#Child Raising

【モンテッソーリから学ぶ幸せ育児】
母子分離

母子分離

~心配し過ぎず、ママも覚悟を決めましょう~

「4月からの入園を考えています」という見学者のお名前で新調したばかりの私の手帳は賑やかです。


そんなママたちは「初めて私から離れるのですが、大丈夫でしょうか?」と心配そう。逆に「お母さまは大丈夫ですか?」と尋ねると、涙……。最愛の子どもとの物理的距離ができる寂しさと不安は、子ども以上に母親にとって高い壁。私も思わず貰い泣きしてしまうことすらあります。


いざ、入園!
何が起きるか分からない初めての場所に、信頼していたはずのママに置き去りにされた……。


「ママが買ってくれたカバンと水筒」これだけが僕が前から知っているもの。当園では小さい新入園児の子どもが一日ずっとカバンを背負ったまま、ということがよくあります。通常、幼稚園ではカバン置き場が決まっていますよね。でもそのカバンを奪われたらどんな気持ちになるかと考えると、気が済むまで背負っていたらいい、と私は考えます。慣れれば自分から片付ける日が必ず来るのです。追剥ぎ強盗のようにそれを子どもから奪うと、返って信頼関係を築くのを遠回りさせてしまいます。


子どもは大人が思っているよりもずっと色々なことを理解できます。
「ちょっとお手洗いに行ってくる」など誤魔化してそそくさと去ってはいけません。ちゃんと子どもが分かるように「お仕事をして(モンテッソーリ教育では「遊び=お仕事」)、おやつを食べて、ご飯を食べて、お昼寝をして、起きたらママが来るからね」と話してあげると、一日中、呪文のようにそれをぶつぶつ繰り返し言いながら、頑張り抜くことができるのです。毎日同じことが同じ順番で起きるよう整えてあげると「秩序の敏感期」の子どもは心が落ち着き、信頼関係が築けます。


子どもと母親は想いをお互いに響かせ合っています。もし母親の母子分離への踏ん切りがまだならば、それは子どもに大きな不安や拒絶感を与えます。しっかり幼稚園を選んだら覚悟を決め、我が子を託しましょう。


モンテッソーリ教育では子どもがその他大勢の中の一人、と扱われるのは間違っていると考えます。先生たちは一人ひとりに目をかけ、手をかけ、心を注いで保育に当たります。私たち教育者、そして両親がその子どもをたった一人の大切な存在として受け入れれば、子どもも初めての社会生活へ安心して飛び込んでいく勇気が湧いてくるでしょう。


朝、大泣き大暴れで「ママ大好き!」のラブコールを送った子どもの多くも、母親の姿が見えなくなったら吹っ切れたかのようにお友達と楽しく過ごす、というのはよくあることです。ママは一日中心配しているのに、本人はそれほどでもない、ということです。


とはいえ、私も一人息子の初登園日、私を呼んだ声が今も耳に、心に残っています。あれから20年経ち、とうとうお正月明けに米国へと巣立ってゆきました。子離れできていない私は10日間も寝込みました。頭では分かっていても心は正直です。だっておなかの中にいたときから、私の全てを注いで育ててきたんですから……これがママたちの本音ですよね。




教えてくれたのはこんな人

三杉ももよ
AMIモンテッソーリ乳幼児国際コース卒。
Xaver Universityモンテッソーリ初等教育専攻卒。
日米星で本物の教育を追求し続け30年。
3言語教育実施園 ARTS JUNIOR MONTESSORIPRESCHOOL園長。

Arts Junior Montessori
11 Chang Charn Rd Shriro House #02-02
☎ 6272-1332/9185-8804(日本語可)
Email: artsjuniormontessorijap@gmail.com
www.artsjuniormontessori.com
FB: Arts Junior Montessori

◆ 対象年齢:18か月~6歳
◆ 週2日$900~、週5日$1,200~
◆ 英語・日本語・中国語の3言語環境

2か月からの「乳児クラス」や未就園児「ピカソクラブ」、
小学生のための英語モンテッソーリ放課後クラス「π-club」もあり。
※ピカソクラブ:毎月第3火・木 実施( 教材費+おやつ代 $10)
※π-club:月~金 13:00~19:00、土 7:00~14:00  週2回~週6回/$260~$600

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