前回のポイント(賃料上昇が続くコンドミニアム)
●現在の賃貸住宅市場では、借り手が不動産業者に手数料を支払わないと見学する物件がかなり限定される
●見学するほとんどの物件がすでに誰かが入居中のため細かく見学ができない
●見学日時が特定されるため多くの物件見学ができない
●限られた見学日時に多くの見学者が訪れるため、あっという間に誰かに取られてしまう
賃料上昇が続くコンドミニアム 4
引き続き不動産業者の山田さんが佐藤さんに説明します。
佐:現在が大変な状況にあることは理解できました。そうするとすぐに入れるコンドミニアムを見つけるのは相当難しそうですね。
山:ご説明しましたように、ほとんどの物件が現在誰かが住んでいる部屋ですので、その方たちが出て行かないと当然住めないことになります。そのため以前のように1か月以内に入居できるコンドミニアムを見つけることは、新築物件以外はほとんどない、というような状況です。
佐:どのくらい待たなければならないのでしょうか?
山:そうですね、早くて1か月、場合によると2~3か月待たないといけないことになります。
佐:そうすると11月に家探しを始めたら、場合によっては入居は1月になるということですね。
山:そうですね、そのくらいの余裕は見ておいた方がよいと思います。
佐:その他に誰かが入っている部屋を選ぶ場合の注意点にはどのようなことがあるのでしょうか?
山:もともと私どもではなるべく空室のお部屋を選ぶことをお勧めしておりました。これは臭い、きれい/汚い、気持ち良い/気持ち悪いといった主観的なことが誰かが入居している場合に確認できないのです。たとえば、誰かが住んでいるユニットのベッドシーツをめくってマットレスの状況を確認したり、洗濯中の洗濯機の臭いを確認したり、キッチンシンクや冷蔵庫の中を開けて見る、というようなことは人が住んでいる場合には確認しにくいためです。
佐:もし引渡を受けてからマットレスに大きなシミがあったり、洗濯機の臭いがひどい場合に家主さんに交換をお願いできるのでしょうか?
山:前にご説明いたしましたように、契約条件はレターオブインテントに全て記載されていないといけませんので、そのような要求を入居した後に行うことはできないと同時に、ほとんどの家主さんは要求があっても断ってきます。
佐:となると確認できないことがあれば事前に家主さんに交換をお願いするということなのでしょうか?
山:そうですね、ただ現在のように完全な貸手市場の場合には、そのような要求はまず通らないか、さらに賃料を上乗せする必要があるでしょう。そのため、不安があるような家具や電化製品については予め撤去して自分で購入するようにお願いするしかないのが現在の状況です。
今回のポイント
ポイント1
●現在のように需給動向が逼迫している市場ではすぐに入居できるような物件はあまりない
ポイント2
●入居は2か月くらい先になることを覚悟しておいた方がよい
ポイント3
●人が入居中の物件を選ぶ場合、特にマットレスや洗濯機、冷蔵庫の中の臭いなどを確認することができないので、心配であれば予め撤去をお願いする
ポイント4
●撤去後は自分で購入やリースすることを覚悟する
教えてくれたのはこんな人
高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg