#mental care

【心ひも解くヒント】
コヴァート・ナルシスト(内潜的ナルシスト)

「ナルシスト」という言葉から、
何を連想しますか?

ナルシストは自己愛が強く、自分を過大評価し自慢家で、周りの人やその気持ちなどにもあまり興味がありません。彼らは、否定されると過剰に傷つき、恨んだり、執着します。このような人は、あなたの周囲や過去にも1人か2人はいるでしょう(人口の約1%)。


実際にこのタイプの「ナルシスト(Overt Narcissist)」は容易にわかるものです。
しかし、コヴァート・ナルシスト(Covert Narcissist)の人を見分けるのは、そう簡単ではありません。


実は、この種は、隠れ自己中心的で、ひっそりと自分は特別だと思っています。過敏で、自分は人に誤解されやすいなど、被害者意識が強いのですが、相手への共感性は欠如しています。また、通常のナルシスト(Overt)が一般的には、魅力的で外交的なキャラクターであるのに対して、コヴァートは人と関係を築くのに少々苦労することが多く、クールな雰囲気であったり、社会性に疎いことが多いです。


ナルシスト(自己愛性)パーソナリティーは、幼児期に過度に可愛がられ&甘やかされ過ぎたか、反対にあまりに構ってもらえずに、愛されなかったかのどちらかが原因で起こるとされています。彼らは、大人になってどんなに(物質、愛情、ケア、許しなどを)与えられていても、絶対に満足できません。そして、「与え続ける人」を見つけ(夫婦や友人として)ペアになり、ナルシスト側が、与える側(エンパスと言いますが、今回は触れません)に感情の空虚感・隙間を埋めさせようとします。



あなた自身がナルシストである場合は、恐らくそれを認めることはほぼないのですが、エンパスとして、コヴァート・ナルシストの人に苦しめ られているような気がするのであれば、以下のサインをチェックしてみましょう。

① その人は、わざと自らを卑下して、あなたに「そんなことないよ」「あなたの方がきれいよ」「この部署で一番仕事ができるよ」などと言わせ る。承認欲求が高い。真実の謙遜ではない。

② あなたの具合が悪かったり、大切な用件があっても、それを重要視しない。自分より注目をされている人がいると、機嫌が悪かったり、無関心に見える。

③ あなたの悩みや、状態に対し、深く知ろうとせず、「人生っていろいろあるからさ」「そんなの小さいことだよ」「どこでも同じだよ」などと短く切り上げたり、話を自分に戻す。

④ 過度に神経質になったことや傷ついたことを隠そうとして「興味ないし」「別にどうでもいい」というように無関心を装う。だがその後、無視を する、むすっとしている、口数が減る、さっさと帰るなど受身の怒りとして表現される。しかし聞くと「怒っていない」と言う。

⑤ 人のために注ぐエネルギーは無駄なので、相手の話は、聞いている振りをしているが、基本的に聞かない。




This Month’s Hint(今月のヒント)

コヴァート・ナルシストは、計算高く賢いため、自分が親切、優しく、常識的に見えるように振舞っています。そのため(実害を被られている相手以外からは)全くナルシストに見えていないこともあります。



教えてくれたのはこんな人

山形千尋
BeeYrOwn心理士。(応用心理学修士・カウンセリング学修士)
オーストラリア・カウンセリング協会会員、シンガポール公認心理士。

BeeYrOwn Psychologist & Therapist
308 Telok Kurau Rd Vibes @ East Coast
☎ 9665-4572
Email: beeyrown@aim.com
http://beeyrown.blogspot.com
診療日:火、水、土(完全予約制)


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