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【佐藤さんの住宅探し】
~敷金の回収③~

住宅を家主に返却する際の注意点

不動産仲介業者の山田さんが、コンドミニアムを見学している佐藤さんに、シンガポールで住宅を探す際、退去する際に気をつけることを解説しています。

今回のテーマも、敷金の回収

前回までのポイント

● 少額訴訟は通常請求の未払いについて利用されるが敷金の回収にも有効な手段
● 問題が発生してから1年以内の案件に限る
● 1件あたりの額は$10,000以下
● 手続費用は1件当たり$100
● 簡単な状況のレポートが必要



敷金回収についての法的な手段を解説しています。
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佐:少額訴訟は敷金回収のために有効なのでしょうか?
山:まず裁判所から呼び出しがかかることで、家主さん側はちょっとびっくりして、裁判などせずに早く決着しようとします。
佐:なるほど、裁判になるといろいろ面倒だと思うのですね。
山:そうです。そのため、まずこの通知が届いた時点で懸案事項が一気に解決して敷金の回収ができる、ということです。


佐:それでも、その通知を無視したらどうなるのですか?
山:少額訴訟裁判所は再度その通知を出すことになり、この通知を無視すると、本当の裁判になった場合に少額訴訟の請求者に相当有利になります。


佐:その通知に応じて裁判所に先方が来た場合にはどうなるのでしょうか?
山:少額訴訟といっても、実際の裁判ではなく、仲裁人とそれぞれの代表者の3人で話し合うことになります。
佐:なるほど、仲裁人がそれぞれの言い分を聞いて判断してくれるのですね。
山:申し上げましたように、これは裁判ではなくあくまでも仲裁ですので、この決定に法的拘束力はありません。


佐:そうすると、もしこの仲裁人の言うことを聞かずに、そのままにしたら次は本当の裁判で争うことになるのですね?
山:そうですね、もし裁判になるようですと、この仲裁の結果も裁判に反映されることになります。もし2回の呼び出しに全く応じなかった場合も、裁判では訴えを起こした側に有利に働きます。


佐:実際のところ本当に裁判になるのでしょうか?
山:敷金2か月分がどのくらいの金額かによりますが、通常正式な訴訟を準備するだけで数万ドルかかりますので、なかなか裁判にはなりにくいのが現状です。
佐:そうすると、借りている側が相当不利ですね。
山:そうですね、滅多にありませんが貸し手側が最初から裁判にはならないと高をくくって、全く返却しないつもりでいる場合には回収はかなり難しいと思われます。しかし一般的にはこのような家主さんはあまりいないので、この少額訴訟のどこかのタイミングで決着することが多いようです。


佐:そうなんですね。最後に敷金をきちんと回収してくれるかどうか、というところまで考えると家主さんがどのような人かということが相当重要ですね。
山:はい。あとはなるべく家主さんともめないように、家を返却するときのことを考えて日常の手入れをきちんとすることだと思います。
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今回のポイントは7つ!

ポイント1:
● 敷金が返金されない場合には少額訴訟の手続を取ることが有効

ポイント2:
● この少額訴訟のための裁判所から呼び出しがあった段階で
敷金回収ができることがある

ポイント3:
● 少額訴訟は仲裁裁定のため法的拘束力はない

ポイント4:
● 本当に裁判になったときには訴えを起こした側に有利に働く

ポイント5:
● ただし実際には敷金の額に比べて訴訟費用の方が高いので
なかなか裁判にはなりにくい

ポイント6:
● どのような人が家主であるかを確認して住宅を決めるのがベスト

ポイント7:
● 家を返却する際に家主さんとなるべくもめないように注意して住宅を使用する




教えてくれたのはこんな人

高野 徹
TOKIO PROPERTY SERVICES PTE LTD/TRE 21 PTE LTD
82年東急不動産入社。93年からシンガポール駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sg もしくは takano@pacific.net.sg まで