前回のポイント(コロナ感染拡大の影響と今後③ ―賃料)
● 現時点での明らかな賃料下落現象は起きてはいない
● シンガポールにいる外国人の滞在が延びている可能性が高いため、新規賃貸住宅の供給が滞っている可能性がある
● そのため人気物件が出るとわりとすぐ決まってしまう
● 長期的には不景気になるのでやがて賃料も下落傾向がはっきりしてくるものと思われる
● 賃貸住宅の所有者が個人であるため傾向が出るのに時間がかかる
法人家主の賃貸住宅とサービスアパート①
今回は、法人家主の賃貸住宅とサービスアパートについて不動産仲介業者の山田さんが佐藤さんに説明します。
佐:賃貸住宅の所有者が個人ということで賃料変動の傾向が遅れる、とのことですが、法人で賃貸住宅の所有者というケースはあるのでしょうか?
山:
シンガポールでは一般賃貸住宅の法人家主さんはほとんどいません。あるのは$10,000以上の高級物件で、一般的な駐在員の方がお借りできる案件は数件しかないのが実態です。
佐:個人家主さんの対応は非常にばらつきがあり、いろいろなトラブルの際にスムーズにいかないと聞いていますが、そのような個人家主さんを避けるためにはどうすればよいのでしょうか?
山:数万件もコンドがあり、転売を重ねており、またそれぞれの個人家主さん側にいる不動産業者さんも個人ベースですので、私どもで
どの物件が良い家主さんかということを確認するのには限界があります。そのため、もし御予算に余裕がある場合には、多少面積が狭くなったり、大規模施設がなくてよろしければ
サービスアパートを選択する方法もあります。
佐:サービスアパートは短期の滞在用ではないのですか?
山:いやいや、日本人だけでなく欧米系の人も
対応が不安定な個人家主さんを避けて長期で数年滞在する人もいます。とくに家の問題で仕事を中断されたくない企業のトップの方々が長期でお住みになられているケースがよくあります。
佐:でもその人たちは単身赴任が多いですよね。家族で住んでいらっしゃる方はいるのでしょうか?
山:ご家族連れの方も結構いらっしゃいますし、1ベッドよりも
2ベッド以上のものを中心としたいわゆる家族向きサービスアパートもあります。
佐:なるほど、そうするとサービスアパートを選択する可能性もあるわけですね。ただ、一般賃貸住宅と比べると相当高いのではないでしょうか?
山:最近のオーチャード界隈の新築物件と賃料的にはあまり差がないケースもあり、
1ベッド/スタジオタイプですと$4,000台から、2ベッドでも$6000台から可能です。しかしタイミングとそれぞれの稼働状況により値段が動きますのでいつも同じ値段というわけではなく、アパートによっては四半期毎に賃料の見直しをしているところもあります。
今回のポイント
ポイント1
● シンガポールには日本人駐在員の住宅予算レンジの法人家主さんのコンドは数が少ない
ポイント2
● 良い個人家主さんを見つけるのは至難の技
ポイント3
● 法人家主一般賃貸住宅の代わりにサービスアパートを選択することも場合によっては可能
ポイント4
● サービスアパートは短期のみ、単身のみということではなく、長期で家族と居住する人も結構いる
ポイント5
● サービスアパートの賃料は固定ではなく、よく変動する
教えてくれたのはこんな人
高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg