#parti editor's travel

【パルティ編集部の個人旅行】
フィンランド・ヘルシンキ Helsinki,Finland

美しい自然と歴史が育んだデザインの都
北欧雑貨にときめき、恋に落ちる

たま~に連載。旅人編集Aです。
ある日、映画『かもめ食堂』のDVDを観ていて、夏休みにフィンランドへ行ってみようと思い立った。ムーミンに会えるかもしれないし、雑貨屋巡りでもしようかな、とゆる〜い気分で。そのときのフィンランド旅行記です。





なんとなく出かけた旅で脳内革命

7月末のフィンランドは、夏の盛りを迎え、街中に光が弾けていた。首都ヘルシンキの目抜き通り沿いの公園は、日光浴をする人々であふれる。勢い余って水着の人までいる。この人たちは夏が本当に好きなんだと思う。港の屋台で売られるエンドウマメは、夏の風物詩。地元っ子は生で食べる。



そう、この国の冬は長く、恐ろしく寒い。
私はこの国の夏しかまだ知らないけれど、滞在中やたらと冬に思いを馳せていた。彼らの暮らしぶりをのぞくと、冬を考えずにはいられなくなるのだ。なぜ北欧家具がこんなにも魅力的で、使い勝手がよいのか。なぜほんの小さなマグカップの曲線にまでこだわるのか。

それはきっと、冬の夜長を少しでも快適に過ごすためなのだろうと私は思う。美しいフォルムの雑貨に、そして温もりある家を築く彼らの文化そのものに、私は心を惹かれていった。とくにフィンランドを代表する建築家アアルトの自邸を解放したミュージアムでは脳が痺れた。自らの作品である、秀逸なデザインと機能性を兼ね備えるソファやテーブルが、気負うことなく配されている。



アアルトの自邸のリビング。いつかこんな家に住みたい!また、アアルトがデザインしたアームチェア。幅広の曲木によるアームレストが特長。座り心地が素晴らしい。



洗練の極みであるのに、親しみやすく心地よい。住まう人の人となりが見えてくる、そんな家だった。自分の暮らしを思えば、いつ引っ越すか分からないからと100円ショップの食器を使い、家具も多くの点で妥協してきた。これではいかん、もっと自分らしい部屋を造ろう! 家での時間は私自身を豊かにしてくれるはず!これまで外へ外へと向いていた私の心が一転、自分と向き合う空間を求め始めた。そして私は盲目な恋に落ちたかのように、お気に入りの雑貨を求めてヘルシンキの街を彷徨ったのだ。

フィンランドを代表する陶器ブランド「アラビア」のムーミンボウル(各17.20ユーロ)。毎年限定の絵柄を発売。2012年はプリマドンナの馬。



世界中にファンを持つテキスタイルメーカー「マリメッコ」のティータオル。



1790年フィンランドで創業した「ハックマン」のホーロー鍋。



電車を乗り継いで「イッタラ」のガラス工場で職人技を見学。あっぱれ!



敷地内に大きなアウトレットがあり、アドレナリン出まくり。



ガラス製品で有名な「イッタラ」のカテヘルミシリーズのボウル(各11.25ユーロ)。朝露をイメージしたデザイン。





深い森で見つけたデザインの種

ヘルシンキからバスを乗り継いで2時間、美しい湖と森を誇るヌークシオ国立公園がある。ヌークシオ国立公園の湖のほとりでピクニック&お昼寝は最高。フィンランド人は泳いでいたけど、寒くて無理だった。



アクセスが不便だからか、夏休みだというのに人影はまばら。一陣の風が通り過ぎ、背の高い北国の木々がはるか頭上で葉を揺らす。なんて爽やかな緑。



上を見上げて思った。昨日、「マリメッコ」のショップで見た布と同じ色合いだ。
今、この国で育まれた感性が北欧デザインとして昇華し、世界中の人々に愛されている。それはぽっと出てきたものではない。伝統の文様はモダンにアレンジされ、美しい自然は心象風景としてデフォルメされて、デザインとなる。この国の豊かな自然や文化に触れて、初めてフィンランドのモノづくりの奥深さを垣間見た気がする。次はオーロラが見える冬、再びこの地を訪れたい。ムーミンは冬眠中だろうけど。



旅先グルメ

フィンランドといえばミートボール。ジャムを付けていただく。



マーケットで立ち食いしたザリガニ。不思議な味。



映画『かもめ食堂』の舞台となったレストラン。





旅の予算

航空券(シンガポール-ヘルシンキ往復/フィンランド航空)S$1825(税込み)
ホテル 5泊 520ユーロ
※2012年7月25日出発



編集Aのお買い物メモ

とにかく最終セール中の7月末がオススメ。「マリメッコ」「イッタラ」「アラビア」の3大ブランドは郊外にアウトレットがあり、そこでもセールを開催。超お買い得商品に出合うチャンス! 税金の高いフィンランドでは40ユーロ以上の買い物でTAX FREEとなるので忘れず申請しよう。


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