#News Digest

【News Digest】
2021年8月16日~2021年9月15日

-Singapore-
時事速報ピックアップ

日々最新の情報を全国に配信する時事通信社より、シンガポールに関する最近のニュースをピックアップしてお届けします。




● 低所得層ほど生活困窮=コロナ対策の影響調査

 2020年にシンガポールで実施された新型コロナウイルス対策に関するS・ラジャラトナム国際問題研究大学院(RSIS)の調査によると、世帯月収が1000シンガポールドル(以下ドル、約8万1000円)未満の家庭の4割超、1000~2900ドルの家庭の3割超が生活費の支払いに困窮していると回答した。所得水準がより高い層では支払いに困窮していると回答した割合は3割を下回っており、低所得層ほど生活に困難を強いられる状況が浮き彫りとなった。8月24日付の地元紙ストレーツ・タイムズ(B3面)が伝えた。

 ◇収入途絶える世帯も
 調査はシンガポール国民・永住者1000人超を対象に20年5月7日~7月16日の期間に2週間おきに実施。合計6000人余りから回答を得た。結果は今年8月に公開された。昨年4月7日~6月1日には出勤・外出制限を柱とするコロナ対策「サーキット・ブレーカー」が実施され、数カ月かけて段階的に緩和された。

 低所得世帯の回答者にはサーキット・ブレーカーによって給与に影響を受けやすい傾向がみられた。世帯月収が1000ドル未満の家庭の半数超、1000~2900ドルの家庭の半数近くが収入が途絶えたと回答した。

 世帯収入が高い層では収入が途絶える割合は比較的低く、8000~9900ドルの家庭では4割、1万~1万4900ドルの家庭では3割未満にとどまった。

 ◇マレー系に打撃大きい
 民族別では、収入の途絶えを報告する割合は中華系やインド系に比べてマレー系が高かった。マレー系の3分の1超はサーキット・ブレーカーによって生活費の支払い能力が影響を受けたと回答した。その他の民族全体では3割未満にとどまった。

 世帯の財務状況について「非常に心配」と回答した割合はマレー系では半数を占めた。中華系、インド系の回答者では3分の1をわずかに上回る程度だった。

 調査報告書は、コロナ対策が中華系やインド系に比べてマレー系により大きな打撃となったことを示す明確な証拠があると指摘。「コロナやサーキット・ブレーカーが社会経済的な脆弱(ぜいじゃく)性を悪化させたり、人種的な亀裂を生んだりしないようにすることが重要だ」と述べたという。





● 駐在員パッケージ、20年は7000米ドル減額=住居補助など縮小―ECA調査

 英人材コンサルティングECAインターナショナルが8月25日公開した2020年の駐在員待遇に関する調査リポートによると、中間管理職の現金給与や手当を合わせた「駐在員パッケージ」費用は、シンガポールで年間平均22万5171米ドル(約2500万円)となった。前年より7284米ドル減少した。

 調査は企業300社余りを対象に実施。160カ国の1万人超の海外赴任者について20年後半のデータを集めた。

 シンガポールの駐在員パッケージ費用は全世界の国・地域別で17番目に高かった。首位は日本で平均40万5685米ドルだった。

 ECAのアジア担当リージョナル・ディレクターのリー・クアネ氏は、ホワイトカラーの駐在員に一般的に支給される住居補助などの手当が減少し、現金給与も前年に比べて約1000米ドル減少したと指摘。一方で、「シンガポールの駐在員の現金給与は、世界で5番目に高い水準を維持しており、他の国・地域の競合人材に比べてより多くの給与を受け取っている可能性が高い」と説明。シンガポールが他の番付で世界で最も生活の質が高い場所としてランキングされたことと相まって、現金給与が高い傾向は東南アジア地域に拠点を移すことを検討している駐在員にとってシンガポールの魅力を高める要因となっていると分析した。

 また駐在員雇用のコストが低下したことが一因で地域拠点の設立を考えている企業にとってもシンガポールは魅力的となるとの見方を示した。




● 大統領官邸、日本庭園を改修=稲田純一氏設計の枯山水設置

 シンガポールの大統領官邸「イスタナ」にある日本庭園で改修工事が行われ、枯山水のコーナーが新たに設置された。8月26日には日本庭園のお披露目会が行われ、ハリマ・ヤコブ大統領が新型コロナウイルス感染拡大の中、前線で働いてきた労働者を招待した。

 大統領はフェイスブックへの投稿で、「邸内の日本庭園の改修は1967年以来。新たに枯山水庭園を設置した」と説明した。ストレーツ・タイムズ紙によると、日本庭園の改修は大統領府と公園局(Nパークス)が提携。枯山水は、公園局コンサルタントで日本在住の景観設計家、稲田純一氏の設計による。

 地元紙トゥデーによると、大阪出身の稲田氏は83年にNパークスに就職。89年には計画開発部長に就任し、中央部ビシャンパーク(現ビシャン・アンモキオパーク)や中心部マリーナシティ・パーク(現ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ)などの開発、公園や緑地を接続する歩道・自転車道「パークコネクター」計画などを指揮。2016年には長年にわたる功績を讃えられ、建国記念日に表彰された。





● ホーカーセンターで食器返却義務化=違反者への罰則適用がスタート

 シンガポールのホーカーセンター(公営屋台村)で9月1日から、食後に使用済みの食器やトレーを返却しない利用客に対する取り締まりがスタートした。違反すると罰金が科される可能性がある。ホーカーセンターでは、食べ終えた食器がテーブルに残され、床には紙くずが散乱している光景が以前は一般的だったが、それも過去のものになるようだ。

 ◇違反2回目は罰金300ドル
 政府は6月から、ホーカーセンター、コーヒーショップ(民間屋台村)、フードコートで利用客が食後に使用済み食器やトレーを返却することを義務付けた。ただ、新たな仕組みに慣れてもらう周知期間として、これまでは罰則を適用してこなかった。コーヒーショップとフードコードでは2022年1月から罰則適用を始める。

 ホーカーセンターでは9月1日から、違反1回目なら書面で警告を受ける。2回目は罰金300シンガポールドル(以下ドル、約2万4000円)が科される。繰り返し違反した場合は起訴され、最高2000ドルの罰金が科される可能性がある。ごみのポイ捨てなどを禁じた環境公衆衛生法で罰せられるという。

 ストレーツ・タイムズ紙によると、罰則適用が始まった1日は、目立った混乱は起きていないもよう。義務化を知らず返却を忘れる人も時々いるが、大半の利用客はきちんと返却コーナーに食器を運んでいるようだ。

 ホーカーセンター内では、英語や中国語、マレー語、タミル語で、トレー返却と、新型コロナウイルス対策の安全な距離順守を呼び掛けるアナウンスが流れているという。清掃員の役割は、食べ終えた食器を回収することから、回収コーナーを整理したり、空いたテーブルを拭いたりすることに変わった。

 ◇以前は紙くずが床に散乱
 ホーカーセンターの一つ、アモイストリートのある店主は同紙に、「以前はひどいありさまだった。利用者は使ったティッシュペーパーや箸を床に放り投げていた。今はテーブルは片付けられて清潔。床もわが家と同じくらい清潔だ」と語った。  国家環境庁(NEA)は2月以降、コロナ対策でホーカーセンターを清潔に保つ必要もあり、食べ終わった食器を自ら片付けるキャンペーンを展開してきた。しかし、返還率はキャンペーン前の33%から35%に上がっただけで、大きな効果を挙げられなかったため、義務化を決めた。

 市民の反応はまちまちだ。ストレーツ・タイムズ紙が食器返却義務化の始まった6月に報じたところによると、配車運転手の男性は、多くのシンガポール人は食後の食器返却が習慣となっておらず、「返却義務化は人々が返却を習慣化するための唯一の方法だと思う」と評価。一方で、ある女性は「返却を習慣にするよう指導するのは良いことだと思うが、罰金を科すのは少し高圧的ではないか」と指摘した。





● ロボットが商店街パトロール=喫煙やコロナ違反を監視

 シンガポール中部住宅地トアパヨの商店街、トアパヨ・セントラルで9月5日、自動走行ロボットによる巡回の試験運転が始まった。人出の多い公共の場でのロボットによるパトロールは初の試み。禁止区域での喫煙、違法な行商、違法駐輪、禁止されているパーソナルモビリティー機器の歩道走行などの監視の他、5人を超える集会といった新型コロナウイルス感染防止規定の違反も検知する。

 パトロールロボット「ザビエル」の試験事業は3週間行われる。内務省(MHA)傘下の研究機関ホーム・チーム科学技術庁(HTX)、環境庁(NEA)、陸上交通庁(LTA)、食品庁(SFA)、住宅開発庁(HDB)が合同で実施する。

 ザビエルはHTXと科学技術研究庁(Aスター)が共同で開発。さまざまなセンサーを備え、人混みの中でも車や歩行者を避けて走行できる。360度撮影可能な赤外線ビデオカメラを内蔵し、夜でも鮮明な映像は司令室に送信できる。ストレーツ・タイムズ紙によると、ザビエルはバスク語で「新しい家」を意味する。

 ロボットによる巡回は、警察官などが徒歩で行うパトロールの負担を軽減し、効率向上が見込まれる。

 HTXは2020年から、ザビエルの原型となる多目的全地形型自律ロボット「マター(MATAR、マターはマレー語由来のシングリッシュで警察の意味)」を外国人作業員ドミトリー(宿舎)や建国記念日パレード、マリーナベイでの新年カウントダウンなどに投入してきた。

 ストレーツ・タイムズ紙によると、ザビエルは土曜日以外の毎日午前8~10時、正午~午後2時、午後5~7時に1キロメートルと1.5キロメートルの設定済み2ルートを警官らと共に巡回する。