前回のポイント(法人家主の賃貸住宅とサービスアパート①)
● シンガポールには日本人駐在員の住宅予算レンジの法人家主さんのコンドは数が少ない
● 良い個人家主さんを見つけるのは至難の技
● 法人家主一般賃貸住宅の代わりにサービスアパートを選択することも場合によっては可能
● サービスアパートは短期のみ、単身のみということではなく、長期で家族と居住する人も結構いる
● サービスアパートの賃料は固定ではなく、よく変動する
法人家主の賃貸住宅とサービスアパート②
引き続き、法人家主の賃貸住宅とサービスアパートについて不動産仲介業者の山田さんが佐藤さんに説明します。
佐:ある人から一般コンドミニアムでもサービスアパートがあると聞いたのですが、そのようなものはあるのでしょうか?
山:一部の不動産業者さんが<サービスアパート>として一般コンドミニアムを貸し出しているケースはありますが、これらは厳密にはサービスアパートではありません。
佐:どのようなことでしょうか?
山:
サービスアパートは政府から最低1週間から貸し出すことができるライセンスを取得していますので、まずこのライセンスがなくてはサービスアパートとして貸し出すことはできず、ライセンスなしで1週間から貸し出すと違法となります。
ライセンスがない場合には最低賃貸借期間は3か月からとなります。
佐:そうすると借り手側でもちゃんとライセンスを持ってサービスアパートとしているのかを確認する必要がある、ということですね。
山:そうです。そのため
シンガポールでは基本的に短期リースを取り扱うようなAirbnbは業務ができません。もう一つのポイントは一般コンドミニアムで<サービスアパート>としていても貸主はその住宅を持っている訳ではありません。
佐:その住宅の所有者でないのに貸主なのですか?
山:このような場合は
転貸と言い、本当の所有者からその住宅を他の人に貸すことを前提に借りている、ということです。
佐:なるほど、そのような契約で住宅を借りていて大丈夫なのでしょう
か?
山:通常のケースと比べると法的にはやや
不安定な状態と言えると思います。もし転貸をしている会社(サービスアパートのライセンスは保有している)と本当の所有者との間でなんらかの問題が発生した場合、
実際に部屋を借りているお客さまに何も問題がなくとも、トラブルに巻き込まれることになります。
佐:例えばどのようなことが想定されるのでしょうか?
山:例えばお客さまがちゃんと賃料を支払っているのに、その転貸をしている会社が家主に賃料を支払っていないような場合、元の契約が解約されて、お客さまも急に出て行かなくてはならなくなる、というようなことも理論的には起こります。そのため、
一般コンドミニアムをサービスアパートとして紹介しているような場合、それを貸している会社がどのくらいちゃんとしているのかをライセンス以外にも調べなくてはなりません。可能であれば、本当の家主さんとの契約書も見せてもらった方が良いかもしれません。
今回のポイント
ポイント1
● 一般コンドミニアムでもサービスアパートとして紹介されている物件がある
ポイント2
● 貸している人がサービスアパートとして貸すことができるライセンスを持っているかどうかを確認しなくてはいけない
ポイント3
● 本当の家主が別にいる<転貸>の形式での契約になる
ポイント4
● サービスアパートのライセンスがないと賃貸借期間は最低3か月となる
ポイント5
● サービスアパートとして貸している人の信用度の確認が必要となる
教えてくれたのはこんな人
高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg