#Child Mental Health

【子育て相談Q&A】
子どもが漢字や文章を正しく書けず不安です。学習障害(LD)について教えてください。

子育て相談Q&A

今日の相談
子どもが漢字や文章を正しく書けず不安です。
学習障害(LD)について教えてください。

❶ その子の学びの特性を理解する

学習障害(以下、「LD」と表記)について文部科学省は、「基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである」と定めています。(アメリカ精神医学会によるDSM-5の限局性学習症(SLD)の定義もあります)
例えば、自分の意見の発表は得意だが国語の教科書を読むことが苦手、漢字はすらすら読めるが漢字を正しく書くことが苦手、算数の計算問題は得意だが立体の問題が苦手などです。子どものやる気や頑張りには関係せず、「中枢神経系に何らかの機能障害があると推定される」と文部科学省は定義しています。


特定の能力に困難さがある場合、何よりも大切なのはその子の得意な学び方で学習をサポートし、苦手な学習をフォローしていくことであると考えます。そのためにはその子の学びの特性を知ることが大切です。


まずは学校の先生に相談されながら様子を見守り、お子さんの学びの特性を明らかにするために検査を受けることも一つの選択肢であると考えます。検査にはWISC-IV(知能検査)などが用いられることが多く、学校の先生と検査の結果を共有することで、お子さんに合った配慮・指導・支援を受けることにつながります。また、目の機能や耳の機能など、身体的な問題がないかを明らかにするために、医療との連携も大切です。



❷ その子に合った学び方で学習をサポートし、成長を見守る

LDをLearning Differences(学び方の違い)とする考え方が広まりつつあります。最近は、LDに対する理解やサポートも充実してきました。日本の学校システムで言うと、『通級指導教室』でその子に合った指導や困難を示す能力の改善を目的としたトレーニングを受けられるようになりました。また、合理的配慮が定められ、パソコンやタブレットでの授業内容の記録を認められるケースや、書字障害の場合は入試の際にパソコンでの文字入力が認められるケースも増えてきました。


子どもが特定の能力に対して長い間困難さを抱えてきた場合、子どもの 自尊感情や学習意欲の低下が見られるケースもあり、メンタルケアの必要性 の認識も広まってきたように感じます。


まず、お子さんが漢字や文章を正しく書けない原因や、お子さんの学びの特性を明らかにし、保護者さんのご不安を少しでも取り除かれるようにされてはいかがでしょうか。そして、お子さんに合った学習方法で、お子さんの自信や自己肯定感を育みながら学習に取り組んでいかれ、お子さんが自分らしさを大切に成長されることを願っています。





まとめ

① その子の学びの特性を理解し、その子に合った学習方法でサポートすることが重要
② 通級指導教室や合理的配慮など、LDに対する理解とサポートの活用
③ 子どもの自信や自尊感情を育む学習やメンタルケアも大切





教えてくれたのはこんな人

西河 彩恵子
「子どもと家族の心理相談室 こころん」 臨床心理士・公認心理師。日本の小学校で心理士資格を持つ教員として、担任と特別支援教育コーディネーターや教育相談との兼務を経験。日本臨床心理士会、日本心理臨床学会、日本LD学会、シンガポール心理学会(SPS)の正会員である。

子どもと家族の心理相談室 こころん
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