#復刻版パルティ

【1999年】復刻版パルティ-面白バックナンバーを振り返り

まだまだモノクロ印刷時代が続きます
懐かしい記事からシンガポール雑学まで

1994年創刊から四半世紀以上にわたり、シンガポールの情報を発信してきたPARTI。
この情報はPARTIの財産!(自分たちで言ってすみません)
独断と偏見で「面白い!」と思う記事をピックアップし、お届けしていきます。
今回は、『1999年』を振り返ります。



1999年は、記念すべきミレニアムを迎える前年ということで、あちらこちらでノストラダムスの大予言……などと、世の中が沸き立っていたことを思い出します。そんな1999年を振り返ります。こちらのWEB記事の最後には、12月号P.6に掲載された「2000年になる前にやっておきたいこと10」もピックアップ!最後までご覧ください。
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1999年5月号/Vol.65

まずはじめにご紹介する記事は、1999年に、喜粋団竹さんが連載してくださっていた「ちょっとないしょの話」より、シンガポールの怪談をお届けします。

シンガポールの方って意外と怪談話、お好きですよね。中華系シンガポール人による「ハングリーゴースト」(旧暦7月)の時期は、死者の霊がこの世をさまようと考えられています。町角の金属製ゴミ箱で燃やしているものは、死者へのお供えものだそうです。

1999年5月号P.11に掲載された今回の過去記事は、まさにその、ハングリーゴーストの時期に起きたお話……



☝記事内容
(怪談話が出てくるのは記事後半となります)

ちょっとないしょの話


ある時、「たまにはシンガポー ル製の本を読んでみよう」と思い立ち、迷った末「お化け実話本」を選んだ。読んでみると、これが結構面白い。その中の一つを簡単にご紹介しよう。

*****
僕(アンダーソン氏、二八歳)と妻は三年前、シンガポールに来た。
HDB公営住宅の生活は快適だが、ブロックの間隔が狭過ぎて向かいの家の中が見えることだけが難。

ある夜
――餓鬼節(Hungry Gohst、中国暦の盆)の終わり頃――
寝つけなかった私は、窓辺に佇んだ。
ふと向かいの家を見ると、美男美女のカップルが。 と、あっという間に二人は窓から飛び下りてしまった。驚いた僕は一階に駆け付けたが、二人の姿は見当たらない。

すると、一人の青年がローストダックを食べながら話しかけてきた。
思わず 「今、男女が飛び下りるのを目撃したんだけれど……」と言うと、
「ああ、僕の友だちだよ。あの二人は麻薬中毒でね、警察から追われて心中したんだ。毎年餓鬼節になると、戻ってくるのさ」と奇妙な返事。

ゾっとしていると、いつの間にか飛び下りた二人が現れ、青年とおしゃべりを始めた。慌てて上階に戻ろうとし、青年とすれ違いざま彼の背中を見たら、たくさんの刺し傷があり血のりでべっとりと濡れていた……。

*****
南国とお化けはミスマッチな感じがするが、なぜかシンガポールにはお化け話が多い。
霊感が強いという同僚いわく、「お化け?多いわよ。このオフィス(シェントンウェイの某ビル内)を出た通路の角にも、たまに女の人の幽霊が立っているわ。知らなかった?」
(参考資料:『True Singapore Ghost Stories』Flame Of The Forest Pte Ltd 刊)



1999年1月号/Vol.61

日本であろうが、海外であろうが、そしていつの時代も、”子どもを育てる”ということは、本当に大変なことと思います。
この当時の連載コラム「シンガポールの子育て」(著:梓 淑子)より、パパママに1件メッセージをお送りしたいと思います。1999年1月号P.15に掲載されたコラム記事です。



☝記事内容

シンガポールの子育て


『子育て』というのはどれが正しくて、どれが間違っているかということは、一概に言えないことだと思うし、子供の性格、家庭環境など、いろいろな理由で、おのずと育て方も違って当然だと思うのです。ただ、先輩たちの体験を聞く時、これはうちの子の場合に適応できる、これはちょっと違うかな、などと自分で答えを見つけていくことは出来ると思うのです。

私の場合は外国での出産と育児、自分が育った環境と異なった所での最初の育児は、相当のプレッシャーで、すべてが手探り状態の上、本から得る知識と現実とのギャップで、ほとんどノイローゼ寸前?だったと思います。

そういう状態の私を救ってくれたのが、話というか、いわゆる愚痴を聞いてくれた先輩と、その頃ちょうど観光でシンガポールを訪れた知人(と言っても親ぐらい年の離れた方ですが)の『女の子は、ただただ可愛い可愛いと育てればいいのよ』という言葉でした。

じゃあ、男の子はどうしたらよい、と言われるとちょっと返事に困るのですが、男の子だって、女の子だって、育てる基本はまず愛情ではないかと思うのです。そんなこと、今更言われなくても分かっている、と思われるかも知れませんが、これが案外忘れていることが多いのです。

例えばの話ですが、子犬、子猫はどんな種類でも条件に可愛いですよね。 それが思いがけない大きさに成長した時、驚きと戸惑いを感じるということがあると思います。

人間の子供にも同じことが言えるのではないでしょうか。
あんなに可愛く、親の思う通りになっていたのに、いつの間にか自己が芽生えて親の思いが通らなくなる。そんな時、可愛いと思っていた気持ちをどこかに置き忘れてしまう のです。

可愛いと思う気持ちと愛情は同じ線上にあると思うので、親がふとこの気持ちを忘れた時、子は敏感に感じるのではないでしょうか。そして、たいていの親は、自分が子供と同じ歳だった時のことも忘れてしまっていて、最初から大人だったように振る舞ってしまうけれど、子供の目線まで自分を下げてみると、案外自分の言っている矛盾に気づかされるものです。

海外、国内にかかわらず、親の気持ちが安定していることが、子供にとって何よりの栄養素だと思うのです。胸にたまった話を聞いてくれる友達、あるいは先輩がいてくれたら、10冊の育児書を読むよりも、よりよいことを教えてくれるのではないでしょうか。



1999年3月号/Vol.63

次にご紹介するのも、子育て関連の過去記事です。
1999年3月号P.4に掲載された「1年生のお子さんをもつお母さんに聞きました」という先輩ママのインタビュー記事です。この当時、取材にご協力いただきましたママさん、ありがとうございました。



☝記事内容

1年生のお子さんをもつお母さんに聞きました


Q.お子さんが小学校に通うようになって変わったところは?
「授業が始まって(椅子に座って先生の話を聞くようになったので)、長い間落ち着いていられるようになりました」


Q.日本の学校と違うなぁと思われた点は?
「一年を通じて水泳の時間があります。体操着がなく私服で体育をするのには驚きました。もちろん着替えはもたせます」

「バス通学かしら。まだ薄暗いうちに家を出るんですよ。帰りは当番制で子供たちをピックアップ・ポイントまで迎えにいきます」

「掃除は日本のように毎日することはないようです。でも、全くしないというわけではなく、たて割り学級などで掃除のノウハウも少しずつ学んでいるようです」

「あまり、日本の学校と変わらないですね。家庭訪問もありますし、日本人学校ですから」


Q.いじめの心配はありますか?
「こちらにいらっしゃっている先生はとっても熱心。(いじめの問題に)とっても敏感に対応してくださるのでとても安心です」


Q.ランドセルは買いましたか?
「一年生は教科書も大きく、お弁当や水筒を持っていかなければならないので、ディバッグの方が便利です。バス通学ですし、ランドセルだと置くところにも困るみたい」


Q.お弁当を毎日作るのは、大変ですか?
「初めの頃は5時に起きて頑張っていました。目が2時とか3時に覚めるんですよ。気になって熟睡できなかった頃もありました。 最近は大分慣れて、6時位に起きています」

「バスも教室もクーラーが効いているので、 特にいたみにくい物を、と気を配らなくても大丈夫そうです」

「毎日5時半に起きています。でも、5ドル弁当という便利なものもあるんですよ。朝、学校に着いてから注文するとお昼に届けてくれます。都合でお弁当が作れなかったり、寝坊した時にも安心です」

「一週間違ったメニューで、5ドルと9ドルの2種類があります。低学年には量の少ない5ドル弁当がいいみたい。この間試食に行ったんですけれど、なかなか美味しかったですよ。金曜日が一番美味しいといううわさです」


Q.新1年生をもつお母さんにアドバイスをお願いします。
「バスも学校もクーラーが効いているので、登校時から何か一枚羽織るものを着せるといいですよ」



1999年7月号/Vol.67

次にご紹介するのは、1999年7月号P.12に掲載された「南の国のお医者さん」より、上記記事にも出てきている”エアコン”に関わる病気。常夏のシンガポールでは、一年中お世話になる”エアコン”。当地で気を付けたい2つの事例をご紹介します。



☝記事内容

南の国のお医者さん
エアコンに関わる病気のこと


1、冷房病
エアコンの冷気に当てられて起きる冷え、頭痛、吐き気、めまい、倦怠感、腹痛、神経痛、月経不順、ほてりなどの体の変調を冷房病と言います。
日本では夏場のオフィスなどでよく問題になりますが、エアコンの強い建物が多い当地では一年中つきまとう問題です。

一日中オフィスで過ごす人や中と外を出入りする人の中には、日頃から悩まされている人が多いことでしょう。また、普段の生活の中でも、ちょっと立ち寄ったショッピングセンターなどで強烈な冷気に当てられたときや、寝るときにエアコンを切り忘れた翌朝などは、体調がおかしくなることがあります。

冷房病が起こるのは、そもそもからだが夏型の気候に適応した状態にあるためで、温度差の激しい冷気に当ることによって皮膚血管の収縮による血行変調や自律神経系の変調が起こり、それによって前述した様々な症状が現れてくるのです。

また、発汗機能、つまり体温調節機能もくるってくるので、エアコンの効いた室内に長くいると、外に出たときに暑さにうまく順応することが出来なくなって熱射病にかかりやすくなります。

さらに、体が冷えると抵抗力が弱まって夏風邪にかかりやすくなるとも言われています。外気温がいくぶん下がる雨季には、ビルのセントラル・エアコンの強さは調節されずに屋内が一層冷やされることが多いので、特に注意が必要です。

冷房病を避 けるためのヒントを下に挙げてみましたので参考にしてください。 ・エアコンに当たるときは薄着、 肌の露出を避け、冷風が直接当たらないように気を付ける。
・映画館や公共の建物の中に行くときは一枚羽織るものを持って出かける。
・温度を下げすぎないように、また、長時間当らないように心がける。
・寝るときはタイマーを利用。


2、ホコリアレルギー(鼻・結膜アレルギー、気管支喘息)
家庭内には人間の生活によって生じた様々なホコリがたまりますが、この中に目にみえないくらい小さなダニがいます。寝転がったりしてホコリと一緒にダニを吸い込むと、アレルギー体質の人の中には喘息発作を起こす人がいたり、また、目の結膜アレルギー、鼻アレルギーなどを起こす人もいて、なかなか厄介です。

これらを避けるには、普段から頻繁に掃除を行なってホコリを極力少なくするしかありませんが、エアコンの存在も忘れてはなりません。エアコンをつけると風でホコリが舞い上がってこれを吸い込んでしまうからです。

ですから、床や卓上の掃除のほか、衣装箱の上など、目の届かないところにたまったホコリも忘れずにふき取るよう心がけましょう。フィルターの掃除の際はブラシを使った水洗いを行ないたいものです。

また、部屋を閉め切ってホコリがたまるとダニにとって絶好の環境となりますが、エアコンは外部と空気の入れ替えをしませんので、使わないときは窓を開放して空気の入れ替えを行なってください。

なお、エアコンにも色々なタイプがありますが、アレルギーのある人は、アパート選定の際には風力や温度など細かな調節機能が付いてフィルターのしっかりした型の新しいエアコンが備わっているところを選ぶようにしましょう。
(情報提供: ジャパン グリーンクリニック)



1999年9月号/Vol.69

次にご紹介するのは、1999年9月号P.3-5に掲載された、この当時の「シンガポールの医療事情」の記事です。20年以上前のことになりますが、医療現場の基盤がこの当時からあったことが伺えます。知っておきたいシンガポールの医療事情について、ご紹介します。
※この当時の情報となります



☝記事内容

家庭の医学
知っておきたいシンガポールの医療事情




シンガポールの医療のしくみ

■ クリニックとホスピタル
日本でいう開業医(診療所)がクリニック、病院がホスピタルにあたるでしょう。日頃から健康についての相談をしたり、どこか具合が悪くなった時にまず診てもらうというのが第一次医療です。そこでむずかしい病気だと分かれば、大病院や専門医を紹介してもらい、さらに高度な治療を受けます。


■ 第一次医療
日本では内科、外科、皮膚科、耳鼻科など、患者がどのクリニックに行くかを判断しますが、シンガポールではその必要がありません。むしろ素人考えで初めから専門医を訪れることは避けた方が賢明です。

健康省(Ministry of Health)はホームドクターとなるクリニックで行われる第一次医療を重視しており、HDB(公営住宅)の敷地内などにポリクリニックと呼ばれる公立の診療所を設けています。

ポリクリニックでは民間のクリニックより低料金($10~$15)で診察が受けられます。18歳以 下の子供と学生、65歳以上の高齢者の診療料金は、さらに半額になります。シンガポール国民を対象としたものですが、外国人でも診察、診療は受けられます。


■ ポリクリニックが提供する医療サービス
・外来診療
・健康診断(乳がん、子宮がん検診も含む)
・産前、産後のケア
・家族計画の相談
・子供の発育検査
・健康に対する理解の促進
・デンタル・ケア
・老人医療
・リバビリテーションや日中看護サービス



Institute of Healthのビル内には各種の医療関連機関が入っている。健康理解の促進を目的として開設された東南アジア初の健康教育センター「Helthzone」では、マ ルチメディアやハイテク技術を使った展示やデモンストレーションが行われている。


■ 政府系の病院には与えられた課題が……
政府系の病院には、健康省から割り当てられた「得意」分野があります。
例えば国立大学病院(National University Hospital)には研究と教育、
KK産婦人科・小児科病院(KK Women’s and Children’s Hospital)にはその名の通り産婦人科と小児科、
タン・トクセン病院(Tan Tock Seng Hospital)には脳卒中の治療など、
力を入れる分野が定められています。こうすることで医療水準をまんべんなく高めることができます。


■ シンガポールの医師たちは大変な勉強家
日進月歩の医学についていくため、シンガポールの医師はCMEと呼ばれる専門教育を継続して受けられるようになっています。専門の研究施設を持つ病院などがクリニックの医師を対象に、各種のセミナーや研究発表会を開催します。医師たちは、これらに参加することで最新の医療情報が得られるほか、専門医とのパイプを作ることができ、自分の患者を適切な医師に紹介することが出来るようにもなります。


■ 医療ハブを目指して
健康省は「シンガポールをアジアの医療センターに!」と、提案しています。
シンガポールの医療レベルが他の東南アジア諸国に比べて高く、医療環境が整っているため、最近では中近東から治療に訪れる人も増えています。

例えば、宗教によって治療方法が異なる場合でも、複合文化国家シンガポールなら適切に対応できます。また、海外で医療経験を積んだ医師が多いことから諸外国の医療事 情に詳しいこと、医療費が適切であることなども外国人の患者を受け入れやすい環境を作っています。日本語の通じるクリニック、日本人医師のいるクリニックもあります。シンガポールは、外国人の診療ができるアジアの医療センターとして、大きな期待を担っています。


シンガポールがん協会

■ がん協会って何をするところ?
シンガポールがん協会(Singapore Cancer Society)は、がんの正しい知識を広げる目的で、1964年、非営利団体として設立されました。一般向けの講演会や展示会の実施、各種パンフレットの作成を通してがんの予防に力を入れています。肺がん患者の八割が喫煙者である事実を重視し、禁煙講座を開設していることなどが分かりやすい例でしょう。また、がんの早期発見のための無料検診や患者への精神的・物理的支援、がん研究への資金援助なども行っています。


■ 無料診断が受けられます
同協会では、がんの早期発見のため、がん検診を行っています。検診は性別、人種、国籍を問わず原則として無料です。特に乳がんや子宮がんの早期発見・治療を推進するため女性に検診を呼びかけています。がんが発見された場合のその後の対処方法についても相談にのってもらえます。


■ 患者支援
がん患者への支援もがん協会の重要な活動です。患者同士の集会を主催したり、経済的(ローン)・物理的(車いす、病院への移動など)な援助、電話によるカウンセリングなどを必要に応じて行っています。ホスピス・ケアでは、医師と看護婦ががん患者とその家族を定期的に訪問し、精神的・物理的な支えを提供しています。このような活動はすべて無料で行われます。



