失敗を恐れたり、傷つく可能性があること、
不安を感じることから、一切立ち向かうことをせず
逃げてばかりいませんか?
精神疾患の診断・統計マニュアルDSM5では、人格障害を3郡に区分しています。そのC郡:
不安、恐怖を過度に感じるタイプは3種類あり、今回お話しする
『回避性人格障害』(後2つは依存性人格障害、強迫性人格障害)はその1つになります。
皆さんの周りにも「自信がない」「怖い」「恥をかきたくない」と言って、
初めてのことや、人との接触に対して、最初から過度に緊張や反応をし、何もしないうちから諦めたり、最小限の人付き合いもままならない人はいませんか?
この障害の有病率は0.5~2%程度で、男女差はないとされています。近年問題になっている“引きこもり” になってしまう方は、この障害を持つ人が多いと思われます。
普通の内向的な性格は、幼児期から見られますが、通常では成長とともに、日常生活に必要なスキルを身につけ社会生活に支障のない程度になります。しかし回避性人格障害を発症する人は、自分のよく知る環境や人々のなかにいるときには、それが分かりづらいことも。自立し、自発的にいろいろな経験をしたり、親や先生などの保護や管理が不要、あるいは及ばなくなり、新しい人との社会的関係が重要になる、青年期および成人期早期に顕著に現れます。
考え方・行動に柔軟性が持てないため、新しい人間関係を始めたり、維持していくことが苦手であったり、人との間にいつもなんらかの衝突や問題を抱えやすいのも特徴です。
劣等感が強いので、人に嘲笑されたり、恥をかくことを恐れたり、批判されるかもしれないという不安から回避行動が見られてきます。当然、彼らは
自己価値が低く、臆病で孤独です。心の中では、社交的な自分になって人と関わりたい、活動に参加したいと望んでいるのですが、それができるのは、自分を助けてくれたり、世話をしてくれると確証が持てる相手とのみになります。そのため、家族や、忍耐強くやさしい人に依存しすぎることもあり、ついにその重さに耐えられなくなった相手が離れていくと、激しく落ち込みます。
全ての人格障害に言えることですが、治療は容易ではありません。けれど
諦めてしまうと、より深刻になり長期化します。方法は、
心理療法と(うつや不安を随伴している場合)薬物療法が用いられます。心理療法では、
自己評価を改善したり、人との関わり方、自己主張などのコミュニケーションを学びます。また、
相性の良いセラピストと関係が築ければ、精神的なサポートも得られ、心の内を明かすことで、気分が軽く、精神的に安定しやすくなるため、困難なことにも勇気を持ってトライしやすくなります。また、
社会の一員としての訓練ができる集団療法も多く用いられます。
This Month’s Hint(今月のヒント)
過度に周囲からどう見られているかを気にし、過敏で傷つきやすかったり、行動が制限されたりする方は、
性格だから仕方がないと片付けずに、早めに対処をするほうが、社会適応や復帰がより現実的になりますし、家族も楽になります。
教えてくれたのはこんな人
山形千尋
BeeYrOwn心理士。(応用心理学修士・カウンセリング学修士)
オーストラリア・カウンセリング協会会員、シンガポール公認心理士。
BeeYrOwn Psychologist & Therapist
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