#housing

【佐藤さんの住宅探し】
コロナ感染拡大の影響 ①

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前回のポイント(住宅を家主さんに返却する際の注意点 ③)

● 電気・水道・ガスを止める手続きは基本的に自分自身で行わないといけない

● 銀行口座はいろいろ返金があった場合に受け取る必要があるので、なるべく閉めずに開けたまま帰国する(後でレターにて口座を閉める ことも可能)

● ケーブルテレビの解約はチューナーとリモコンを窓口に返却する必要があるので、解約は窓口に行く

● 電気・水道・ガスを止める日は鍵を返却する翌日とする




コロナ感染拡大の影響 ①

今回はコロナ感染拡大の影響について不動産仲介業者の山田さんが佐藤さんに説明します。


佐:最近、コロナの感染拡大でシンガポールに戻れなくなってしまい、住宅の契約を解約できないかどうか、というような話を時々聞きますが、どうなんでしょうか?


山:賃貸借契約書にすでに「不可避条項」(inevitable clause)があり、さらに「伝染病」(epidemic)という記載があれば、契約を解約することはできるかもしれません。
ですが、このような条項は一般的な賃貸借契約には含まれていません。


佐:そうすると、やはりコロナを原因とする契約解約は難しいのでしょうか?


山:そうですね、一般的には大変難しく、非常に良い家主さんであれば敷金などの放棄によって残存期間分の賃料を免除してくれるようなケースが無いわけではありませんが、かなり難しいと言えます。弁護士さんによっては契約を行った直後であれば一定の法理により解決できるケースもあるようですが、これは残存期間の大半が残っているような場合に限定されるようです。


佐:そうですか、それでは賃料の減免などはどうでしょうか? 日本ではお店の賃料とかを政府が補填してくれるようですが。


山:現時点ではシンガポール政府が固定資産税の返還をそれぞれの家主に行い、家主はそれを賃借人に渡すように指示していたり、一部ショッピングセンターの家主がそれぞれのテナント(お店)に賃料の減免措置を実施しているようですが、住宅についてはそのような対応はなされておらず、あくまでも家主とテナントの話し合いによって決まっているようです。


佐:山田さんのご経験ではこれまでに家主さんが住宅賃料をまけてくれるようなことはあったのでしょうか?


山:ごくごくまれに賃料の支払を1~2か月まけてくれたり、残存期間分について一律一定の金額をまけてくれたような家主さんはおりますが、ほとんどの家主さんは契約の履行を求めてきており、あまり賃料をまけてくれません。





今回のポイント

ポイント1

● コロナのような伝染病を理由とする賃貸契約の解除は特殊な条項がない限り一般的に認められない

ポイント2

● ただし、契約締結直後でかなりの残存期間が残っている場合には残存期間全額の支払いでなくとも解約できる法的な根拠はある

ポイント3

● 店舗や事務所のような商業用不動産についての賃料減免措置はあるが、一般住宅についてはそのような措置はない

ポイント4

● そのため、実際には現在の賃料を減免してもらうことは大変難しいが、一部の家主さんはその要請に応じてくれることもある





教えてくれたのはこんな人

高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。

お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg



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