1999年7月号/Vol.67

次にご紹介するのは、シンガポールならではの中医学のお話で「薬膳」について。
まずは1999年7月号P.19に掲載されました薬膳❶の記事をご紹介します。



☝記事内容

シンガポールの食材
薬膳❶


中国料理には薬膳という分野があります。シンガポールの家庭料理にも多くの薬膳料理が取り入れられていますが、「薬」という字から感じるのは「くすり」そのもので、「薬膳」というからには、漢方薬がしこたま入っているのだろうと思ってしまいがちです。

でも、そういう訳ではないのです。
食材にはそれぞれ役割があって、その組み合わせをうまくすることで健康な身体を維持できることもあって、要はバランスのよい食事をすることで、すでにある意味での薬膳を家庭でも食していることになります。

ただ、そのためには、多少の知識を持つことは必要で、それが分かることで食卓を整える気持ちの中にちょっとした変化を覚えるかも知れません。

ただし、食卓は楽しくしなければいけません。いちいち「これは○○によいから食べなさい」 「これは××によいから食べなさい」と言われたのでは、食べる方は、それこそ「くすり」を食べさせられているようで落ち着かないことでしょう。

また、それを食べたからといって、一気に健康になり、ポパイのように力こぶができるものでもないので、一般の家庭では「食事は楽しくバランスよく」ということを日々こころがけるのが一番効果的な「薬膳食」だと思います。

ということを踏まえた上で、
家庭での「薬膳食」の基本となる「漢方の食の考え方」について、ちょっと触れてみましょう。

食品を酸味(酸っぱい)、苦味(苦い)、甘味(甘い)、辛味(辛い)、䶢(かん) 味(塩辛い)と五つの味に分けて考えるのが食の考え方です。梅やレモンを酸味、にがうりやカブは苦味、スイカやさつまいもは甘み、からし菜やらっきょうは辛味、ワカメや昆布は䶢味というように、実例をあげると分かりやすいかと思いますが、これを漢方では「五味」とよんでいます。

「五味」は味の違いばかりではなく、それぞれに異なる働きをするとされています。たとえば、よく知られているように、甘味は疲れを癒す作用があり、辛味には身体を温める発汗作用があるというようなことです。

また、それぞれの味は吸収される場所が異なり、酸味-肝(肝臓)、苦味-心(心臓)、甘味-脾(脾臓=消化器系)、辛味-肺、䶢味-腎(腎臓)に入って、そこから身体に作用されていくものとされています。

したがって、これらの食品をバランスよく摂取するということはとりもなおさず薬膳食をいただいているのと同じ意味合いになるわけで、それを多少強調して、悪いところ、弱っている部分を食で補おうというのが薬膳料理ということになります。(次号に続く)
※参考資料 薬膳で健康になる=新星出版社



1999年8月号/Vol.68

引き続き、シンガポールならではの中医学のお話で「薬膳」について。
1999年8月号P.21に掲載されました薬膳❷の記事をご紹介します。



☝記事内容

シンガポールの食材
薬膳❷


前号では五味について書きましたが、このほか、薬膳料理には <四気>あるいは<五性>というのがあります。

これらは、食べ物がからだの中に入ったとき、どのような性質をあらわすかによって、からだを温めるものは「温」と「熱」、反対に「涼」と「寒」、どちらともいえないものを「平」 というように分ける方法もあります。

それぞれをからだを温める働きの順に並べると、「熱」「温」「涼」「寒」の順になり、これを<四気>あるいは<五性>とよんでいます。

<四気>に属する食品を知っておくと、風邪でからだがほてっている時は、きゅうり、トマト、カニ、アサリ、といった「涼」もしくは「寒」の食べ物を食べればよいというように応用できますから、覚えておくと、日常の食事に薬膳を取り入れることができ、健康管理に役立ちます。

【四気の分類】


【五味の特徴】
●甘味
からだの衰えを癒し、緊張をゆるめるとともに、痛みを取る作用があります。私たちの日常生活でも、疲れると体が甘いものを要求するというような経験がありますね。また、甘いものを食べた後は気持ちが落ち着き、イライラが納まるということもよく知られています。

●辛味
からだを温め、発汗作用があるとされ、風邪ひきの前兆のときには、しょうが、にんにくなどを利用した料理や飲み物で、体を整えるとよいといわれます。また、唐辛子などの香辛料が体内で耐菌作用を発揮することも分かってきました。

●酸味
体内から出すぎるものを調節し、止める作用があります。たとえば寝汗、尿の出すぎ、ひどい下痢などを防ぐのに効果的です。ただし、酸味の食品には食べすぎると収縮する作用があるので、もともと発散傾向の少ない人には注意が必要です。

●苦味
不要なものが体内に侵入するのを防ぎ、水滞(スイサァ:水のたまるところ。お腹や尿道)をかわかし、かためる作用があります。熱証状態(ルゥツン:からだがほてって、体内に熱がこもったような状態)や体内に湿気がこもっておきる病気のときに有効です。また、熱のために口が渇き、気分がいらだち、目が充血したり、暑熱にあたりによいとされています。

●䶢味
体内のかたくなっているものをやわらげ、 からだをうるおし、下す作用があります。ただし、䶢の食品を取りすぎると腎の働きを弱めるので注意してください。(次号に続く)



1999年9月号/Vol.69

引き続き、シンガポールならではの中医学のお話で「薬膳」について。
1999年9月号P.22に掲載されました薬膳❸の記事をご紹介します。薬膳についての記事は、こちらで最後です。



☝記事内容

シンガポールの食材
薬膳❸


二回にわたって薬膳について述べてきましたが、読んでみると「なんだ、薬膳といっても、私 たちが日常口にしているものばかりではないか」ということにお気づきの方もいると思います。

そうなんです。薬膳料理だからといって、難しく考えることはなにもないのです。
早い話が、夏バテには土用のうなぎにしても、冬至にかぼちゃを食べると中風の予防になるということも、梅干しが身体によいということも、薬膳につながります。
また、古くから伝えられている食べあわせの教訓や、薬味なども五味の特徴、四気の分類とは無縁ではありません。

このように意外なところで、私たちは五味や四気に接しているのですが、それを知識としてではなく、習慣としていたために、大事なことを見逃していた感があります。そこで、これを機 会にちょっとだけ、献立を考える時に意識してもらえたらというのが私の願いというか理想です。

実は、なぜ、野菜や料理の連載を始めたか、また、なぜ料理教室を始めたかという理由に、私自身の健康があるのですが、私は日本で生活していた時は病気ばかりしていました。それが、シンガポールで生活するようになってから、ほとんど病気知らずで過ごしています。

ある時、ふとそのことに気がついて思い返してみると、日本で母が作る食事をしていたころは、好き嫌いばかりで我がままを通していました。一人暮らしをするようになると、朝抜き、外食、偏食の毎日です。これでは健康が維持できるわけはありませんね。

ところが、シンガポールに来てからは、否応なくしっかり朝食を食べさせられ、このクソ暑い 最中に、熱いスープを飲まされる、コテコテの料理を食わされる、こりゃ胃がもたれて死ぬわ!と思ったのに、死ぬどころか病気もしない。

ハテサテ不思議?……と思ったところあたりから、姑の作る料理と料理を勧めながら話してくれる講釈に興味を持ち、それから積極的に姑の話を聞き、それに関連した資料を集めるようになったのです。

調べるほどに、知るほどに、ナルホドな、と思うことが多く、中国人の「食」に関する合理性と、自然に逆らわないで「食材」を採り込む知恵に関心することばかりです。

そこで、そういったことのいくつかでも、皆さんに理解して利用してもらえたら、シンガポールでの生活に少しは役に立 つこともあるかと思い、この連載を続けています。

薬を飲むことは忘れても、食事を忘れることはほとんどないわけで、その日々の食生活を考えるということで、ある程度の健康は保てるということが、ある本に書かれていました。

そういえば姑の家で「あぁ、今日は一日パソコンを打っていて目がつかれた」と、ふと漏らすと、次の日は目に良い野菜の料理が食卓に並んでいました。息子(私の夫)が、毎日会議で遅い日が続くと、体力のつく漢方薬の入ったスープが出てきます。家族の体調に合わせた食事、それが、基本的な中国系の家庭の献立の中心となっています。そういった食生活の知恵を少しでも皆さんに伝えられたらと思っています。



1999年8月号/Vol.68

次にご紹介するのは、25年前からシンガポールで日本人の美肌をサポートし続けてきた「MARLY」のオーナーであり、エステティシャンの佐藤薫さんのコラム記事です。パルティのために、長きに渡り、美容についてのコラム記事をご執筆いただきました。

多くのファンに惜しまれながら、2021年10月末にお店は閉店となりましたが、書き続けてくださったコラム記事は、いつまでもいつまでも、ファンの方に読まれ続けます。
今回ご紹介するのは、コラム連載2年目を迎えた1999年8月号P.15に掲載された記事です。

☝記事内容

お肌のひとくちアドバイス 第24回


このコラムを連載させて頂いて早いもので二年になろうとしています。
コラムをきっかけにたくさんのお客様との出会いが広がり、共にスキンケアを考える日々です。

3年前(1996年)サロンを始めた当初は、基本のお手入れの勘違いから(特にモイスチャライ ザーを付けないケア)お肌を台無しにしている方が多く、サロンでアドバイスする私自身が当 たり前と思っているケアや知識が、お客様には新鮮に感じられるようでした。

パルティの読者の皆さんにも「当たり前のケア」を読んで頂こうと連載に至りました。
これからも新しい読者の方には分かり易く、レギュラーの読者の方には折に触れ基本を見直して頂きながら、いろいろな方面からスキンケアについてお話ししていこうと思います。

今回は「すりガラス」のお肌についてです。
お客様のお肌を説明する際に「お肌がすりガラスの表面のようでお肌が本来持つプロテクションが感じられません」と申し上げる事がたびたびあります。

すりガラスは触ってみるとざらつきが有り、細かい凹凸がある事がわかります。お肌が同じ様な状態でありますと、くすみがちでファンデーションを付けても今一つ化粧映えがしないでしょう。

クレンジングの際、肌触りはつるつるしているのに、クレンジング後肌が「すりガラス」だと思ったら要注意です。お肌のつるつる感はご使用になっている基礎化粧品によるコーティングによって感じられているだけです。

お肌そのものはディープクレンジングのし過ぎ、つまり油分も水分も不足しています。紫外線に対するお肌の保護力も弱まり、お肌はセンシティプで、しみ・しわを招いてしまう事は言うまでもありません。

過剰なディープクレンジングの原因に考えられるのは、洗顔剤の不適当や角質を落とし過ぎる 基礎化粧品(例えばホワイトニングのライン)の長期使用があげられます。

このようなコンディションは吹き出物が無く毛穴が特に汚れていなくても、お肌が荒れていると言えるでしょう。知らないうちに少しずつ「すりガラス」になっていくと、ご自身が気が付かない事もあるようです。

又、敏感肌質と似ていますが ケア次第で良好なコンディションを取り戻す事が可能です。徹底した保湿ケアが必要です。

☞近年の連載コラム記事は、こちらからご覧いただけます



1999年5月号/Vol.65

次は、この時期に連載していた「緒津のおすすめシンガポール」のコーナーで、今回、4か所のおすすめスポットをご紹介したいと思います。

1つ目は、1999年5月号P.8に掲載されました「インド人街散策」の記事です。今から20年以上前のインド人街は、どんな様子だったのでしょうか。さぁ、当時のインド人街へ出発ですよ!



☝記事内容

緒津のおすすめシンガポール
インド人街散策


リトルインディアは、最近、観光客にも気軽に歩きまわれるスポットになってきたが、まだまだ観光地というよりは、買い物に、食事にと活気みなぎり、生活の匂いのする街だ。


リトルインディア アーケード登場
入り口が四ヵ所で、十字路状の通りにインドのお菓子、手工芸品、衣装、小物、カレー粉、イ ンド映画のCDの店など軒を並べている。

私のお気に入りは、ここで見つけた青い象柄のバティックのテーブルクロス。骨董の蓄音機があったり、カラフルな継ぎはぎのピエロの帽子があったり、時として思わぬものに遭遇する楽しみもある。

この周りには、木彫りのブランコや象の置き物、重厚なテーブルなどを売る店、生活必需品はなんでもあるという何でも屋、そしてスーパーがあるのでプラーリと気軽な散策がお薦め。

スーパーに入れば、瓶詰めのマンゴーチャツネ、「アッチャール」=無理して訳すとインディ アンスパイシーピクルス。つまり、レモンを多種類のスパイスに漬けこんだ、いわゆる漬けも の(非常にスッキリした辛さでカレーのお供によく食べられる)、インドのお米(米から本格 的なカレーを作りたい方へ)、カレー粉、香辛料などが気がねなく見られる。

よくカレーについてくるうす焼き煎餅、パッパダンも買える。プレーンなものと黒胡椒入りピリ辛味のとある。(フライパンに薄く油をひき、さっと焼いて、出来上がり!)サフランが欲しい場合、店の人に聞けば、大概大事そうに机の中にしまってあり、出してくれる。


インド更紗ならここ
肌触りがよく、ジャブジャブ気軽に洗えて、使う毎に愛着がわいてくるインド更紗。
テーブルクロス、ベッドカバー、カーテンからドレスと使い道もいろいろだが、インド政府が経営しているという”Handlooms*(ハンドルーム)” は、値段も手頃で、土産屋と違って値段がつりあげられていないから、安心して買える。
*Handlooms(48 Serangoon Rd #01-18)※この当時の住所です

目移りして決めるのに時間がかかるくらい色もデザインもかなり豊富にあるため、シンガポールに住む日本人やヨーロッパ人に結構人気がある店だ。メーター売りもある。手作りで部屋を 飾るのが好きな奥さん方がよく買いに来るそうだ。

また、最近は手編みの素敵な壁かけや飾りものも少し入ってきた。以前は、表通りから離れた見つけにくい場所にあったが、最近セラングーン通りに引っ越してきた。インド人街の入り口、リトルインディアアーケードのあるところで、テッカマーケット(ズージャオセンター)に面している。



1999年7月号/Vol.67

引き続き、「緒津のおすすめシンガポール」のコーナー。
2つ目にご紹介するのは、1999年7月号P.8に掲載されました「ブキ ゴンバ」です。自然派好きにはおすすめのスポットではないでしょうか。



☝記事内容

緒津のおすすめシンガポール
ブキ ゴンバ


おにぎりしょって、水筒かけて、出発!
めざすは、ブキ ゴンバ

今回は、シンガポールの風景としては、ちょっと珍しい所へ行ってみましょう。
ゴツゴツした岩肌が切り立ち、水面にその影を落とし、中国の水墨画を思い出させるような名所が、なんとブキ バトの住宅街の中にひっそりと、あるのです。

MRTのN22、ブキ コンバ(BUKIT GONBAK)で下車すれば、歩いてすぐこの公園へ行けます。 MRTの車窓からもこのガケ山が見えます。シンガポール生活がちょっと長く、日本などの山野の景色から遠ざかっている方なら、きっとハッとすることでしょう。

湖と呼ぶには小さいのでやっぱり池でしょうが、カメがたくさん、ゆったりと泳ぎ、木陰の大きな石には、時おり散歩の人たちが寝転がり昼寝する姿も見られます。池の周りをゆっくり散歩ていると、あちこちに石のテーブルがあるので、お弁当を食べるのに最適です。

ちょっと前までは、この池でペットボトルを改造して、中に食パンなどのエサをいれて、池にほうり込み、小魚が入った頃合を見て、ボトルに縛り付けてあるロープをひっぱると見事、小さい魚がたくさんかかってきました。体長60cmくらいはある大きな魚を釣った人もみかけましたが、残念ながら現在は釣りはしてはいけないようです。

釣りは出来なくても、小さいお子さんから小学校低学年のお子さんなら、駅から元気に歩いて、駅の正面にあるスタジアムなどを見学し隣の公園まで歩けます。道々、芝生の上で鬼ごっこしたり、カメに餌をやったり、池の周りをぐるっと歩いて散策したりと、子供も親も結構楽しめます。

もし、子供さんが小学校中学年以上なら、MRTの地図を与えて、どこから乗って、もしかすると乗り換えがあって、何時に出発して、帰りは何時、などと計画させるのも面白い。どんなに間違っても、 MRTは直線なので行き過ぎれば、戻れます。主導権を渡された子供の目は、ランランとしていて楽しそうです。3~4時間もあれば、楽しく遊んで帰って来れるでしょう。

駅の正面にあるスタジアムには、「ゴンバ ブルズ」のホームスタジオという看板が出ていまし た。今月も地元のサッカーリーグが繰り広げられているようです。



1999年9月号/Vol.69

引き続き、「緒津のおすすめシンガポール」のコーナー。
3つ目にご紹介するのは、1999年9月号P.11に掲載されました「パシス・リス・パーク」です。子連れでお出かけするには、最適なスポットですよ。



☝記事内容

緒津のおすすめシンガポール
パシル・リス・パーク


おもいっきり遊んで食べるパシル・リス・パーク
海辺の公園、パシル・リス・パークには、子供がおもいっきり走りまわり、体を動かして遊べる運動公園と、海に面してバーベキューピットやビヤガーデンなどがあり、家族揃って楽しめる。


= まずは運動公園で=
ここは、もちろん入場無料。だれでも入れる。こんもりと繁った木の下に、子供用のアスレチックが設置されている。プラスチックではなく、木材使用なので、木の温もりがうれしい。人気ナンバーワンは、古いタイヤにぶらさがっての端から端まですべるコーナー。

くねくね曲がる丸太のシーソーの上を、バランスよく丸太わたりするのも楽しい。幼児でものぼったりできる騎兵隊の砦や小屋もある。一番むずかしいのは、ロープのジャングルジムだろう。登るたびにロープは動くし、のびるし、おまけにだれかが動けば、急にロープが揺れて、自分の思い通りにつかめない。腕や足の力と忍耐力がかなり必要だ。
とにかく、よじのぼったり、すべったりと子供達が夢中になること、まちがいなしだ!


=貸し自転車、インライン、BBQ=
カーパークEの近くにパシル・リス・リゾートという小屋がある。ここで自転車やローラーブレードが借りられる。1時間につき自転車は小供用が$2~5、大人用が$5~7。インラインは$6~7。潮風をきって走るのは気分爽快。景色が最高である。

海に面してテーブル、ベンチが設置されているBBQピットも、この小屋で申し込める。使用料は$20。お昼の2時から翌朝8時まで使える。平日ならすいているので直接行って借りられるが、週末は1カ月前から予約しないと、むずかしい。前もって直接行き、好みの場所にあるピットを 直接指定して、お金を払っておく。


=キッズ・カンポンと タッチ・プール=
貸し自転車屋の隣りにあるキッズ・カンポンでは、アヒルに餌をあげたり、エビつり、小魚すくいができる。子供1時間$8。バケツとあみは$2.5。

海辺のビアガーデンを通って、もう少し先きに進むと、キオスクがあり、そこにタッチ・プールという小屋がある。小型の池にきれいな水が流れ、そこには大きなヒトデ、スティングレー、ウニ、なまこ、よーく見ると龍の落し子、色鮮やかな小さい熱帯魚が泳いでいるのだが、

文字通り、この中に手を入れて魚達に触れることができるのだ。 もちろん、つかんでも水から外に出してはいけない。生命を大切にしながら、やさしく触れることを体験できる。子供にはとてもいい所だ!と思った。

別な小さな水槽には、グルッパ、パロットフィッシュがおり、ここでは、つり糸をたらして釣ることができる。(つり糸含みで$4.5/15分)。釣った魚は、バッチなど記念品と交換で、持ち帰えれないが、釣る楽しさが味わえる。

ケロン(海の上に小さな小屋を建てて生活)のモデルも設置されている。平日は、午前11時~~午後6時まで営業なのだが、平日はほとんど客がこない為、しめている。金・土・日曜は午前11時~午後10時まで営業している。(火曜は休業)


=ビアガーデンとフードセンター=
砂浜にはビアガーデン、フードセンターがあり、洒落たテーブルが並び、「ん?ここはシンガポールだっけ?」と思うくらい、リゾート気分になれる。ビーチバレーを楽しむ若者達も見られる。



1999年12月号/Vol.72

引き続き、「緒津のおすすめシンガポール」のコーナー。
最後にご紹介するのは、1999年12月号P.11に掲載されました「スンゲイ ブロー ネイチャーパーク」です。コロナ禍で公園に出かける機会がぐーんと増えたと思います。まだこちらの公園に行かれていない方は、ぜひ、訪れてみてください。



☝記事内容

緒津のおすすめシンガポール
スンゲイ ブロー ネイチャーパーク


ネイチャーパークへ行こう
前回見逃したキングフィッシャーが見たくて、本格的に双眼鏡を使って鳥が観察できるところを探してみた。今はやりのインターネットでバードウオッチング、渡り鳥と見ながら探し出したのが、スンゲイ ブロー ネイチャーパークだ。

毎年、9月から3月までシベ リア、中国、日本、台湾などから400万から600万羽の渡り鳥たちが三万キロの旅路を飛んで、シンガポール、オーストラリアへ向かってやってくるそうだ。渡り鳥のほか、ここではマングローブの木に生息する熱帯の生き物たちを観察できる。


巨大トカゲ、現わる!
「ワニだ!」と叫ぶ声に、その方を見ると全長70cmくらいのワニの様な生き物がゆったりと泳いでこちらにやってくる。岸辺に重そうな体をうち上げのっそりと歩く姿に私達は息を呑んで、カメラのシャッターをきる。

私達から2メートルくらいのところまでやってきて、また池に戻っていった。公園の入りロで$2で買ったガイドブックを見ると、マラヤンウオーターモニター、ともモニターリザードとも書いてある。トカゲの一種だ。公園に入ってすぐの、この遭遇に大変気をよくして足取りも軽く公園の中へと進んでいった。


双眼鏡と忍耐
両側にうっそうと木が茂る小道を歩いていくと、小さく四角い覗き穴があいている木製の塀が立っている。塀の向こうは水辺で、鳥たちが餌をついばんでいる。塀にはそこから見られる 鳥、魚、貝類の絵と名前が描いてある。

もう少し進むと今度は小屋(ハイド)がある。小屋には、細長く小さい窓があいてあり、その前 には長椅子があり、数人の観測者たちが双眼鏡で向こうを覗いている。

小屋の中は、ひっそりとし、時折涼しい風が小さい窓からさっと入り込んでくる。びちゃっ、と魚が飛び跳ね、水面に輪ができる。

待つこと5分。さあっと色鮮やかな青い鳥が目の前を横切った。キングフィッシャーだ!今度は、しっかり見た!!

水辺に茂る森の緑、青空にくっきりと浮かぶ雲の白い色、そして素早く飛ぶ美しい青い鳥の姿が目に焼き付いた。

もっと沢山、観察するのには、じーっと静かに待って、待って、待たなくてはならない。 忍耐が堪忍だと思った。普段は短気で待つのが嫌なくせに、鳥をうきうきしながら待っている自分に気がついた。そうこうしている内、小屋には小さい訪問者達がどやどやと入って来た。退散することにした。


野生がいっぱい
小道を歩き始めると、私の相棒が、木々の間に小さな鳥が居るのを見つけた。どうやらハトの一種だ。小道の両脇の木々にも、こういった生き物たちが居るのを見落としていた。

この道は、ハイキングコースではないのだ。よーく目を凝らして見れば、変わった植物も咲き、昆虫も居るのだ。うかうか、歩いてはいられない。すべてを見ながら歩いたら一日かかってしまうぞ、と思った。

今度来るときには、鳥か、魚類か、植物か、何を見るか決めて、徹底的に、そしてたっぷりと時間をかけて観察すれば、可成の収穫を得るのは間違い無しだ。小さい子どもが居れば、前もって図鑑でこれを発見するぞ!と目標を持ちあえば、かなり楽しいネイチャーウオッチングになるはず。

その上、子供たちに、生き物を大切に観察しあうマナーも身をもって教えることもできる。時折、大きな声を出して歩いたり、生き物たちを脅かしたりする大人や子どもがいたのは残念だった。みんなで自然を大切にしたい。この次には、木登りする魚、マ レッドスキッパーを見に行きたい。



1999年12月号/Vol.72

1999年最後にご紹介するのは、1999年12月号P.6に掲載されました「2000年になる前にやっておきたいこと10」という過去記事です。

1999年12月号は、記念すべき2000年になる1か月前の号。
それほど役立つ情報というわけではないのですが(笑)、時代を感じさせるフレーズが多かったので、往時を振り返りながらお楽しみいただけたら幸いです。



☝記事内容

2000年になる前にやっておきたいこと10


2000年まで秒読み段階に入りました。
新年を迎える前に、何かをやっておきませんか。パルティが提案する10の「やっておきたいこ と」、いかがでしょう。


①今年話題になった本を読む
「沈まぬ太陽」「五体不満足」「日本語練習帳」「買ってはいけない」「たれぱんだ」など今年もいろいろな本が話題になりました。まだ読んでいない本に挑戦してみましょう。


②降りたことのないMRTの駅を訪れる
日常の行動範囲って、案外限られていませんか。馴染みのないMRTの駅に降り立って、見知らぬ街を散策したら、思わぬ発見があるかもしれません。


③思いっきり汗を流す
ついつい運動不足になりがちな毎日。今年が終わる前に、思いっきり汗を流して身も心もリフレッシュしてみましょう。某地元タレントによれば、身体を引き締めるには縄跳びが最適とか。スポーツだけでなく、住まいのモップがけでもかなり汗をかきます。サウナもスッキリして爽快。


④食べたことのないローカルフードに挑戦する
せっかくのシンガポールライフ。”シンガポール通”を自認する方でも、食べたことのないローカルフードがありませんか。パルティのA級B級グルメ片手に馴染みのない食べ物に挑戦してみましょう。


⑤スピード・クッキングに挑む
日頃、料理と縁のない男性や外食がちな方も、たまには簡単クッキングに挑戦してみましょう。パパが作る料理は、チビッ子も大好きです。パルティで好評連載だった「まる子のシンプル・クッキング」「ローカル・クッキング」がお役に立ちます。


⑥大切な人に感謝の気持ちを伝える
夫や妻、ボーイフレンドやガールフレンド、日本にいる家族、親友……。大切に思っているあの人に、感謝の気持ちを伝えませんか。ちょっとした小さなプレゼントや花束に、思いを込めたカードを添えて贈りましょう。


⑦一人になって自分を見つめ直す
たまには、仕事や家事に追われる生活から少し離れて、一人静かに自分を見つめ直してみましょう。今年嬉しかったこと、悲しかったこと、反省することをゆっくり考えて、来年の活力へと結び付けられたらいいですね。


⑧自分にプレゼントを買う
思いきって自分にプレゼントを買ってみませんか。 これまで頑張ってきた自分へ、自分からの贈り物。リボンも忘れずに!


⑨銀行決済や請求書を保存する
今年は度々「2000年問題」が論じられました。念のため、12月の銀行決済関連や、電話代・光熱費などの請求書(2000年1月支払い分)は保存しておきましょう。なお、シンガポール・テレコムは、混乱回避のため、12月27~31日の支払い(銀行引き落とし)を、1月5日決済に延期します。今年は、大晦日前に余裕をもって現金を用意しておいた方が無難です。


⑩パルティにファックスを送る
バルティ編集部は、皆様からのご意見、ご要望をお待ちしております。お気軽にファックス (294-0948) をお送り下さいね!

\編集部コメント/
1999年に話題になった本は、『沈まぬ太陽』『五体不満足』『たれぱんだ』……。また、最後の「⑩パルティにファックスを送る」という項目も、なんとも時代を感じますね。


※広告は当時のものです

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