#復刻版パルティ

【2000年】復刻版パルティ-面白バックナンバーを振り返り

まだまだモノクロ印刷時代が続きます
懐かしい記事からシンガポール雑学まで

1994年創刊から四半世紀以上にわたり、シンガポールの情報を発信してきたPARTI。
この情報はPARTIの財産!(自分たちで言ってすみません)
独断と偏見で「面白い!」と思う記事をピックアップし、お届けしていきます。
今回は、『2000年』を振り返ります。



2000年は、残念ながら、2月号と10月号の誌面がオフィスに保管がありませんでした。その他の月より、今回は、グルメ情報をピックアップ、皆さんにお届けしたいと思います。
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2000年5月号/Vol.77

まずはじめにご紹介するのは、2000年5月号P.3~11のロングページで掲載されました「ローカルフード大行進」の過去記事です。「他民族が集うシンガポールと食」をテーマに、移民の歴史から紐解き、「シンガポール料理とは?」を解説しています。

さらには、肉骨茶やラクサなどのローカルフードがそれぞれどんな料理なのかをご紹介。知っているようで知らなかったローカルフード情報も多いのでは!?

今回の過去記事を読んでいただき、ぜひ、お近くのホーカーに足を運んで、あなたのお気に入りのローカルフードを見つけてみてくださいね!

※過去記事では、オススメ店の情報もあわせて掲載されていますが、20年前の記事となりますので、WEB掲載については、店舗情報の一部を割愛させていただきます。なお、既に閉店しているお店や移転したお店も含まれますので、店舗情報を閲覧の際には、くれぐれもご留意ください。



☝記事内容

ローカルフード大行進


人のいるところ、食あり。
洋の東西が出会う国シンガポールは、アジアの食の宝庫とも言えるでしょう。

シンガポールの魅力のひとつは「食」。
シンガポールの食べ物と言えば、ルーツを反映して、チャイニーズ、マレー、インディアン、ノニャ、ユーラシアンに大別できます。それぞれの民族料理は、歴史の流れと共に、互いに影響し合い、独自の味を醸し出しました。

シンガポール人は、昔も今も食好き。庶民が集うホーカーセンターやコーヒーショップには、何時でも人の姿が見られます。

今月(2000年5月号)は、シンガポールの食べ物とシンガポール人に評判のお店を満載。楽しいシンガポールの食の旅にご案内しましょう♪




他民族が集うシンガポールと食


移民と食文化
5世紀ごろ、タマセク(Temasek)または海の町(Sea Town)と呼ばれていたシンガポールは、13世紀までには、シンガプーラ(獅子の町)と呼ばれるようになりました。1819年、東インド会社のスタンフォード・ラッフルズ卿が近代シンガポールの建設に着手して以来、急速な発展を遂げたシンガポールには、中国大陸、インド、アラブなどからたくさんの移民がやって来ました。

1824年に実施された人口調査によれば、当時の人口比率は、マレー人が45%、中国人が30%、ブギス人(インドネシア出身)が17%、インド人が7%、その他(欧米人やアラブ人など)が1%でした。

船で中国大陸からやって来た中国系の移民達は、衣類のほかは持ち物が少なかったものの、新天地に根を下ろした後も、故郷の伝統を固守しました。こうして、シンガポールでは今でも、移民のルーツである福建、潮州、広東、海南、客家を始め、北京、上海、四川など中国各地の料理が味わえます。一方で、他民族との生活が深まるにつれ、中華料理にマレー料理やインド料理で使われるスパイスやチリが応用されるようにもなってきました。

マレー料理やインド料理は、他の民族料理と比べ、時代の変化を余り受けず、従来の味を守り続けてきました。
マレー料理は、中近東料理の影響を色濃く受けています。 例えば、マレー版焼き鳥のサテは、中近東のカバブが元祖で、ナシブラニ(タマネギ、レーズン、ナッツ入り黄色いご飯)ではアラブの香辛料を使います。

また、マレー人は歴史的に海岸沿いなど水辺の近くに居住していたため、その料理に魚や海老、カニ、イカなどシーフードを多用するのも特徴の一つ。シンガポール生まれのインド料理と言えば、何と言ってもフィッシュヘッドカレーでしょう。


シンガポール料理って何?
ところで本物の”シンガポール料理”って何なのでしょう?
その代表選手がノニャ・フード。ノニャとは、プラナカンの女性を指します。プラナカンは、中国からの移民が相次いだ19世紀後半から20世紀初頭にかけ、世界貿易の要地として繁栄していたマレーシアのマラッカに、中国人貿易商が居住するようになったのが始まりです。

当時、マラッカ存在の中国人女性は少なかったため、多くの中国人男性はマレー人女性と結婚。そして、彼らの間に生まれた子供は、プラナカン、またはストレーツチャイニーズと呼ばれるようになりました。

プラナカンの人々は、言語、服 食生活など様々な面で、中国とマレーが融合した独自の文化を形成しました。もっとも、プラナカンの男性は1~2代後には、マレー人女性とではなく中国人女性と結婚するようになったため、現代のプラナカンは、人種的にはほぼ100%チャイニーズと言えるそうです。

プラナカンが作るノニャ・フードは、中華料理ともマレー料理とも違う、独自の味と調理方法を有しています。基本的にマレー料理式の下準備を踏襲しており、手間をかけて作る料理が少なくありません。その多くは、中華料理に欠かせない豚肉や干し椎茸に、ココナツミルクや赤唐辛子、ブラチャン(干し海老のペースト)といったマレー料理の素材を組み合わせ、独特の味を生み出しています。

代表的なノニャ・フードとして、ミーシアム(酸味のきいたチリ味スープにビーフンを入れた朝食)、ロジャ(揚げ豆腐、もやし、きゅうり、パイナップルなどに甘辛ソースをかけたサラダ)、オタオタ(バナナの葉でくるんだココナツ入りチリ味魚肉かまぼこ)、ポピア(生春巻きに似た軽食)などがあります。



ローカルフードのご紹介

※店舗情報は、この当時の情報となります

●ポピア
ホーカーセンターやフードコートでもよくみかけますが、ポピアは、薄皮に、砕いたピーナツ、カブの一種(バンクアン、切り干し大根に似た味)、刻みゆで卵、青菜、ダークソース、チリソースなどを巻いて食べるベジタリアンフード。軽食やスナックに最適。




●ミーシアム
元来、ノニャ料理の朝食メニュー。酸味と辛味がきいたピリ辛スープにビーフン、ゆで卵、薄切りかまぼこ、細切り油揚げ、スプリングオニオンが入っています。ライムをかけてサッパリとした味が楽しめます。値段は他のメニューに比べやや安め(2ドル前後)。 どこで食べても、比較的あたりはずれのない安心メニュー。

●ミーゴレン
ミーゴレンはマレー語で「焼きそば」の意味。マレー料理の定番。ライム添えで、香り豊かなメニュー。油っこくなく、ついつい箸が進みます。




●ラクサ
シンガポールのラクサには、「ペナン・ラクサ」と「ラクサ・レマ」の2種類があります。前者はノニャ料理で酸味のきいたトロみの薄いスープ、後者はココナツミルクをふんだんに使ったコクのあるスープが特徴。

どちらかと言えば、「ラクサ・レマ」のお店の方が多いようです。「ラクサ・レマ」はチリが効いていますが、ココナツミルクのマイルドな味がミックスされているため、激辛ではありません。

ラクサと言えば、ラクサ麺(丸太の米粉麺)と 黄色い中華麺が同居しているお店が多いですが、時には短く切ったラクサ麺だけを使用するお店もあり。箸を使わずスプーンだけでいただけます。挽き肉がたっぷり入って、スープのココナツミルクはやや控えめ、あっさりした味です。




●肉骨茶(バクテー)
コショウ、ニンニク、香辛料、ハーブ、しょうゆなどが入ったコクのあるスープと、じっくり煮込んだポークリブが醸し出す絶妙な味のハーモニーを楽しめるのがバクテー。日本人にも受ける味です。テーブル脇でお湯を沸かして、中国茶を楽しみながら食べるのが本来のスタイル。かつて、移住や船舶の難破によりマレー半島に定住するようになった中国人港湾労働者の朝食として食されたと言います。営業時間はお店によって、昼間中心と夜間中心に分かれます。




●醸豆腐(ヨントーフ)
豆腐やかまぼこ、フィッシュボールが入ったヘルシーなヨントーフは、日本人にも人気のあるローカルメニュー。ヨントーフと言えば、好みの具(例:ポークのすり身のせ豆腐、かまぼこ数種類、フィッシュボール、野菜などからチョイス)を選ぶお店が多く、また、ドライとスープの2タイプから選びます。ヨントーフのスープは、小魚と大豆でダシをとったさっぱり味。豆腐の風味が堪能できる、おいしい一品です。




●フィッシュボールヌードル
フィッシュボールヌードルも、お馴染みの麺メニュー。
大抵のフードコートやホーカーにありますが、ここはとにかくフィッシュポールがユニークでおいしい!フィッシュボールは通常のもの(小)とポーク挽き肉入り(大)の2種類。大がお すすめ。プリプリとした柔らかい大きなフィッシュボールの中に、ジューシーで香り豊かなポークが隠れていて、絶妙なコンビネーションが味わえます。細麺のボリュームも結構あって、3ドルでも満足。




●ミートボールミー
ポーク挽き肉で作った肉団子が入ったミートボールミーは、日本人には余り馴染みのないメニューかもしれませんが、シンガポール人食通の間では大人気。ニンニクがたっぷり入ったスープはコクがあって、人気のほどがうかがえます。ミートボールもクセがなく、家族揃って楽しめる味。人気のホーカーでは長時間待つことも覚悟の上、お出かけください!




●ワンタンミー
シンガポール人にも日本人にも人気のある麺メニューの一つがワンタンミー。
ワンタンミーは、ドライとスープから選べます。いずれもゴマ油の香りがほんのりきいていて、スープは特筆に値する味。イカンビリス(小魚)と大豆でダシをとったスープはコクが深くて、自然の甘みが出ている海老入り水餃子(プロウンダンプリング)とグッドマッチ。「おいしい!」 とうなる味です。




●マッシュルーム・ミンチミート・ミー
椎茸と挽き肉を始め、豚肉切り身ワンタン、かまぼこ、フィッシュボール、青菜、海苔、香菜などが同居する、お楽しみ麺。数種類の具を楽しみたい時にピッタリ。麺の種類とドライかスープを選べます。お店により、具や名称がちょっと違う場合も。

●ビーフ・テンドン・ファイアポット
イケア傍のHDB内ホーカーセンターにあるホーカー。ウリは、オリジナルの小鍋料理、ビーフポット。地元紙でも紹介された有名なメニューで、中華風ビーフシチューといったところ。中身は、柔らかく煮込んだ牛肉、テンドン(天井ではありません!腱です)、ポテト、ニンジ ン、パラリと戦った香菜など。 テーブルに持ってきてからポットに火を付けてくれるので、アツアツを食べられます。




●フライド・クェイチャウ
太くて平たい米粉麺のクェイチャウを、ダークカラーのスィート・ソースで炒めたのがフライド・クェイチャウ。具はもやし、かまぼこ、中華ソーセージ、卵、貝など……。ソースは甘いながらも結構ピリ辛。ライムをたっぷりかけてどうぞ。炒めたクェイチャウとサッパリライムがよく合います。ペナン風のダークソースを使わないフライド・クェイチャウもあり。エビともやしの味が活きています。




●ビーフヌードル
牛肉が入ったビーフヌードルは、クェイチャウを使うお店が多いですが、麺をクェイチャウ、福建麺、ビーフンから選べるお店もあり。人気店の秘密は、ずばりスープ!牛の肉や内臓など様々な部位と野菜を豪快にじっくりと茹でてダシをとるスープは、添加物を一切使わず、ほんのりと自然の甘みがにじみでています。
具は、たくさんの牛肉切り身、もやし、スプリングオニオンのほか、牛の腸と腱(けん)の切り身も少し入っています。モツ臭さはありません。




●フライド・ ホッケン・ミー
パルティ読者アンケートでも人気の高かったフライド・ホッケン・ミー。福建風焼きそばで、福建料理に欠かせない福建麺(小麦粉と卵から作る黄色い中太麺)の代表的メニュー。グレービーがたっぷり目のお店と少な目のお店とがあり、それぞれファン層が微妙に違うようです。
具はエビ、イカ、ポーク、もやし、卵、麺は福建麺とビーフンのミックス。大きな中華鍋で豪快に炒めます。火加減とポークストックのさじ加減がおいしさの秘訣。仕上げにダークソースをたくさん入れる店も多い。お好みの分量のチリとライムでさらにおいしく。




●ローミー
ローミーも福建系の麺料理で、ドロリとしたソースに麺と具を入れたもの。 ワンタンミーやフィッシュボールヌードルといった定番ヌードルと比べ、地味な存在で、店舗数も他の麺類より少なめ。具はお店によりまちまちですが、ポーク、白身魚、ゆで卵、もやし、セロリ、香菜など。麺は、福建麺、細めのワンタン麺、ビーフン、クェイチャウの4種類から選べます。麺2種類ミックスもOK。ガーリックやハーブが効いたソースは、見た目が黒くドロリとしていますが、味は重たくなく、意外とあっさり。お好みで刻み赤唐辛子を添えて。




●板麺(バンミー)
板麺はもともと福建系の家庭料理で、手作りの白い麺が特徴。 板麺は、他の麺料理と異なり、麺とスープを一緒に茹でる調理方法で、いつまでもアツアツのまま。とてもサッパリしていて、日本人好みの味です。具は、イカンビリス(乾燥小魚)、卵、ポーク切り身、ポーク挽き肉、青菜。チリディップにつけながらいただきます。




●チキンライス
チキンライスは、日本人に人気の高いローカルメニューのひとつ。
有名店の一つ、このお店は海南風の骨なしチキンライスで、きゅうりのピクルス付き。肉はくせのない味。胸肉か手羽先(チキンウィング)かドラムスティック(脚の下半分)かなど、好みの部位をオーダーできます。このお店は、ローストしていないチキンが専門ですが、お店によっては、ローストチキンもあります。チキンライスのチリソースは、ガーリックがバッチリ効いた味。チキンストックで炊いたご飯もおいしくて、食が進むメニューです。(お店によっては、チキンストック100%でご飯を炊くところも)このほか、人気のチキンライス店と言えば、文東記小吃も有名です。




●ダックライス
ライスは、ダークソースで炊いた茶色いご飯。見た目は濃いめですが薄味でおいしい。肉は骨なしのローストダックで、ダックミートの油ぎったイメージを覆すあっさり味。 スープとゆで卵がついて、ボリュームもたっぷり。




●チャーシューライス
ご飯にチャーシューをのせたチャーシューライスは、シンガポール人に人気のあるローカルフードの一つ。この手のお店は、チャーシューだけでなく、ポークリブやダックライス、チキンライスも売っているところが多いようです。お好みで、チャーシューと他の肉類をオーダーすると、一層バラエティに富んだメニューになります。




●クレイポットライス
土鍋でご飯と具を炊き込んだクレイポットライスは、日本の釜飯を思い出させます。クレイポットライスは、メインとして、チキン&魚、シーフード、ビーフ、フロッグなどから選びます。またそれぞれに、椎茸、チャイニーズソーセージ、スプリングオニオン、オニオンなども入っています。クレイポットライスは油とダークソースを入れて炊き込むお店が多いです。食べる際に、卓上で、さらにお好みの分量のダークソースや油を入れます。




●潮州粥
白身魚がメインの潮州式粥。お粥というより、雑炊に近いメニュー。サッと火を通した魚と赤唐辛子がよく合います。具は魚の他、海苔や青菜など。スープもあっさり味で体調の優れない時でも食べやすい一品。

●キャロットケーキ
ケーキといっても、ここでいうキャロットケーキは、甘いケーキとは違います!
シンガポールでいうキャロットケーキとは、大根もちと卵を炒めたもの。元来朝食メニューでしたが、最近は日中販売しているホーカーも少なくありません。スィー ト・ソースを使ったブラックと、ソースなしのホワイトの二種類。最近は、お店によって小海老やイカなど が入ったものも登場しています。いずれもベジタリアンです。




●フルーツジュース
ホーカーでも味わえるフルーツジュース!特にシンガポールならではのフルーツ、サワサップ、ドリアン、アボカドなどのフレッシュジュースがオススメです。サワサップは健康によく、せきや腹痛、痔に効果があるそうです。アボカドは妊婦さんにも◎。ミックスジュースも豊富で、ドリアン好きならドリアン&アボカドジュースがイチオシ。ドリアンが苦手だったら、サワサップ&ストロベリージュースはいかが。サワサップのさっぱり味と、ストロベリーの豊かな香りがマッチした、満足感いっぱいのジュースです。




\デザート編/
●水晶包
点心にもある、お餅のような柔らかくて半透明の皮に具を包んだスナック=お菓子。中の具材としては、ヤム芋や小豆、黒ゴマやココナツなどの甘いものが主流。お餅感覚でペロリといただけます。

●ライスケーキ
シンガポール人の朝食メニューの一つがライスケーキ。白くてブルンとしたライスケーキの上にタレがかかっています。




●豆花
豆腐のヘルシーデザート。絹ごし豆腐に甘いシロップがかかったもので、初めて聞く方はギョッとなさるかもしれませんが、なかなかおいしい。リクエストすれば、柔らかいピーナツを少しのせてくれます。

●ヤムケーキ
ヤムケーキはゴマ、スプリングオニオン、ソースと一緒に。軽くてついつい手がのびるスナック。ちまきに似たライス・ダンプリング、チーチョンファン、フライドビーフン/ヌードル、フィッシュ/チキン・ポリッジ(粥)もおすすめ。





シンガポール人に人気のホーカーズ

※店舗情報は、この当時の情報となります。



■ Amoy Street Food Centre(Amoy Street)
ビルの1~2階を占める規模の大きいホーカーセンター。シェントンウェイのオフィス街に近いせいか、ランチ時はビジネスマンやOLの姿も。

前述のFired Kway Teow(#01-30)、フィッシュヘッド・ビーフンや焼きそば、ビーフンの香港街珍記(#01-21)、シーフードのQuan Ji (#01-42)、チューシューワンタンミーのBlanco Court Tai Seng Noodle House(#02-136)、チキンライスのMin Kee Chicken Rice(#02-121)、ラクサのShenton Laksa(#02-114)などが有名。

近くにあるMaxwell Road Food Centre (66 Maxwell Rd) も大人気ホーカーですが、改装されるそうです。


■ Tiong Bahru Cooked Food Centre(84A Lim Liak Streel)
シンガポール人に人気の高いホーカーの代表的存在。MRTティオンバル駅から徒歩約10分。ウェットマーケット(生鮮市場)と隣接していて、規模はさほど大きくはありませんが、美味しいお店が自白押し。日本人の姿も見かけられます。

前述のライスケーキ、水晶包、海南チキンライスのほか、フライド・プロウン・ミー(#01-19K)、ローフィッシュポリッジ(魚粥)、ポピア、点心なども有名。マーケット内のかまぼこ屋(Fish Ball 7)も一押し。多彩なかまぼこ(ボール類$1/4~5個、大は40~50セント/1個)がズラリで、圧倒されます。バナナの葉でくるんでいない変わりオタ ($1/5個) も。


■ The Old Airport Road Emporium and Cooked Food Centre(51 Old Airport Road)
イーストコーストの人気ホーカーの一つ。

前述のワンタンミー、ローミー、Whitley Road Big Prawn Noodle(#01-123F)のプロウン・ヌ ードルなどが特に人気。バスSBS16番で、オーチャードから約15分。


■ Kopi Tiam Macpherson Road
今やサマセット(メリディエン・ホテルB1)、ドービーゴート(ニュー・プラザ・シンガプーラ4F)、ブラスバサロードなど、市内にも続々と進出している24時間営業のコピーティアム。

その元祖とも言えるのが、ここマクファーソンロード店。とにかく面積が大きくて、メニューを選ぶのに苦労するほど。おかずの多さで人気の経済飯(ライスはご飯か白粥を選択)を始め、シンガポールの代表的メニューはほぼ全て揃っていて、その他、タイフードや点心などもあります。


■ China Complex Food Centre(335 Smith Street)
チャイナタウンのど真ん中にある古~いホーカーセンター。ノースブリッジ・ロードからスミスストリートに入ったチャイナ・コンプレックスの2階です。地下1階はウェットマーケット (生鮮市場)で、ちょっと変わった肉も売っています。

前述の佳記美食(#02-161)、 薬膳スープのDouble Boiled Soup(#02-145)、クレイポッ トのZhao Ji Clay Pot Rice(#02-054)、お粥の九記粥品(#02-157)、麺のAn Ji (#02-132)、肉団子粥のTian Tian Pork Pomidge(#02-133)などが定評あり。

\編集部コメント/
現在も同じ場所で変わらず営業しているお店は、本当に凄いお店ですよね!コロナ禍を乗り越え、20年以上前からずっと続いているお店となれば、地元シンガポール人の人気がうかがえますね!!これからも美味しいお料理を提供し続けてほしいものです。





2000年5月号/Vol.77

次もグルメネタです。連載「緒津のおすすめシンガポール」のコーナーより2選ご紹介。
1つ目は、2000年5月号P.21に掲載されました「ラーメンのすすめ」。



☝記事内容

緒津のおすすめシンガポール
ラーメンのすすめ

※店舗情報は、この当時の情報となります。

ラーメンは、この国では「ミー」 もしくは、「ヌードル」と呼ばれ、「ラーメン」では通じない。何度か試みたが、誰もわかってくれない。カタカナだけど日本語だったのかな、と思いつつ語源は言語学者に任せ、今回は、シンガポールにおいて食べないと損をするおいしいラーメン、いや、ミーを紹介したい。ついでに行列できる店も少し紹介しよう。


コーヒーハウス、ホーカーへ行こう
シンガポールの風景は、何処へいっても同じようなHDBが立ち並び、必ずHDBの中心にはマーケットがあり、そしてそこを中心にホーカーセンター、コーヒーハウス、イーティングハウスと呼ばれる出店がある。面白いと思うのは、何処のホーカーに行っても、建物と同じように同じ食べ物がある。

例えば、ワンタンミーは、このホーカーでしか食べられないという訳で無く、何処のホーカーに行ってもほとんど同じ味付け、盛り付け、値段で見つけられる。中には、2~3軒同類の店が同じ所にある場合も多い。


先ずは手始めに、近くのホーカーへ
肉入りの『ワンタンミー』、えび入りの『ダンプリングミー』、日本のカマボコよりつるつるっとした触感のボール状の魚肉が入っている『フィッシュボールミー』は、スープが塩味であっさり味

ドライを注文すれば、つゆ無しで、麺には、とろみのある醤油の様なソースとチリソースがついてきて、ダンプリングなどの具は、別の器にスープに入って出てくる。辛いのが苦手な人は、「プーヤオチリ」と言えばチリを抜いてくれる。フィッシュボールミーの場合はチリ抜きだとケチャップ味で、結構うまい。

麺は三種類くらいあるので、指差してこれ!と言えばいい。私のお勧めは、日本流の「シナそば」より細くちぢれている麺。歯ごたえがあっていい。その次は色は黄色いが「キシメン」の様に平べったい麺。(チり抜き等、身に危険があるものは、直ぐその言葉を覚えられるが、麺の名前は一向に覚えられない。ま、指を指せば済むのでいい事にしよう。)

この他、豆腐や卵焼き、しし唐、なすを割って魚肉を入れたものや、いろんな具を自分でかって にどんぶりに選び入れて、店の人に渡すと麺と具を暖めて出してくれる『ヨントーフ』もいい。具を甘ずっぱい梅のソースを漬けて食べると、また変わった味で面白い。

最近私がずっと味の虜になっているのが、『チキンヌードル』。 細く裂いたトリ肉と椎茸が入ったラーメンで、スープはいつも飲みきってしまうくらい、うまい。勿論麺は、細いちりちり麺。ドライでもなかなかいい。

こっそり、この店を教えちゃおう。MRTクレメンティ駅またはバスターミナルから、マーケットを目指して歩いて3分、BLK442のコーヒーハウスにある「阿明雲呑麺」のチキンヌードルをお試しあれ。

バンミー(板麺)というのをご存知だろうか。
これは他のラーメンよりは店が少ないようだ。きっと、麺をその場で手作りしているせいかもしれない。カラカラと、手回しで麺を作っている様子が見られる。麺は四角い板のような形のものから細い麺まで三種類あり、ねっちりした厚手の麺。

一人分のなべにスープと挽肉、麺を大胆に入れて煮込み、できたらドンブリにざーっと分け、これまた大胆にその上に乾燥小魚と乾燥玉ねぎをどっぷりとのっけて出す。とても熱いけど、味はなかなか。
例えばクレメンティのマーケットをはさんだ向こう側のBLK449の中の「福州麺家」。


今月の目玉商品=プロウンミー
エビと豚肉の入ったラーメン『プロウンミー』も、結構日本人に好まれる味で何処のホーカー でも見かけるが、味と具がグーっと違い、ローカルの間で超人気がある店を紹介しちゃおう。

ちょっと小旅行の気分でMRTでカランまで行こう。駅の出口は2つあり、改札を出て右側の出口を出る。交差点の信号機の所まで10歩も歩けば、道路を越した向こうに、「サルタンプロウンミー」と大きく看板が出ているので直ぐ分かる。

ここの具は、大きいエビ(半分に切って数を多く見せかけていない)と骨付きの分厚い肉がど ーんと入っていて、こくのあるスープが、誠にうまい。値段は4ドルと5ドルで、他の店より高 いが、ユルセル!味と量だ(5ドルの方はエビの頭付き)。うまいものの為ならなんのその、と いう方は是非、お試しあれ!の一品。

この店は昼だけで夜はやっていない。昼も品切れになると午後の2時でも閉店してしまう。毎週火曜は休み。店の前に駐車できるが、いつも混んでいる。しかしちょっと待っていれば、空くので待とう。

ひっきりなしに来る客の多さで、この店の人気のほどが知れる。ちなみに、このラーメンには ライムジュースが合う。後味をすっきりさせてくれる。



2000年7月号/Vol.79

引き続き、連載「緒津のおすすめシンガポール」のコーナーより。
2つ目は、2000年7月号P.15に掲載されました「チキンライス考」。



☝記事内容

緒津のおすすめシンガポール
チキンライス考

※店舗情報は、この当時の情報となります。

チキンライスとは
シンガポールで一番おいしいローカルフードは?
日本へ帰ってから恋しくなるシンガポールの食べ物は?

……という質問に必ずあがるのは、『チキンライス』だと思う。在星期間が長ければ長いほど、チキンライスの恋しさ度が高いよう思う。暫くシンガポールを離れここへ戻ってきた人に何食べたい?と聞けば、知人、友人、例外なく、真っ先にチキンライスと答え、その次に、これまた例外無しに、二~と、にんまりする。あの味を思い懐かしむ風だ。

最近初めて来星されたばかりで、チキンライスをご存じないという方のために、ちょっと説明させて頂こう。

ホーカーなどを歩いて、ガラス越しに白色と茶色い色の2種類の鶏肉が、羽根を抜かれて丸裸の形でぶら下がっているのをご覧になった事がおありだろう。(まだなら、ホーカーセンターの探検を強くお勧めします!)

チキンライスは、そのお肉をスライスしてご飯の上にポンと載せただけのもので、外見はいたってシンプルだが、味は、なかなか。鶏肉の白色の方は、パンダンの葉など入れて煮て、煮あがったら直ぐに氷水にさっと入れ、身を引き締めさせたもので、結構ジューシーな食べ応え。 茶色いのはローストしたもので、香ばしくて、脂肪が落ちた分、白いトリよりさっぱりした感じ。

トリニクは勿論、どちらもおいしいのだが、色々考えて、人を魅了してしまうのは、トリニク の下の、このご飯にあるのではないか、という結論に最近達した。というのは、このご飯、なあーんとも香りがよく、味もよく、一度食べたら忘れられない味なのだ。

そこに、赤唐辛子とにんにくを小さい石の臼でたたいたり、すったりして作るチリソースを肉 にかけて、ご飯と一緒に食べればもう癖になってしまう。ご飯の味は、店によって違うが、大概にんにくと鶏を丸ごと煮込んだ汁を使ってご飯を炊くそうで、これがあの味の秘密なのだと納得。

スープは、ご飯と一緒におわんに出されてくる。(このスープ、一人分だと、お椀にひとつ来 るのだが、二人分以上だと大きなボールにまとめて出てくる。家族なら良いけど、それ以外は、ちょっと困るが、ホーカーだし、値段も安いし、ご飯もうまいから、まあいいかと諦めている。)

トリニクを多く注文したい時は、ご飯と肉を別々にも注文できる。ご飯は二人分で、チキンを 三人分などといえば、チキンだけ別盛りで、出てくる。サイドディッシュに茹で卵もあるが、おでんの卵みたいでお勧め。

中国系では、ハイナンニーズのが美味しいというのは、ちまたの定説。マレー系チキンライスは、ご飯の味がちょっと違う。美味と舌鼓を打つのは、六年ぶりに生まれた故郷に帰ってきたチキンライス狂の我が娘で、毎日でもいいと、チキン三昧。安いのは良いけれど、朝起きたら鶏になっているんじゃない、と思うぐらいだ。


チキンライス、行列のできる店
チキンライスは、シンガポー ル中、何処でも見つける事ができる。ホーカーなら、$2.5が相場。しかし、なかでも有名なものをちょっとピックアップすると、値段がぐーんとアップする。

庶民的な所では、バレスチアロード401の文東記。
夜は特に混むので、夕方早めに行くといい。時として、商売熱心すぎるおじさんがいて、チキンライスだけでいいと何回もいうのに、魚は?とか、野菜は?とか、しつこいので、短気な私は、席を立ちかけた。

その途端、チキン好きの家族に服の裾を引っ張られ、またイスに腰掛けた。こんな時は、気にしないで、はっきりと断ればいい。幾分か引きつった顔で、もう一度断った。きっと、この日は混んでいて、隣りの店の縄張りに座ったので、別な料理屋が注文を聞きに来たのだと思う。ここは、ホーカーよりは値段が高いが、肉の厚みからすれば、とてもリーゾナブルだ。

お次はオーチャードロード、マンダリンホテルの中の、コーヒーハウス=チャッターボック ス。ここのは、ホーカーの10倍はするお値段。それに税金も付く。数あるホテルの中でも昔からここのチキンライスはとても有名だ。シンガポーリアンでさえ、うまいよと紹介する人もいる。

味も良いらしいが、庶民の食べ物であるべきチキンライスに、高額をかけるというのは許し難く、従って、今までどんなかなあとは思いつつも、ここのチキンライスを食べてみようという気には、一度もならなかったのである。 が、一応昔から有名だし、だれか、いいスポンサーいないかなあ……。



2000年8月号/Vol.80

2000年最後にご紹介するのは、食べたら動く!ということで……
2000年8月号P.6-10に掲載されました「ネイチャースポット」情報をお届けしたいと思います。現存する公園がほとんどなので、時間があったら、ぜひお出かけしてみてください。



☝記事内容

ネイチャースポット

※この当時の情報となります。

かつては、豊かな森林に囲まれていたシンガポールですが、開発が進むにつれ今日では森林の多くが姿を消しました。でも、現在も自然保護区や自然公園、離島には、豊かな自然がいっぱい。

時には中心部から離れて、ピクニックやバードウォッチング、サイクリングに出かけてみませんか。緑の中を散策したり、サイクリングで汗を流したり、はたまたのんびり寝ころんだり……やっぱり自然は気持ちいいですね。

ひとくちアドバイス

◎楽しく過ごすために、帽子、虫 よけスプレー、かゆみ止めを持っていくと便利です。

◎カフェテリアやドリンクの自動販売機がない公園へ行く時は、飲物もお忘れなく。

◎万一に備えて、携帯電話を持って行く方が無難。ない場合は、始めに公衆電話の位置を確認しておきましょう。自然保護区や各公園には、入り口やお手洗いの近く、または駐車場内に公衆電話があります。

◎ここでは、ファミリー、カップル、友人同士で訪れるのにピッタリな場所を選びました。いずれも、平日は人気(ひとけ)が少ない静かな所ばかり。シンガポールは治安の良い国ですが、女性の人歩きは危険です。お母様と小さいお子様で出かける場合も、お友だち同士誘い合ってどうぞ。




フォート・カニング公園
Fort Canning Park



MRTドービーゴート駅近く、国立博物館・美術館(National Muscum & Art Gallery)の裏手から、リャンコートのリバーバレーロードをはさんだ向かい側まで広がるフォート・カニングの丘。

この丘陵地帯にあるのがフォート・カニング公園です。都心ながら、 緑いっぱい。「フォート・カニング」という名は、東インド会社時代の最後のインド総督、ロード・カニング氏にちなんで付けられました。

フォート・カニングの丘の歴史は、 遠く14世紀のマレー王朝タマセクの時代までさかのぼります。その後、シンガポールに上陸した英国人スタンフォード・ラッフルズが、展望に恵まれたこの地を邸宅に選びました。

後年、この地は軍の要塞として、まず英軍、第二次世界大戦中は日本軍、そしてはシンガポール国軍に使われてきました。

公園の入り口は数カ所ありますが、 ヒル・ストリートから入る道が比較的歩きやすいでしょう。公園の面積は18ヘクタールと広く、フォート・ゲート(砦跡)、スパイスガーデン、バトル・ボックス(英軍の地下極東指令センター:入場有料)、フォート・カニング・センターなどの見所があります。

なお、シンガポールのゴシック建築に大きな影響を与えたと言われる、1846年建設のゴシッ ク・ゲートは2000年7月現在、改修中でした。

フォート・ゲートは、マレーのサルタンが築いた砦跡で、砦は1861年から1926年まであったそうです。第二次世界大戦中は日本軍もこの一帯を軍事利用したとか。ゲートは丘の中でも一際高い地点にひっそりと残っています。

結婚登録所近くにあるスパイスガーデンは、クローブ、バニラ、ナツメグなどスパイスの木や、レモングラスやターメリックといったハーブ類が植えられた庭園。しっとりとした雰囲気が漂う、落ち着いた一角です。

ここは、近代シンガポールの祖スタンフォード・ラッフルズ卿が、1822年に造営した庭園を復元したもの。再三の閉鎖を経て、1859年に着工された植物園(現タングリン)の一部として復活したという複雑な歴史を有します。

庭園の中央に階段があり、頂上近くには、クラマト(Keramat:マレー語で神聖な場所の意)と呼ばれるマレー式建造物があります。ここには棺が安置されていて、この棺は一説には、シン ガポールを統治した最後のマレー王、イスカンダル・シャー王(推定没年1420年)のものと言われています。

棺は、英国がシンガポールに上陸した1819年、フォート・カニングの丘から発掘した遺跡の一つ。シンガポールのマレー統治時代を偲ばせるクラマトは、本来、マレーの伝統的な埋葬地ですが、願い事が叶う幸運の場所としても人気があったそうです(観覧時間:午前7時~午後7時まで)。

バトル・ボックスは、英軍が1939年に建てた防弾設備の整った地下壕。現在は、多数の蝋人形を使って、1942年2月15日のシン ガポール陥落に焦点をあて、同日の地下壕のシーンを再現しています。

まず地下壕の外にある小さめの建物(バトル・ボックスの表示あり)で、モノクロのビデオ(英語)を鑑賞した後、ガイドに伴われて地下へ。中では、イヤホーンの解説付きで、往時そのままの内部を見ることができます。解説は英語と日本語がありますので、日本語希望の場合は、事前に係員に頼みましょう。(ここの係員の方々はとても親切です。)

一部の人形は目や口、首、腕が動くほか、部屋によっては照明や音響効果もあり、それなりにリアル。クライマックスは、地下会議室で1942年2月15日朝、パーシバル英軍司令官らによる秘密会議が開かれ、英軍が降伏を決定する場面。

会議室を見終わったら、戦前から戦中の様子が一別できるパネル展示室へ。出口手前に売店(午前10時~午後6時)があり、書籍、戦時中の復元ポスター、トランプ、Tシャツ、絵はがきなどが販売されています。


シンガポール植物園
Singapore Botanic Gardens



街中で自然を感じたいと思ったら、やっぱりシンガポール植物園(ボタニック・ガーデン)。 総面積は52ヘクタールとかなり広く、虫と鳥のさえずりだけが響く、都心のオアシス。オーチャードからほど近いのに、とても閑静な空間です。在星期間が長い方も、意外とふだんは縁遠いのではないでしょうか。

園内には、二千種を超える多年生植物が生息しています。中でも人気を呼んでいるのがナショナル・オーキッド・ガー デン。開発費500万シンガポールドルを投じて造られ、面積は3ヘクタール。数千の蘭が咲き誇るオーキッドガーデンだけでも、一巡するのに結構時間がかかります。赤ちゃんをつれて、藤棚の下で静かに読書にいそしむ女性の姿も。

ガーデン外の広~い池のほとりに座ると、草の香りに包まれながら、ついウトウトしてしまいます。考え事をしたい時に散歩するのにも最適。

植物園の入り口は、南北にふたつの門があります。南門はオーチャード近くのホーランド・ロード沿い、北門はブキティマ・ロードからエバンス・ロードに入った所に位置しています。北門近辺には、ビジターズ・ センター、カフェ、ショップ(ボタニック・ガーデン・ショップ)が並んでいて便利。ショップは、動植物の本、カード、アクセサリー、Tシャツ、衣類、小物など、お土産品が充実しています。

ドリンクと軽食が揃ったカフェは一休みするのにピッタリ。近くには、趣のある高級フランス料理レストラン「オウ・ジャルディン・レザミ」もあります。かなり人気が高く、ランチ、ディナー共に、だいたい常に予約でいっぱいだそう。このレストランの建物は1920年に建てられたもので、なかなか風情があります。

植物園の歴史は、1819年のスタンフォード・ラッフルズ卿上陸に端を発します。植物学にも造詣が深かったラッフルズ卿は、シンガポー ル上陸後間もない1822年、現在のフォート・カニングの丘に庭園を造営。その後1860年代初頭に、当時はジャングル内のプランテーションの一部で、トラのハンティング場所だった現在地に、植物園が完成しました。

その役割は、時代の流れと共に変化。当初は、多数の植物の経済的価値を促進する役目(つまり育成と輸出販売)を担っていましたが、1970年代ごろからは、市民のレクリエーションの場としての役割が増大。諸設備が拡充されたほか、1972年には園芸学校も設立されました。


ブキ・ティマ自然保護区
Bukit Timah Nature Reserve



総面積164ヘクタールのこの自然保護区は、日本人学校や地元小学校の課外活動に利用された り、ジョガーや外国人ツーリストにも人気があります。シンガポールで最も高い丘(標高164m)を含むこの自然保護区には、街中ではもう見られない豊かな森林が息づいています。

入り口にビジターセンター(午前8時半~午後6時)があり、展示場や売店Nature’s Niche Shop(飲物、スナック、植物関連の書籍、土産品など)が併設されていて便利。

ビジターセンターを左手に見ながら直進すると、坂があります(そこそこの勾配があるので、小学生以上向き)。ルートは全部で4つ。往復の徒歩時間は、最短が約40分、最長が約2時間。全長6kmのサイクリング・ルート(30分~1時間コース)も整備されています。

とにかく木が多い!いかにも南国らしい大木が目を引きます。鳥や昆虫もたくさんいて、にぎやかにさえずる音が絶えません。

この自然保護区の歴史は、1882年にさかのぼります。当時、シンガポール植物園の監督官だったナザニエル・キャントレー氏は、政府からの任を受け森林調査を実施。同氏の提言に基づき、複数の森林保護区が策定され、ブキ・ティマ自然保護区もそのひとつとして1883年に設立されました。

しかしその後、経済開発に伴い、多くの森林保護区が姿を消しました。その中で、ブキ・ティマを含む3つの保護区が、シンガポール植物園管轄の下、動植物を保護する目的で残され、今日に至っています。現在は、約二千種の動植物が、この区域に生息しています。


ブキ・バト・タウン公園
Bukit Batok Town Park

MRTブキ・ゴンパ駅から徒歩で行ける、池を中心とする市民公園。住宅街の中にありながら、「ミ二桂林」と呼ばれる岩が切り立つ池の景観は見事。中国の水墨画を彷彿(ほうふつ)させる風景です。

ここの池は、近くにあるブキ・バト自然公園の池よりも大きく、池のほとりを一周できます。アクセスが便利で通りに面しているので、他の公園に比べ人影が多く、治安面も安心。ちよっと気分を変えてみたい時に、手軽に行ける公園です。


ブキ・バト自然公園
Bukit Batok Nature Park

シンガポール島の西、ブキ・バトにある自然公園。全体的にかなり木がこんもりと茂っていて、涼しくて静かな公園。道の大半が木陰になっていて、歩きやすくなっています。見物(みもの)は、池が面した岩肌の切り立つ絶壁。池自体は広くはなく、よどんだ感じですが、断崖絶壁は一見の価値あり。

木製の遊戯用具がいろいろ備わっているプレイグランドがあり、子供も楽しく遊べます。ただし、このグランドは木陰になっていないので、遊ぶ時は炎天下を避けましょう。




マクリッチー貯水池公園
MacRitchie Reservoir Park



シンガポールには、水を供給する公共事業局(Public Utility Board:PUB) の管轄の下、5つの貯水池公園があります。その中で、最も古い歴史を有するのが、マクリッチー貯水池公 園。他の貯水池公園がいずれも中心部からかなり離れた場所に位置するのに比べ、比較的アクセスが良く、都心部からタクシーを使っても10ドル未満で行けます。アダムロードの日本人会館からもさほど遠くない、休日の家族そろってのピクニックにうってつけの公園です。

面積12ヘクタールのこの公園は、1967年に造られました。広い公園内には、街中ではほとんど見ることのできないリスやサル、トカゲ、ヘビ、昆虫、植物など、いろいろな動植物が生息しています。取材時も、リスやトカゲ、亀、昆虫を目にすることができました。

高台から眺める貯水池は大きく、一見してシンガポールらしからぬ(?) 風景。もっとも、方角によってはHDB(公営住宅)が見えて、「やっぱりシンガポール!」と思ってしまいますが。

園内には鬱蒼(うっそう)としたジャングルもあり、ちょっとした冒険も楽しめます。ジャングル内を歩く時は、道に沿って歩きましょう。木の葉がこんもり堆積した場所は歩かない方が無難。ヘビが昼寝をしているかもしれませんから……。

この公園は、「ここで毎日ジョギングをする」という人もいるほど、ジョガーに人気があります。平日昼間の取材時も、ジョギングに精を出す複数の男性を見かけました。全長4.5kmのクロスカントリーコースや、ネイチャートレイルも用意されています。

池の端にしつらえられた舞台では、日曜の夕方(午後5時~6時)ミニ演奏が開かれることも。 また、園内の静かな一角に、*リム・ポーセン氏の墓があります。ここの周辺は、特にサルが多くいるそうです。朝方行って、ラッキーだったらサル君に出会えるかも。
このほか、ちょっとした軽食とドリンクのあるカフェ「Ritchies Cafe」もあり便利。

*リム・ボーセン (1910~1944):
第二次世界大戦時のレジスタンス。現在も国民的英雄として、シンガポール人なら知らない人はいないほど有名。シンガポールの名門ラッフルズ高校、香港大学卒。戦前は、家業を継いだビジネスマンとして活躍。シンガポール陥落直前にセイロン(当時)へ脱出。英軍特別部隊の下、華人を要員とする抗日部隊を編成、指揮官に。インドやマレーシアのペラ州イポー(華人人口が多い)で抗日ゲリラ活動を支援。密告により日本軍に逮捕され、1カ月の拷問の末、イポーの監獄で死亡。獄中で衰弱しながらも、他の囚人に食べさせようと自らは食事を辞退したという。遺骨は、日本軍の降伏後シンガポールへ移送され、マクリッチー貯水池公園に埋葬された。夫人と3人の子供は逃亡生活を生き延び、終戦後、英国政府から英国陸軍少佐待遇の恩給を支給された。


アッパー・セレター貯水池公園
Upper Seletar Reservoir Park



アッパー・セレターは、シンガポール北部、動物園や蘭園から車で約15分、ゴルフ場に隣接した大きな貯水池です。 1969年、マクリッチー貯水池公園に続いて建設された、面積15ヘクタールの公園。車で夕方早めに出発し、この公園に寄ってからナイトサファリへ行くのもテです。

園内にはらせん階段(合計84段)で昇る展望台があり、貯水池を一望することができます。貯 水池では、パドルボートが楽しめます。入り口近くに、小規模ながら子供用のプレイグランドもあり。園内に長~い舗装道路が整備されているので、ジョギングもOK。

唯一残念なのは、シンガポール国軍の射撃練習場にも隣接していて、時折「バンバン」という音(ウ~ン、銃声なのです)が聞こえてくること。ただし、安全面では全く問題ありません。
このほかの貯水池公園としては、Lower Pierce Reservoir Parkと、Upper Pierce Reservoir Parkがあります。


クランジ貯水池公園
Kranji Reservoir Park



思わず「シンガポールの端に来たな」と感じるほどの北端、ジョホール海峡を挟んでマレーシア・ジョホール州が見える地点に位置します。1979年に設立された、面積9ヘクタールの公園です。

貯水池公園の中で、釣り場がふたつあることで有名。貝も採れるそうですが、潮の干潮時間を地元紙などで調べてから出かけた方が無難。子供用のプレイグランドもあります。


スンゲイ・ブロー自然公園
Sungei Buloh Nature Park



バードウォッチングが楽しめる自然公園。1993年12月、ゴー・チョクトン首相主宰の下、正 式オープンしました。総面積は87へクタールで、かつてはマングローブの群生に覆われていました。

入り口にあるビジター・センターには、コインロッカーやカフェテリア、ドリンク自動販売機、洗面所があります。ビジター・センター内のシアターでは、約10分間のオーディオ・ビジュアル・ショーが行われ、園内の様子が一目でわかるようになっています。

この公園には今もマングローブの木があり、熱帯の動植物が生息しています。シンガポールやオーストラリアには毎年、日本、中国、台湾、シベリアなどから400万から600万羽もの渡り鳥がやって来るそうです。

国内のハイキングコースのあちこちに、バードウォッチング・コーナー(水辺に面した木製の観察窓付き塀)が設けられていて、子供でも見えるように配慮されています。このコーナーには、そこから見える鳥や魚の絵と名前がちゃんと書かれていて、学習にも便利。バードウオッチングをする時は、静かにしず~かに待ちましょう。

道の両側には植物や昆虫が。大トカゲも珍しくありません。注意して歩いてみたら、きっと珍しい鳥や昆虫に出会えますヨ。取材時は、入り口にある蓮が咲き乱れる池に、一瞬ワニかと見まがうほどの大~きなモニターリザード(大トカゲ)が、のんびり泳いでいました!

なお、タクシーを利用する場合、流しのタクシーがほとんど通らないので、帰りは予約またはバス925番の利用をお勧めします。


ウビン島
Pulau Ubin



シンガポール島の沖に、島がいくつあるかご存知ですか。
正解は63。大半は無人島ですが、数少ない人が住む島のひとつがウビン島。今もカンポン(村)の雰囲気に包まれた、豊かな自然に囲まれた島です。休暇を取らずに、都会では味わえない空気を吸いたくなったら、この島まで足を伸ばしてみるのも一考です。

シンガポール島東端のチャンギ・フェリー・ターミナル(といっても小さなボート乗り場)からボートで約8分。そこは車の音がほとんどしない、自然がいっぱいのネイチャーランド。耳をすませば、聞こえるのは虫と鳥の鳴き声だけ。「えっ、ここもシンガポール?」と思ってしまう、タイムスリップしたような(ちょっとおおげさ?)島です。この島の村長さんは、94才になるリム・チャイジューさん。

ここでは、何といってもサイクリングがお勧め。レンタサイクルは3ドルから。二人乗りもOK。釣りやキャンプもできます。主要道路は舗装されていますが、所々、でこぼこしていて、「やっぱりカンポンだなあ~」と感じます。道の分かれ目には必ず標識が出ているので、迷うことはありません。

気の向くままに、フェリーターミナルから進んでいくと、こんもりとした一帯に。蝶々がたくさん舞っています。岩切場は壮観で見応えありますが、網の柵が張り巡らされていて、すき間からしか見られないのがちょっと残念。さらに道を進むと、ムム、サル君らしき姿が!チャンスとばかり、シャッターを切ろうとしたのですが……やっぱりと言うか、素早く草むらの中に隠れてしまいました。

チャンギ~ウビン島間のボートは、乗客が12人集まったら出発するシステム。運航表なるものは存在しません。ラッキーだったらすぐ乗れますが、取材時の行き道は30分待ちました。18ドルでチャーターできるので、人数が揃ったら便利。

※広告は当時のものです

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