前回のポイント(法人家主の賃貸住宅とサービスアパート②)
● 一般コンドミニアムでもサービスアパートとして紹介されている物件がある
● 貸している人がサービスアパートとして貸すことができるライセンスを持っているかどうかを確認しなくてはいけない
● 本当の家主が別にいる<転貸>の形式での契約になる
● サービスアパートのライセンスがないと賃貸借期間は最低3か月となる
● サービスアパートとして貸している人の信用度の確認が必要となる
今後の賃貸住宅賃料相場
今回は、不動産業者の山田さんが佐藤さんに、今後の不動産賃貸市場についてお話をします。
佐:現在、新型コロナウィルスの関係で多くの駐在員が来られない状態になっていますが、このような状態ですと賃料は下がるのではないでしょうか?
山:おっしゃる通りです。ただ、一方で帰国する人も足止め状態であったり、ヨーロッパや米国から来ている人たちは敢えて戻らない選択をする場合もあるので、出る人もそれほどいない、という状態です。
佐:そうすると、賃料自体は動かない、ということになるのでしょうか?
山:そうですね、現在、コロナの状態だからといって
急激に賃料が下がってきている、という実感はあまりなく、むしろお客さまがご希望する住宅がそれほど賃貸市場に出てきていない、という感じがします。
佐:でも、「PropertyGuru(www.propertyguru.com.sg)」のような先日ご紹介いただいたサイトには結構出ているように見えますが?
山:それは依然もご説明いたしましたように、同じ物件を複数の業者さんが宣伝しているので、ダブっている可能性があります。
佐:そうすると今後はどうなるのでしょうか?
山:
今しばらくは膠着状態が続くと思われますが、ビザの関係もあり帰国する人の方が多くなっているような気がします。
佐:ビザの関係とはどういうことですか?
山:現在、シンガポール政府はコロナの関係で失業対策に相当力を入れています。そのため、
外国人を雇用するよりもまずシンガポール人を雇用させるために、ビザの基準を厳しくしています。そのため、ビザを申請してもなかなかビザが下りないケースもあり、さらに新規でいらっしゃる方々の数に制限がかかっています。
佐:帰国する人が多くて、来る人が少なければ、当然のことながら賃貸住宅賃料は下がるのではないでしょうか?
山:おっしゃる通りです。先ほどは現在の状態をご説明申し上げましたが、
少し中期的な見通しとしては、賃料はおそらく下がると思います。ただ、コロナが終息するに従い、また上昇に転じる可能性があります。
佐:それはどういうことですか?
山:当然、コロナが終息するに従い、駐在員の数が元に戻ってくるため一旦下がった賃料も底を打つことになると思います。その後に今度は
香港からの事業移転の動きが活発化し、売買賃貸ともに上昇に転じる可能性があります。
佐:なるほど、先日の国家安全法の影響で東南アジアの拠点を香港から移動させる動きがある、ということですね。
今回のポイント
ポイント1
● 現時点では賃料の動きはそれほど大きくない
ポイント2
● 中期的には下がる傾向にあると思われる
ポイント3
● コロナ終息後は香港の影響もあり不動産売買賃貸ともに上昇に転じる可能性が高い
教えてくれたのはこんな人
高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg