#Child Raising

【モンテッソーリから学ぶ幸せ育児】
自然からの宿題

自然からの宿題

~子どもを自由に解き放ち、観察してみましょう~

花の球根を子どもに例えて、モンテッソーリ教育を理解すると分かりやすいとよく言われます。


外見からでは何色の花の球根かは見分けられませんし、周りがいくら望んでも花の種類や色を変えることはできません。子どもも同じで今やるべきこと、習得すべき事柄とその時期、将来咲かせる花の色は子ども本人に最初から備えられています。しかし私たち大人はそれが分からず、他の子と比べたり、苛立ったり……。「1歳になったのにまだ歩けません」「2歳になったのに喋らないんです」と。


球根は冬を越し、春になって時期が来ないと芽は出ません。日本の農業が優れているのは植物を科学的に捉え、研究者たちが知識と理論をもって栽培しているからだと聞いたことがあります。モンテッソーリ教育が他の教育法と違うのは、マリア・モンテッソーリが「医学博士として」人間の発達や傾向性に着目し、それを上手に生かしながら個の育つ力を引き出す環境とやり方を確立したことです。


マリア・モンテッソーリがローマ大学初の女性医学博士となったのは1896年のこと。「女性」というだけで様々な壁にぶつかり、認められないと社会の不条理を経験しました。その後、知的障害児の治療教育に携わり、また幼児教育者としてモンテッソーリ教育法をつくり上げていきます。当時のイタリアは、ファシズム指導者ムッソリーニの独裁権力で支配され、スペイン戦争、第二次世界大戦へと向かいました。


このような時代を生き抜いたマリア・モンテッソーリだからこそ子どもの尊厳を守り、教師が先導して子どもたちを十把一絡げに動かすことに警鐘を鳴らしたのです。


「今、この子どもに何をすべきか?」
そう悩むお母さまは、どうぞ子どもを自由に解き放ち、よ~く観察してみてください。今日この子が成し遂げようとしていることは、この子自身が自然からもらっている宿題。子ども自身が自分の課題に向かって頑張っているのです。静かだなあ~、と思ったらとんでもないいたずらをしていたり、大人にとっては迷惑なことをしているかもしれません。その子どもがやりたい、触りたい内容を上手に木の玩具などに置き換えたものが「モンテッソーリ教具」です。モンテッソーリ教育の現場では、一斉教育はしません。先生が子ども一人ひとりを観察し、適切な時期に必要な教具で遊びながら学べるよう、援助をしています。


やりたいことを見つけてしっかりと関わり切った子どもは自信に満ち溢れ、穏やかになります。そんな子どもは、自身の心の中にある平和を確立し、周りのお友達に気を配ったり親切にできるように。これこそ、マリア・モンテッソーリが望んだ平和。支配と戦争の時代に生きた彼女が未来の子どもたちに託した希望です。


オランダにあるマリア・モンテッソーリの墓碑銘には、「愛する全能の子らよ、人類の世界平和のために、私と力を合わせよう」と記されています。子どもは幸せな大人になる使命を持って生まれてきています。私たちができる一つひとつの環境作りから子どもたちが大輪を咲かせられるようにと願ってやみません。





教えてくれたのはこんな人

三杉ももよ
AMIモンテッソーリ乳幼児国際コース卒。
Xaver Universityモンテッソーリ初等教育専攻卒。
日米星で本物の教育を追求し続け30年。
3言語教育実施園 ARTS JUNIOR MONTESSORIPRESCHOOL園長。

Arts Junior Montessori
11 Chang Charn Rd Shriro House #02-02
☎ 6272-1332/9185-8804(日本語可)
Email: artsjuniormontessorijap@gmail.com
www.artsjuniormontessori.com
FB: Arts Junior Montessori

◆ 対象年齢:18か月~6歳
◆ 週2日$900~、週5日$1,200~
◆ 英語・日本語・中国語の3言語環境

2か月からの「乳児クラス」や未就園児「ピカソクラブ」、
小学生のための英語モンテッソーリ放課後クラス「π-club」もあり。
※ピカソクラブ:毎月第3火・木 実施( 教材費+おやつ代 $10)
※π-club:月~金 13:00~19:00、土 7:00~14:00  週2回~週6回/$260~$600

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