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【佐藤さんの住宅探し】
~敷金の回収②~

住宅を家主に返却する際の注意点

不動産仲介業者の山田さんが、コンドミニアムを見学している佐藤さんに、シンガポールで住宅を探す際、退去する際に気をつけることを解説しています。

今回のテーマも、敷金の回収

前回までのポイント

● もし機会があれば既に帰国した人に家を返却した際のトラブルの確認をしてみる
● 敷金は契約書上、家を返却してから2週間以内に返還することになっているが、修理費用等の額を巡って交渉になることが多く、実際にはそれ以降の返還となる
● 返還金額が確定したらなるべく小切手を直接取りにいくようにする
● 敷金がなかなか返還されない場合には少額訴訟手続が有効


敷金回収についての法的な手段を解説しています。
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佐:少額訴訟について教えてください。訴訟と聞くと結構大変なのではないでしょうか?
山:そうですね、訴訟というと何かとんでもなく大変なように思われますが、 いわゆる仲裁裁定と言った方がよいかもしれません。
佐:なるほど、ときどき仲裁裁定としてArbitration Clauseを契約書に入れると聞いた事もありますが、それと同じようなものでしょうか?
山:仲裁裁定としてArbitration Clauseを契約書に入れるケースもありますが、それはかなり本格的な訴訟に近く、弁護士などにお願いしないとできないものです。仲裁裁定とはいうものの、ほとんどまさに訴訟に近いもので、費用もかかります。


佐:そうすると少額訴訟とどう違うのでしょうか?
山:少額訴訟の場合にはスモールクレームコート(Small ClaimCourt)に申請するもので、基本的には契約に基づき請求書を送ったにもかかわらずその金銭を支払わないようなケースがほとんどですが、この敷金回収にもご利用できます。


佐:どのような手続きでしょうか?
山:まずこの制度を利用できるものは、支払期限が来てから1年以内のものであること、また1件あたりの金額が$10,000以下であること、と言われています。


佐:敷金ですから$10,000を超えるようなこともあると思いますが、その場合はどうすればよいのでしょうか?
山:スモールクレームコートでは基本的に$10,000分までの部分でしか仲裁をしてくれませんので、越える部分については対象となりません。しかし、実際に裁判所から出頭命令を受けると相手方はそのための時間を取られたくない、あるいは裁判所から呼び出しがかかる、ということでその時点で結構敷金の回収が上手く行くケースがあります。


佐:なるほど、裁判所から呼び出しがかかるとちょっと大変そうですから敷金を払ってくれるのですね。どのようにこの手続きをすれば良いのでしょうか?
山:1件当たりの申請費用は$100で、問題となっている状況についての、簡単なレポートが必要です。
佐:なるほど、それほど難しいわけではないのですね。
山:そうですね、後は裁判所が出頭日時を相手方に通知して呼び出してくれます。もしこの呼び出しに応じない場合には再度出頭命令を出してくれます。さらにこの呼び出しに応じない場合には本格的な訴訟になりますが、申立人がこの手続を踏むことで相当有利になります。


佐:もし相手が出頭してきたらどうなるのでしょうか。
山:申立人と相手方がそれぞれ一人ずつ仲裁人を交えて話をして、仲裁人が双方の事情を聞いて提案します。
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今回のポイントは5つ!

ポイント1:● 少額訴訟は通常請求の未払いについて利用されるが敷金の回収にも有効な手段

ポイント2:● 問題が発生してから1年以内の案件に限る

ポイント3:● 1件あたりの額は$10,000以下

ポイント4:● 手続費用は1件当たり$100

ポイント5:● 簡単な状況のレポートが必要




教えてくれたのはこんな人

高野 徹
TOKIO PROPERTY SERVICES PTE LTD/TRE 21 PTE LTD
82年東急不動産入社。93年からシンガポール駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sg もしくは takano@pacific.net.sg まで