#parti editor's travel

【パルティ編集部の個人旅行】
イングランド United Kingdom

北イングランドで迎えるフェスティブ・シーズン

たま~に連載。旅人元編集Uです。
こちらの写真らは、北イングランドのニューカッスル・アポン・タインで3度目の冬を迎えた際に撮影したもの。シンガポールからこちらに引越してきた当初は、吹き荒む寒風に心を刺され、寒さを凌ぐだけで精一杯だったものの、三年目となると気候にも慣れ、冬を楽しむ余裕も出てきました!





変わらぬ情景と新たな風物

イングランドの北の果て、ニューカッスル・アポン・タインで迎える三度目の冬がやってきた。この小さな町の冬の訪れは、目抜き 通りの老舗百貨店から始まる。住民たちが心待ちにしているのは、ショーウィンドウを彩る機械仕掛けのクリスマス・ディスプレイ。子どもだけでなく大人も夢中。週末や夜になると行列が絶えない。



去年はピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポターの生誕150年、今年は映画の公開を記念してパディントンと、毎年異なるテーマの演出が丸一年かけて準備される。11月初旬の開幕式に多くの人が詰めかけるのは、半世紀近くも続く冬の風物詩 。



かつて目を輝かせてショーウィンドウに張り付いていた子どもたちが、今度は自分の子や孫を引き連れて訪れるのだ。このディスプレイ見学の行列は、英国中で見られる光景かと思っていたのが、娯楽の少ないニューカッスル特有の現象だと気づいたのは、つい最近のこと。同じデパートのロンドン本店を訪れたところ、洗練されたディスプレイとシックなドアマンに出迎えられ、驚き半分なんだか寂しく感じてしまった。



近年、新たな冬の一景として注目を集めるのが、期間限定で設営されるテント型のバー、ハドリアヌスのティピ。町の中心に突如 現れる圧巻のティピ。



はるか昔、ローマ皇帝ハドリアヌスがブリタニアに侵攻し、ケルト人の襲撃を防御する長城を築いた際、東端の拠点となったのがここニューカッスル。かつてのローマ軍が駐屯地に酒場を設けたのを模し、火を囲んでホットワインやビールを楽しめる、こちらは大人向けエンターテインメントだ。若いスタッフが薪を焚べに来れば、見知らぬ客同士ですぐに火のつけ方論議が始まるのも、地方の魅力の一つに違いない。火を囲み、10年をかけて100kmを超える城壁を築き上げたローマ人に想いを馳せる……





クリスマスを満喫する新習慣

英国各地でイルミネーションの点灯が始まるのは、11月11日の戦没者追悼記念日が終わる頃。戦没者追悼記念日には各地で退役軍人等のパレードが行われ、冬の風物詩となっている。フクロウと一緒に写真を撮らせてくれる商売を最近よく見かける。



この頃からクリスマス・マーケットも始まって、街は一気に華やぎを増す。クリスマスの時期になると、学校や職場では「シークレット・サンタ」が話題に上る。あらかじめ参加者の名前が書かれたくじを引き、引き当てた名前の人宛てに匿名でプレゼントをするという、仲間内でのプレゼント交換会だ。誰からの贈り物なのかは最後まで秘密のはずなのに、狭い町だけあって、ちょうど買い物をしている友人にバッタリ出くわしてしまうのも、また一興。



町で見かけた貸しトナカイ。 本物のトナカイのソリに乗れるなんて夢みたい!



そんな買い物中に至る所で見かけるのが、サンタやトナカイなどのクリスマス柄セーターだ。「クリスマス・ジャンパー」と呼ばれる、この派手なセーターを着た集団を初めて見たときは、我が目を疑ったものだけど、実はこれ「ダサかわいい」を楽しむトレンド。悪 趣味なほど良しとされ、慈善活動の一環として会社にこれを着て行く「クリスマス・ジャンパーの日」まで存在するのだ。



そして一軒につき一杯のお酒を飲みながら、一晩で12軒のパブを廻る究極のイベント「12パブズ・オブ・クリスマス」のドレスコードも、クリスマス・ジャンパーが王道。12Pubsは本来アイルランドの風習ながら、近年イギリスでも人気上昇中。



昨年は普通の服で参加してしまったけれど、今年はとびきりダサい一枚を購入し、さらにディープに冬を楽しむべきなのかと、なんとも悩ましい 笑……


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