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【佐藤さんの住宅探し】
~退去手続①~

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住宅を家主に返却する際の注意点

不動産仲介業者の山田さんが、コンドミニアムを見学している佐藤さんに、シンガポールで住宅を探す際、退去する際に気をつけることを解説しています。


前回のポイント(中途解約③)

● 中途解約条項が適用できないときに、会社契約であれば同じ会社の人に住んでもらうことができる
● 個人契約の場合、代わりの人に住んでもらうことについてはその旨、契約書に明記する必要がある
● 家主宛の全ての通知は基本的に受取証明付書留で送付する
● 代わりに入居した人は前の人の契約条項を全て引き継ぎ、基本的にその契約期間満了まで居住しなくてはいけない
● 場合によっては入居者変更については家主の同意が必要になるときがある



今回のテーマは、実際の退去手続きについて

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佐:そろそろ異動のタイミングなので、人の入替があり家を家主さんに返さなくてはなりませんが、この際の注意点を教えてください。
山:第一に春の場合、期間満了による退去ではなく、前回ご説明したような転勤による中途解約が多いかと思いますので、その通知をすぐに行うことです。


佐:前回のお話では2か月前に予告とのことですので、実際には3月末の退去であっても予告期限までの賃料は支払わなくてはならない、ということですね。
山:おっしゃる通りです。これまでもお客さまから退去日までの賃料支払いで勘弁してほしいとの、ご依頼をいただいたことがありますが、成功した事例はほとんどないので通知期限までの賃料支払いが必要になる、とお考えください。


佐:了解いたしました。他に何か家を家主さんに返す際の注意点はありますか?
山:皆さまがご入居される際にとりあえず家主側により専門業者による清掃、及びカーテンのドライクリーニングが行われてから家が引き渡しされていると思います。


佐:そうですね、でも日本と比べて全然綺麗でなく、自分でもう一度清掃する人が多いと聞いていますが。
山:日本ですと3DKのマンションで清掃費用は7~9万円くらい(約S$1000)かかります。こちらの3ベッド、約120平方メートル程では清 掃費用はS$500と日本の半分の費用です。このように安かろう悪かろう、といった状態ですので、家を家主さんに返すときもこの程度でよいと思います。


佐:そうすると自分で清掃してもよいということでしょうか?
山:いえいえ、一般的に契約書では〈専門業者による清掃〉と明記されていますので、ご自身での清掃では十分でなく、家を返す際に清掃業者の領収書の提示を求められます。


佐:カーテンのドライクリーニングはどうでしょうか? カーテンがないとちょっと困るのですが。 山:原則論からすると鍵を返すときに原状復帰が行われていないといけない、ということですので鍵の引渡前にカーテンのドライクリーニングが終了している必要があります。ただ、ご指摘のようにちょっと生活に支障がでますので、鍵の引渡時にカーテンをドライクリーニングに出す場合には家主の事前了解が必要となります。


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今回のポイント

ポイント1:
● 転勤が決まったらすぐに家主にディプロマティッククローズのレターを出す(詳細は前回までの連載をご参考)

ポイント2:
● 家を家主さんに返却する場合、一般的には専門業者による清掃が必要

ポイント3:
● 自分で清掃すると清掃漏れ等により鍵の返却が上手くいかなくなることもある

ポイント4:
● カーテンのドライクリーニングを家の返却時に出す場合には家主の了解が必要





教えてくれたのはこんな人

高野 徹
TOKIO PROPERTY SERVICES PTE LTD/TRE 21 PTE LTD

82年東急不動産入社。93年からシンガポール駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg


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