#mental care

【心ひも解くヒント】
注意残余

勉強しなければいけないのに、なぜできない?
やる気を上げるために、まずすること。

「勉強をしなければならない」「仕事を少しでも片付けたい」と感じながら、どうしても気持ちを持っていけず、「ちょっとだけ」「5分だけこれした後で」とスマホをいじりだしたり、ごろごろしたりして、結局何時間も“やるべきこと”が始められない……。とうとう遅くなり眠たくなる、またはネット使用継続により睡眠不足になるという人がいます。これが自分なのだ、と開き直れたら楽なのでしょうが、多くは自己嫌悪に陥ったり、自責の念に苛まれます。


まずは環境を見直してみましょう。机(部屋)はすっきりと片付け、気が散るようなものは近くに置かないようにしましょう。そして室内を快適な温度にしましょう。これだけで、ストレスは軽減します。可能であれば、(とくに子どもは)寝室での作業は避けることが勧められますが、それが難しくても、きちんとした机と疲れにくい椅子は必須です。


今日やるべきこと、目標を設定します。ポイントは、優先順位をつけ、能力や作業の量、困難さに合わせた欲張りすぎないゴールです。「テスト対策のために、今日はこの課題を6ページ解ききる」「資格試験のために、今日はこの章を読み終えてまとめる」という感じです。さらには「XXは1時間で必ず終わらせる」などを決めるとさらに効率は上がります。


マルチタスク「ながら作業」は避けましょう。一度に複数のことをすると集中力は緩慢になり、生産性も、効率も下がります。小さな休憩を間に取り、その時に水を飲んだり、ペットを撫でたり、軽くストレッチをすることは良いのですが、「スマホなどのネット使用」は、今日の作業が終わるまで“おあずけ”にするべきです。


なぜならネットは依存性があり、すぐに止められないのが普通なのです。(あなただけではありません!)「ちょっとメール、ニュースをチェックするだけ」これが良くありません。仕事ができる人、効率が良く作業が速い人は「チャットやSNSを見る時間を決めており、それ以外の時間は通知オフにしている」ことが多いです。あなたがもし、意志が弱いのであればなおさら、スマホを部屋の外にでも置いておいてください。


これには根拠があります。人がやっとのことで、集中した状態で知的活動を行っているときに、それを遮るような刺激を与えられると、再び集中した状態に戻るまでに、実に23分も要することが研究で分かっています。


 この現象を「注意残余」と言います。自分では、頭の切り替えをして、注意(フォーカス)を次のことに移していると思っていても、実際には完全には移っておらず、前の作業が頭に残ったままであり、新しい(または元の)タスクに認知資源の一部しか使われないことで、作業効率、パフォーマンスクオリティは低くなってしまうのです。ですから、手元にスマホを置いて、数分おきに見ている人がいかに集中できていないかは言わずもがなですね。




This Month’s Hint(今月のヒント)

小さなことを少し我慢して、大きなことや、より重要なことを誠実に確実に行うことが成功に繋がります。




教えてくれたのはこんな人

山形千尋
BeeYrOwn 心理士。シンガポール心理学会公認心理士。
オーストラリア・カウンセリング協会員。
(応用心理学修士、教育カウンセリング学士)

BeeYrOwn Psychologist & Counsellor
308 Telok Kurau Rd Vibes @ East Coast
☎ 9665-4572
Email: beeyrown@aim.com
http://beeyrown.blogspot.com
診療日(完全予約制):火、水、木、土

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