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その不調、「ヘイズ」によるものかも

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その不調、「ヘイズ」によるものかも-「ヘイズ」の予防と対策

シンガポールは周りの環境からの影響を受けますが、その一つがヘイズです。ヘイズは3~9月頃の乾季に周辺国で行われる焼き畑によって発生した煙の微粒子が風にのって運ばれてきて発生します。ですので、風向きが変わると急に空が霞んできたり、空が晴れたりということもあります。


空気の汚れ具合の指標は日本では「PM2.5」が有名ですが、シンガポールでは「PSI」という値も使用されています。PSIはヘイズの時期にこの先の予測の目的で使用され、PM2.5の1時間値は今現在の空気汚染度の指標として使用されます。


PSIはPM2.5を含む6種類の微粒子の濃度から算出されるのですが、大部分はPM2.5となっています。PM2.5とPSIの比較は下記の通りです。
● 日本の環境基準である「PM2.5が35以下」は、PSIだと77程度
● 注意喚起レベルである「PM2.5が70」は、PSIだと116程度。


ヘイズによって気管支炎や気管支喘息などの呼吸器系の症状、結膜炎やドライアイ・充血などの眼症状、皮膚の痒みなどの皮膚症状をきたします。咳・痰・鼻水・くしゃみなど花粉症のようなアレルギー症状が出ることもありますし、元々呼吸器系が弱い方は喘息発作のように呼吸が苦しくなることもあります。症状軽減には咳止め薬、抗ヒスタミン薬、呼吸状態に応じて気管支拡張剤、目の刺激症状には目薬、皮膚の刺激には保湿剤を使用します。


シンガポールの家は意外と隙間が多く、屋外の空気が家の中に入ってくることがよくあります。しかし屋内にいてエアコンや空気清浄機を使用することでヘイズの影響を減らすことは可能になるので、呼吸器系の病気がある方や小さいお子さんがおられる方は試してみることをおすすめします。また、ヘイズの微粒子は水溶性ですので、床に落ちた粒子は水拭き用のモップで掃除をすることで除去することができます。気になる方はこまめ水拭きをされるといいでしょう。


マスクについてですが、PM2.5の粒子の大きさは2.5マイクロメートルで、不織布の隙間が5~10マイクロメートルとされていることから用意に通り抜けてしまいますのであまり効果は期待できないと思っていたほうがよいかと思います。


シンガポールの気象庁であるNEAが作成したアプリ「myENV」では天気のみならずPSI値、PM2.5値を確認できるので活用をおすすめします。ただ、数値よりも空のかすみ具合のほうが正確ですので、数値に惑わされないようにしてください。






教えてくれたのはこんな人

佐藤健一 先生
日本メディカルケア家庭医。日本プライマリ・ケア連合学会 専門医・指導医、College of Family Physicians Singapore会員。日本・シンガポールで家庭医として豊富な経験を持ち、小児から大人まで幅広い年齢の方々のさまざまな疾患の診察を行う。乳幼児健診、子育てへのアドバイス等にも定評がある。

日本メディカルケア


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