前回のポイント(仲介手数料②)
● シンガポールでは賃貸も売買も同じ不動産業者が借り手と貸し手、買い主と売り主の両方からいかなる名目でも手数料を取ることを法律で禁止している
● ただし、同じ会社でも資格を持った担当不動産業者が異なる場合はこの限りではない
● 本来、貸し手側の不動産業者から手数料を、借り手側の不動産業者が取れるような場合でも、敢えて貸し手側の不動産業者から取らずに借り手側に支払をお願いすることにより物件情報を多く、また条件を有利に交渉することができるときもある
● 借り手側の不動産業者に手数料を支払う場合にはその業者の信用、取引実績などをよく調べた方がよい
ネットを使った物件検索について
今回はネットを使った物件検索について不動産業者の山田さんがお客さまの佐藤さんに説明します。
佐:「プロパティーグル」(https://www.propertyguru.com.sg)という物件検索のサイトがシンガポールではあると知り合いから聞きましたがどうなのでしょうか?
山:そのサイトは
シンガポールで最も良く利用されているサイトで、一般の人だけでなく我々のような不動産業者も利用しています。
佐:普通、不動産業者さんは業者さん専門のサイトがあるのではないでしょうか?
山:昔はそうでした。ただ、シンガポールや東南アジアの他の国々ではこれまでご説明申し上げておりましたように、日本のように会社単位で仕事をしておらず、個人が完全歩合でその属する会社の名刺を使って業務を行っております。昔はそれでも業者向けのきちんとしたサービスがあったのですが、正確な情報管理の必要性があり費用がかかるものでした。そのため、個人業者がだんだん利用しなくなる一方で、ほとんど情報管理をせずに最初はタダで情報掲載をする(現在は業者から掲載料を取っています)、現在の「プロパティーグル」を利用するようになってきました。
佐:それは私たちのような一般の人も検索できるのでしょうか?
山:できますが、申し上げましたように
きちんと物件情報が管理されておらず、同じ物件を取り扱う別の業者さんがいくつも載せることがあり、情報が重複している場合があります。
佐:なるほど、たくさんあるようで実際には一つか二つしかない、ということもあるのですね。
山:場合によっては同じ物件なのに、
家主さんから依頼されている賃料以下で掲示していたり、別の物件の写真を載せるなど、日本の公正取引委員会(公取)が見たら目をむくようなめちゃくちゃなこともあり得ます。
佐:なぜそのようなことをするのでしょうか?
山:同じ物件なので、少しでも先に連絡を受けて案内しようとするためです。
シンガポールでは同じ物件を先に案内した業者がとりあえずその借りる人との交渉権を取得しますので、案内をしてしまえば後で思ったように賃料が下がらなくても、
借りる人は他の業者さんと交渉することができなくなります。
今回のポイント
ポイント1
●シンガポールでは「プロパティーグル」というサイトによる不動産情報の寡占状況
ポイント2
●「プロパティーグル」は不動産業者も一般の人も利用する
ポイント3
●ただし情報の質がいい加減な場合があり、よく確認しながら利用しないと間違えることがある
ポイント4
●一旦案内を受けてしまうと、その物件については、他の不動産業者に連絡・依頼できなくなるという業界の慣行がある
教えてくれたのはこんな人
高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg