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【佐藤さんの住宅探し】
コロナ感染拡大の影響 ②

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前回のポイント(コロナ感染拡大の影響 ①)

● コロナのような伝染病を理由とする賃貸契約の解除は特殊な条項がない限り一般的に認められない

● ただし、契約締結直後でかなりの残存期間が残っている場合には残存期間全額の支払いでなくとも解約できる法的な根拠はある

● 店舗や事務所のような商業用不動産についての賃料減免措置はあるが、一般住宅についてはそのような措置はない

● そのため、実際には現在の賃料を減免してもらうことは大変難しいが、一部の家主さんはその要請に応じてくれることもある




コロナ感染拡大の影響 ②

前回に引き続き、コロナ感染拡大の影響について不動産仲介業者の山田さんが佐藤さんに説明します。


佐:現在フェーズ2ということで、フェーズ1に比べると規制は緩やかになったようですが、家の見学は可能なのでしょうか?


山:家の見学は可能です。ただし、当局の指導ではソーシャルディスタンスを取り、住宅見学は5人までに限定され、見学中はマスクは当然のこととしてできれば手袋をはめ、みだりに住戸内の物に手を触れてはならない、とされています。


佐:見学する家が1か所であればよいですが、もし見学する住宅が複数の場合には車の移動となりますよね。その場合、どうしたらよいのでしょうか?


山:複数の物件を見学される場合、当局の指導を厳密に守るためには、私どもとは別に行動するか、あるいは同じ車内でも指導によるソーシャルディスタンスを取ることが求められます。


佐:でもタクシーやGrabを利用する場合にはソーシャルディスタンスなんて取れませんが、どうすればよいのでしょうか?


山:そこについては当局は何ら回答をしておらず、指導に混乱が見受けられますが、とりあえずはそのような指導が出ています。


佐:そうすると、一応物件の見学はできるのですね。


山:規制を守り、訪問先で見学者の記録を行えば見学はできます。


佐:見学の後は通常通りの契約手続を行って家を決めていくことになるのですか?


山:家が決まれば通常通りの手続で契約を行うことができますが、以前と違うのは契約書のオリジナルを必ずしも利用せずに、PDFなどコピーで書類のやり取りが可能になっており、オリジナルと同等の効果があると言われています。


佐:なるほど。なるべく人と人が接触しないようにするための一環ですね。ところで、今後の住宅賃料は安くなるのでしょうか?


山:現在、新たに海外からシンガポールにいらしている方々はすでにビザが発給されており、14日の隔離期間の後に家を探して入居しようとしている人たちがちらほらいらっしゃいます。ですが今、ビザを申請してすぐにビザがおりるような状況ではないため、新たにシンガポールにいらっしゃる方の数は限定的です。


佐:ということは、より借り手市場になる、ということでしょうか?


山:一般的にはそうですが、それぞれの家主さんは基本的に個人ですので、皆さんご自身の家には特別の愛着があり、他の物件とは違うと思う方が多く、なかなかすぐに賃料が下がるということではありません。はっきりと下落傾向が出るのにはあと数か月かかるかもしれません。





今回のポイント

ポイント1

● フェーズ2では物件見学は可能

ポイント2

● ただしマスク着用はもちろん、手袋をしてソーシャルディスタンスを保ち、見学物件にはなるべく触れない

ポイント3

● 複数物件の見学中/移動中についてもソーシャルディスタンスが必要

ポイント4

● 新規ビザが下りないため新たな駐在員の数はすぐには増えそうにない

ポイント5

● 賃料は下落傾向と思われるがはっきりするのは数か月先の見通し





教えてくれたのはこんな人

高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。

お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg



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