前回のポイント(今後の賃貸住宅賃料相場)
● 現時点では賃料の動きはそれほど大きくない
● 中期的には下がる傾向にあると思われる
● コロナ終息後は香港の影響もあり不動産売買賃貸ともに上昇に転じる可能性が高い
サービスアパート市場
今回は現在のサービスアパートの状況について、不動産業者の山田さんが説明します。
佐:今、来星している方は政府の指定施設に14日間隔離をしてから、ホテルやサービスアパートにしばらく滞在して住宅を探す人が多いようですが、サービスアパートの市場や利用状況はどうなのでしょうか?
山:最初の頃は、コロナの隔離施設として政府指定で利用できるサービスアパートもありましたが、最近では自宅扱いでの隔離施設として利用されているところも一部あります。ですが、サービスアパート側でその場合は受け入れてくれないところもありますので、注意が必要です。
佐:賃料などはどのような状況でしょうか?
山:通常のコンドミニアムがほとんど個人家主であるのに対して、
サービスアパートは法人家主がプロの家主として運営しているため、市場動向には敏感で稼働率を上げるために値下げをしているところが多いようです。
佐:そうするとサービスアパートは現在借り得、という状況ですね。
山:そう言えると思います。ただ一部サービスアパートは
このコロナが終息した後に賃料は間違いなく上がるとみて、1年しか契約してくれないところもあります。
佐:なるほど、来年は多分ワクチンができて、コロナが終息することを見越しているのですね。
山:はい。ですので、
もしサービスアパートを現在ご検討されているのであれば、なるべく長期の2年契約を結んでおいた方が得であると言えます。
佐:サービスアパートにそんなに長く住めるものなのでしょうか?
山:皆さんサービスアパートはハウスキーピングサービスや朝食がつくホテルのようなもので短期・中期で利用するもの、とお考えの方が多いようですが、実際にはホテルより住宅に近いものです。
サービスアパートを借りるご予算があれば一般コンドよりもサービスアパートをお選びになった方がよいでしょう。
佐:それはどのような点からでしょうか?
山:サービスアパートの方が良い理由はハウスキーピングや食事があることだけではなく、次のような理由があります。
❶ シンガポールの建物、什器備品、設備は壊れやすくしょっちゅう修理が必要なため、サービスアパート以外だとその度に住宅で待機する必要がある。
❷ その修理業者の対応がルーズで、時間通りに来ない、修理がその日にできないなどの問題がある。
❸ 一般コンドミニアムはほとんどが個人家主で、問題が起こったときにシンガポールにいない家主(たとえシンガポール人でも)が結構いるため、修理対応がスムーズにできない。
❹ その個人家主はほとんどが投資家で、不動産保有の費用を最小化するために、テナントの状況に関わらず修理見積もりをたくさん取って、なかなか修理が進まない。
佐:なるほど、基本的に住まいの
アフターケアが全然違うということですね。
今回のポイント
ポイント1
● 最近のサービスアパートの賃料は下がり気味なので、借り得感がある
ポイント2
● コロナ終息後、確実にサービスアパート賃料は上昇
ポイント3
● サービスアパートの利点は入居後の問題がきちんと解決できるということ
教えてくれたのはこんな人
高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg