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【World Football Ship】
カンボジアを中心に展開するNPO活動
「サッカーを通して子どもたちの可能性を広げたい」

World Football Ship

代表理事・石塚来輝さんにインタビュー
生まれた環境で可能性を制限されない、フェアな世界へ

カンボジアといえば日本人にとって、世界文化遺産アンコールワットがあり、首都プノンペンは経済発展が著しい国というイメージを持つ人が多いはず。
でも華やかな面の一方、長く続いた内戦や独裁政権の影響で、未だに農村部では多次元の貧困状態に陥っています。

それを救うためにカンボジアでは数多くの国際支援団体が活動しています。
今回は「サッカーを通して子どもたちの可能性を広げる」活動に奮闘している石塚来輝(いしづか らいき)さんをご紹介します!


「World Football Ship」の活動内容はコチラ




【World Football Ship代表理事・石塚来輝さんINTERVIEW】

子どもの頃の「原体験」が自分を突き動かす

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サッカー少年だった来輝さん


来輝さんは現在25歳。大学を卒業し、大手企業の内定を辞退して片道切符でカンボジアへ。
NPO(特定非営利活動)法人「World Football Ship」を立ち上げるまでの疾走感溢れるお話を聞きました。


「僕がこの活動をするとき、いつも胸にある原体験があるんです。
小学校4年生に上がる前に、両親が離婚して月4,000円の月謝が払えず、サッカー教室に入れない状況になってしまいました。
それでも僕は近所の人にユニフォームを譲ってもらったり、周りの人に助けられてサッカーを続けることができ、市の選抜に選ばれるなど、高校三年生までサッカーに打ち込むことができました。
この経験が『生まれた環境のせいで可能性が制限される子どもをなくしたい!』という想いとなり、今の活動に繋がっています」




初めて訪れたカンボジアで、裸足で球を蹴る少年たちに出会う

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「大学進学のときに、怪我が多く限界を感じていたこともあってサッカーをやめ、教育学部に進みました。
僕はずっと学校に居場所を作ってもらって救われてきたので、自分も子どもに寄り添うことができる教師になりたいと思ったんです。
でも、サッカー漬けの日々から一転、楽しい大学生活にすっかり溺れて一年目を過ごしました。

これではダメだ!と、サッカーを通じた国際協力を行う学生団体『World Fut』に入り、大学2年生の夏、初めてカンボジアを訪問しました。
そのときに訪れた農村では、強い風が吹いたら倒れるんじゃないかと思うような高床式住居に人々は住み、1日たった$2程度で一家5人が生活しているという状況でした。
子どもたちはゴミだらけの空き地で、ボールに似せた何かを丸めた球を裸足で蹴っていました。
それでも彼らは目をキラキラと輝かせてサッカー選手になりたいと言っていました。


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でも僕は心底思ったんです。
この国では、この子たちの夢は叶わない!
僕は日本という恵まれた国で、周りの人や行政に助けられたりして、努力が報われてきた。
でも、頑張ってもどうにもならない子どもたちが世界にはいるんだ……そう思い知らされました」




学生としてNGOを立ち上げるも、コロナで挫折

「当時、本田圭佑さんがカンボジア代表チームの監督となり、プロリーグでプレーするチームのオーナーも務めていました。
僕はそのチームにインターンで働かせてもらい、カンボジアという国をサッカーという側面から見る機会を得ました。
元々人気のあったサッカーが本田さんの影響もあり、リーグは勢いを加速。
ですが、プロのクラブであっても設備やコーチ、スタッフ全てにおいて不十分であり、カンボジアはやはり発展途上国なのだと痛感しました。

その後、学生ながらもNGOを立ち上げて、旅行会社とタイアップしてスタディーツアーを企画。
でもいざ出発、というときにコロナとなり、ツアーは中止になってしまったんです。
約100万円の負債が残り、その後始末に奔走。
それでちょっと疲れてしまい、それからしばらく、コロナの影響もあってカンボジアから距離を置く時期が続きました」




政治家のもとで、世の中が変わる瞬間を見る

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都議会議員の宮瀬英治さん(右)と


「コロナ禍だった大学4年生の1年間は、あるご縁で都議会議員の宮瀬英治さんのもとで学ぶ日々でした。
政治家のポスターには、よくキャッチフレーズが書かれているじゃないですか。
でも宮瀬さんのポスターには自分の携帯電話番号が大きく記載されているんです。
『政治家って距離が遠いでしょ。だから直接電話できるようにしているんだよ』って。
実際に電話が掛かってきて、宮瀬さん本人が普通に答えているのを見たときはびっくりしました。

宮瀬さんは、始発から終電まで駅で困りごとに耳を傾ける活動もしています。
『本当に困っている人は朝一番に家を出て、夜遅くに帰ってくるんだよ。
それに自分がここに立っているだけで誰かが安心するかもしれないだろう』

例えば、あそこに信号機を設置してほしい、そんな話が来たときに、本当に必要だと判断したら、すぐに関係者に連絡を取って動く。
物事が実際にすごいスピードで変わっていくのを見て僕は驚きました。
正しく権力を使えば、仕組みを作って世の中を変えていくことができる。
宮瀬さんとの時間の中で、僕はそのことを学びました」




再びカンボジアへ!人の縁に導かれて活動を開始

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マネージャーを務めるワンナさん(右)とフィールドにて


「大学4年生のときは普通に就活をして、社会人になろうと思っていました。
でも、卒業のタイミングでコロナが大丈夫かもという兆しが見え、やっぱりもう一度カンボジアへ行きたい!と思ったんです。
周りの大人たちからは猛反対されましたが、今やりたいという想いが勝って、カンボジア行きの片道チケットだけを手に出発しました。

あるのは『サッカースクールを開きたい』という想いだけ。
でも本当に幸運なことに、到着1日目にして今の活動をど真ん中で支え、マネージャーを務めてくれているワンナさんと出会うことができたんです。
僕の一番の自慢は『人の縁』に恵まれているということです。

出発前に高校の恩師に挨拶に行ったときに、カンボジアでサッカーを指導している日本人コーチを紹介してもらい、その繋がりで日本語がすごく堪能なワンナさんとも出会いました。
カンボジア人であるワンナさんもまた志を持ち、この国の子どもたちにサッカーを教えたいと思って活動をしていましたが、コロナの影響でうまくいっていない状態。
僕らはすぐに意気投合しました。

当初は現地校に直接入っていき、『日本から来たんですが、サッカーを教えていいですか?』と聞いて活動をスタート。
このときもワンナさんの人脈にはとても助けられました」




サッカーを通じて、社会に出たときに役立つ能力を

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来輝さんはNPO法人「World Football Ship」を立ち上げ、カンボジアの恵まれない環境の子どもたちを対象として3つの柱で活動をしています。

① 無償サッカースクールの運営
② プロサッカー選手を目指す選抜チームの育成
③ 物資支援


※詳細はコチラをご覧ください 



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「僕らはサッカーというツールを使って、教育活動をすることを目指しています。

ゴールが決まったらうれしい! 試合に負けたら悔しい!
練習したことがプレーに活かせた。
友達が増えた。
僕はできるんだ!と“CAN”が増えていく。
感情表現がどんどん広がっていく……

サッカーは協調性、柔軟性、コミュニケーション能力など、さまざまな要素が身に付くスポーツです。
僕ら指導側は小さなこともキャッチして、通常の100倍くらいの熱量で褒めて、子どもたちに自信をつけてもらうことを大切にしています。


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また、カンボジアではエネルギーを発散できる娯楽が少ないこともあり、非行に走る少年たちが少なくありません。
ボール1個で楽しめるサッカーはその抑制にも効果があります。

無償のスクールをしていると筋のいい子がたまにいます。
誰も教えていないのに、どうしてこんなことができるの⁉と。
そういう子どもたちを集めて、選抜チームを作っています。
日本食レストランが食事代のスポンサーとなってくれ、トレーニング後には食事も無料提供しています。


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ノーチャンスだった子が、国のエンブレムを背負って、いつかピッチに立つ日が来る!
僕らは教育にお金をかけられない家庭の子どもたちのインフラになっていきたいと思っています」




強みを生かしたいサポーターたちを繋げていく

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「活動資金ですが、当初はクラウドファンディングなどの寄付金を中心としていましたが、継続的に活動するために富裕層の子どもたちを対象にサッカー指導の有料事業を新たに展開しました。
こちらでも無償のスクール同様、日本式を取り入れた教育活動に重きを置いています。

トレーニングカリキュラムは、オリジナルメソッド。
これは日本から強みを生かしてサポートしたいと言ってくれている人たちに支えてもらっています。
先程も言いましたが、僕の一番の自慢は『人の縁』に恵まれていることです。
プロサッカー選手、プロクラブ監督経験者、フィジオセラピストなど、志を同じくした各分野のプロフェッショナルを繋げていくことが僕の仕事だと思っています。


『努力が報われるフェアな世界へ』
これが、僕が目指すビジョン。

大きな枠組みでは難しくても、サッカーの分野で達成していけるように、カンボジアでモデルプランができたら、将来的に他の国でも展開していけたらと思っています。

今ある環境は当たり前じゃない。
親がいる、ご飯が食べられる、勉強ができる、好きなことができる、サッカーができる……。
原体験を持つ僕だからこそ、自分の存在意義を掛けて、これからも頑張っていきたいです」




【PROFILE】

World Football Ship
石塚来輝(いしづか らいき)さん

World Football Ship(WFS)代表理事
1998年生まれ、千葉県出身。
國學院大學人間開発学部初等教育学科卒。
2021年8月にWFSを設立。
現在、カンボジアの首都プノンペン在住。

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DATA

WEB https://syncable.biz/associate/WorldFootballShip
Instagram world_football_ship

※2024年2月21日時点の情報です。

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