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【佐藤さんの住宅探し】
エアコンの定期点検③

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前回のポイント(エアコンの定期点検②)

● エアコンメンテナンスの記録は必ず取得し、将来の退去時まで保存しておく

● この記録がないと家主さんからエアコンメンテナンスについて追加費用を要求されることがある

● メンテナンスが家主負担の場合でもテナントがメンテナンス会社に連絡しないとメンテナンスに来てくれないことが多い

● メンテナンスが家主負担の場合、テナントがメンテナンス会社を指定することは当初の条件に入れなくてはならず、そうでない場合は指定することはほぼ不可能




エアコンの定期点検

今回も引き続き、エアコンのメンテナンスについて不動産業者の山田さんが佐藤さんに説明します。


佐:うちもそうですが、よく部屋のエアコンの機械から水が漏れるのですが、これはどうしてでしょうか?


山:日本の場合、エアコンの室外機と本体はほとんど壁を挟んで内外で設置されています。
なのでエアコンによって除湿された水はすぐに排出できる構造です。

一方、シンガポールでは建物の外観を重視するため、エアコンの室外機は本体からかなり離れた場所に設置されており、除湿された水は天井裏で近くの排水口やトイレの壁下に排水するようになっており、その距離が結構あります。
この除湿した水を排水するパイプをドレイン管というのですが、このドレイン管の排水する場所までの距離が長く、ほこり等でこの管が詰まりやすくなっています。
その結果、冷房を使用したときの除湿水が排水できずに逆流して室内機のところから水がボタボタと漏れるということになります。


佐:その場合、うちはすぐにエアコンメンテ会社に連絡をしていますが、それでよいのでしょうか?


山:その通りです。通常3か月に1回のメンテを家主さん、お客さまのいずれかの費用負担で行うことになっていますが、大抵この水漏れはその定期点検の直前に起こることが多いようです。


佐:そのときに業者さんは掃除機のようなもので対応しているようですが、何をしているのですか?


山:あれはお話ししましたように管に詰まっているゴミを吸い出したり、押し出したりして対処しているのです。


佐:そうなんですね。ただ私の知人の家ではこの作業をしてもすぐエアコンから水が漏れるので、エアコンを替えてほしいと言っているそうです。
これはどうなんでしょうか?


山:エアコンの機械がもう15年以上経っているようなものは交換した方がよいかも知れませんが、通常はその前にケミカルウォッシュ(化学洗浄)を行うことにより状態はだいぶ良くなります。


佐:それは何ですか?


山:室内機を壁から外して機械の内部を洗浄剤を利用して洗うことにより、排水部分をより綺麗にします。
この作業をやることでエアコンの冷房機能もより良くなります。


佐:なるほど。その費用はどのくらいかかるのでしょうか?


山:業者によって金額は異なります。また、その費用は家主が全額負担してくれることもありますし、契約によっては例の小修繕条項によりいくらか入居者負担が出ることもあります。




今回のポイント

ポイント1

● エアコンからの水漏れは構造的なもので、建物がある程度古かったり(築4~5年以降)、使用状況によってかなりの頻度でシンポールでは発生する

ポイント2

● 通常のエアコンメンテ作業により、ある程度解決する

ポイント3

● 水漏れの頻度が高い場合には化学洗浄が必要

ポイント4

● その費用は家主負担とすることができるが、契約によっては一部入居者負担となることもある





教えてくれたのはこんな人

高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。

お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg



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