前回のポイント(コロナ感染拡大の影響 ②)
● フェーズ2では物件見学は可能
● ただしマスク着用はもちろん、手袋をしてソーシャルディスタンスを保ち、見学物件にはなるべく触れない
● 複数物件の見学中/移動中についてもソーシャルディスタンスが必要
● 新規ビザが下りないため新たな駐在員の数はすぐには増えそうにない
● 賃料は下落傾向と思われるがはっきりするのは数か月先の見通し
コロナ感染拡大の影響と今後③ ―賃料
前回に引き続き、コロナ感染拡大の影響について不動産仲介業者の山田さんが佐藤さんに説明します。
佐:今後は賃料が下落するかもしれない、ということですが先行きはどうでしょうか?
山:現時点ではコロナ前かその直後にビザを申請、発給された人たちがSHN(STAY HOME NOTICE)による14日間の隔離を経て順次シンガポールに入ってきており、その隔離完了と同時に住宅を探し始めています。
佐:そうするとその人たちは結構安く住宅を借りられているのでしょうか?
山:いえいえ、従来の4月~6月の転勤シーズンのようにどんどん帰任して、どんどん赴任する、という状況ではなく、
ご紹介できる住宅も少しずつしか賃貸市場に出てきません。
佐:ということは、賃料はまだそれほど下がっていない、ということでしょうか?
山:そうですね、
現状では賃料が安くなった、というような実感はあまりなく、ご紹介できる物件の数もまだそれほど増えているわけではありません。これは推測ですが、現時点では米国、欧州、場合によっては日本などの方がコロナに感染するリスクが高く、シンガポールにとりあえずは留まっていた方が安全なので、母国に帰ろうとしない外国人が結構いるのではないかと思われます。
佐:なるほど、そうすると
しばらくはコロナ前の賃料とそれほど変わらない、ということでしょうか?
山:若干、日本人の流入は進んできているような感じはしますが、日本人に人気のあるような物件がどんどん増えているような状況ではないので、やはり人気物件に空きがでるとわりとすぐに次が決まってしまうような感じです。
佐:そうするとやはり賃料はしばらく下がらないのでしょうか?
山:景気全体の動向は間違いなく不景気に向かっていますので、不景気のなかで賃料だけが下がらない訳がなく、また当然シンガポールから撤退する企業も今後増えてくるものと思われます。このようなことを考えるとやはり賃貸住宅市場もじわじわと不況感が広がり、
少しずつ賃料も下落していくものと思われます。ただ、それぞれの住宅の所有者は個人ですので、事務所賃料と異なり皆が同じ方向を向くということはないので、一気に下がるということは起こりにくいと思います。
今回のポイント
ポイント1
● 現時点での明らかな賃料下落現象は起きてはいない
ポイント2
● シンガポールにいる外国人の滞在が延びている可能性が高いため、新規賃貸住宅の供給が滞っている可能性がある
ポイント3
● そのため人気物件が出るとわりとすぐ決まってしまう
ポイント4
● 長期的には不景気になるのでやがて賃料も下落傾向がはっきりしてくるものと思われる
ポイント5
● 賃貸住宅の所有者が個人であるため傾向が出るのに時間がかかる
教えてくれたのはこんな人
高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg