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【Women’s Health】
子宮筋腫って大変な病気?-② 薬物療法編

女性の不調・お悩み解決

子宮筋腫って大変な病気?- ② 薬物療法編

前回は子宮筋腫の診断についてお話ししました。
子宮筋腫は数人に一人が持っていて、症状がなければ治療の必要がない、ということでしたね。
では、治療が必要なときはどうすればよいのでしょうか?


子宮筋腫の治療はさまざまな方法があり(下記)、年齡や妊娠を希望するかなどを考慮して方針を決めます。
治療方法は大きく分けると薬物療法と手術療法があり、今回は、お薬を用いる薬物療法を中心に説明しようと思います。


●薬物療法
対症療法: 鎮痛剤、止血剤、鉄剤
内分泌療法:低用量ピル、偽閉経療法
代替療法: 漢方薬、ハーブ

●手術療法 
子宮筋腫核出術:開腹手術、腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術
子宮全摘術:  開腹手術、腟式手術、腹腔鏡下手術

●その他の治療
子宮動脈塞栓術(UAE)、黄体ホルモン放出IUD(ミレーナ®)


薬物療法は大きく分けて、症状を改善する対症療法と、ホルモン剤を用いる内分泌療法があります。


対症療法は、症状を抑えるための治療で、例えば月経痛には鎮痛剤、過多月経には止血剤、貧血には鉄剤など、その症状に応じたお薬を使ってコントロールします。

それに対して、子宮筋腫は女性ホルモンの働きで大きくなるので、ホルモンを下げることによって筋腫自体に働きかけるのが内分泌療法です。内分泌療法にもいくつかの種類があり、最もよく使われるのが低用量ピルです。
これは本来避妊のためのお薬ですが、女性ホルモンを少し低めのところで安定化させるため、月経量が減って貧血も良くなります。
また、本来健康な方が飲むお薬ですので、副作用が少なくて長期間使えるのが利点です。


効果的という意味では、完全に月経を止めて、一時的に閉経状態にするGnRHアナログというお薬もあります(偽閉経療法)。
確かに月経が無くなるので子宮筋腫の症状は無くなり、筋腫の大きさも小さくなりますが、若い方が使うと更年期症状が強く出て半年程度しか使えず、その後また症状が戻ってしまうことが多いので、適応としては、手術までに貧血などの症状を改善したい場合や、閉経が近いので、何とか閉経まで手術をしないで待ちたいとき(逃げ込み療法)などに用います。


また、漢方薬も子宮筋腫の治療に使われることがありますが、シンガポールは漢方薬を使うためには、中医という中国医療専門の資格が必要ですので、希望する場合はクリニックではなく、中医の先生を受診してみてください。


基本的に内分泌療法はホルモンを下げるので、すぐに妊娠をしたい方には対症療法でコントロールするか、手術を考えることになります。

次回は、手術療法について説明いたします。


今月のまとめ

● 治療=手術、ではありません。
● 薬物療法だけでも治療方法はさまざま
● 適切な治療を担当医と相談しましょう




教えてくれたのはこんな人

鍋島 寛志先生
日本メディカルケア院長、産婦人科医。
数千例のお産を取り上げた経験があり、当地でもローカル医とタッグを組んで分娩まで担当。
また乳がんなど、女性特有の病気の知識と経験も豊富。

日本メディカルケア
6A Napier Rd #03-31 Annexe Block Gleneagles Hospital(タングリン側植物園隣り)
☎ 6474-7707/6479-3722(健康診断/オンライン申込可)
受付時間:月~金 9:00~12:00、14:00~17:30 土 9:00~12:00 日祝休
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