきっちり30分間は観察ブースで待つように告げられ、30分後に副反応がないことを係員が個別に確認してから帰宅になります。多くの係員はフレンドリーで、会場によっては通訳機を使って外国人への問診をしてくれることもあるようです。会場によって扱うワクチンが異なり、1つの会場に2種類のワクチンが混在することはありません。

ファイザーでもモデルナでもワクチンの効果と副反応はほぼ同様ですが、接種間隔は異なります。ちなみにワクチン接種は任意で無料、希望者はサイトから登録します。会場は自分で選ぶことができます。

■会場の一覧: www.vaccine.gov.sg/locations-vcs
■ワクチン登録サイト: https://preregister.vaccine.gov.sg
※4月20日時点では45歳以上の方が登録可能です


下記写真は、ワクチン接種後に渡された証明書です。接種日、ワクチンの種類などが記載されています。※現在は別のフォーマットとなり、自動的にTraceTogetherのアプリにも「接種済」の表示が出るようになりました。






★ 渡航前新型コロナウイルスPCR検査とは?

PCR検査には、症状があってコロナウイルス感染の診断目的に行うものと、無症状の人が海外渡航前に行うPredeparture test (PDT) とがあります。それぞれ実施可能な医療機関(医療機関リストはこちらから☟)が決められています。ちなみに、ジャパングリーンクリニックではPDTのみ実施しています。

出張や帰国など渡航が決まったら、出発前に新型コロナウイルスPCR 検査を受けて陰性証明を提示することが必要です。検査は出発の72時間前~48時間前に受ける こととされていますので、渡航日時が決まり次第、早めに検査を予約しましょう。検査後、陰性証明が送信されて来たら印刷し、出発の際に携帯しましょう。検査の要件と諸手続きは変わることがあるので、最新の情報は渡航先国の大使館のホームページなどでご確認ください。






Q4 急に風邪をひいた場合、クリニックを受診するとPCR検査を受けなければならないのは本当ですか?

本当です。クリニック受診時に、13歳以上で、せき・たん・鼻水などの上気道炎症状を持つ、または発熱がある・味覚がないといったコロナウイルス感染を疑う症状のある患者さんには積極的にPCR検査を実施するよう、すべてのクリニックに対して政府から通達が出ています。患者さんには同時にMC (Medical Certificate、診断書の一種) が発行され、PCRで陰性が判明するまでは外出が禁止されます。



明らかにコロナウイルスによるものでない症状ではPCR検査は不要ですが、医師の診察結果でPCRの必要性が決まりますので、自己判断をしないようにしてください。13歳未満でも医師が必要と認めた場合、PCR検査を受けることができます。PCR検査実施の医療機関への紹介状は即日渡されます。




Q5 エレベーターのボタンや共有のドアノブなどからもコロナウイルスに感染しますか?

コロナウイルスは物体の表面でしばらくの間は感染可能な形で存在しますので、理論的には感染は起こりえます。しかし最近の研究により、その確率は非常に少ないことが分かってきました。エレベーターのボタンや紙幣などからの感染の可能性は極めて低いと思われます。重要なのはよく手洗いをすること、他人と共有するものに触れた手で顔を触らないこと、外ではマスクをすることです。






ジャパングリーンクリニック(JGH)

1983年の開院以来、幅広い医療ニーズに応え、在星邦人の健康を支えてきた日系クリニック。日本人医師団と日本語医師を中心に、子どもから大人まで、そして病気から怪我、医療相談まで対応。院内の施設でX線、超音波、内視鏡、血液・尿の検査、日本仕様の健康診断も受けることができます。広々としたクリニックは、外来診察ロビーと健康診断・予防接種ロビーに分かれ、外来は密を防ぐ予約制。徹底した院内感染対策を行っています。
☞「ジャパングリーンクリニック(JGH)」の詳細情報はこちらから



なお、ジャパングリーンクリニックではWEB(www.japan-green.com.sg)やTwitter(twitter: jghclinic)で、コロナウイルスやシンガポールの医療情報、医師の休診情報を発信しています。



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