前回のポイント(賃料上昇が続くコンドミニアム)
●昨年の同時期と比べて同じ物件の賃料は約20%、ひどい場合は50%も上昇していることがある
●賃料の額にかかわらず借り手が仲介手数料の負担を行わないとご紹介できる物件がかなり限定される
●借り手がディプロマティッククローズによる早期解約を行った場合、借り手が早期解約ペナルティを確実に支払う必要がある
賃料上昇が続くコンドミニアム 3
引き続き佐藤さんが不動産業者の山田さんに話を聞きます。
佐:これまでは借り手は手数料を払っていなかったのですか? 私は会社が手数料を払っているものとばっかり思っていました。
山:賃料が安い場合や短期のケースなどは借り手が手数料を支払っているケースも時々ありましたが、多くのケースでは家主が家主側の業者さんに支払った手数料を借り手側の不動産業者と折半していました。
佐:そうですか、借り手の側に立って仕事をしてもらっているのに、家主側からお金をもらうとは少し変ですね。
山:そうなのですが、これまでの市場慣行でそのように行われていました。それが今、完全な家主市場になったことにより、賃貸住宅の取り合いが発生し、家主側不動産業者が借り手を選べるようになりました。そのため、家主側不動産業者が家主からもらう手数料を折半しなくてもよい借り手の業者を選ぶようになり、私どものような借り手側の不動産業者はお客さまに手数料のお支払いをお願いせざるを得ない状況となりました。
佐:なるほど、でもある意味借り手側の代理人としてきちんとした形になったと言えますね。
山:そのようにご理解いただけますと大変助かります。ただ、そうは言っても相変わらず需給は逼迫しており、自由に賃貸物件を選べるような状況ではありません。
佐:どういうことでしょうか?
山:申し上げたように明らかに供給が不足しているため、以前のように半日で6~7物件のご見学が全くできなくなってしまっています。
佐:そうですね、私の時は半日で数件ご案内をいただいておりました。
山:入居してからの追加要求は基本的に修理以外は家主が受け付けてくれないため、以前は細かく見ることができるように空室の物件でなるべく築年数の浅い住宅をご紹介しておりました。ですが最近は賃貸住宅の供給が不足しているため、誰かがお住まいの住宅をご紹介せざるを得ない状況となっています。
佐:そうなると、どのようなことが起こるのでしょうか?
山:現在の入居者の都合の合うタイミングでご案内しなくてはいけないため、お客さまのご都合で見学ができなくなります。また、その特定の日時に見学が集中するため、あっという間にその住宅を取られてしまいます。
今回のポイント
ポイント1
●現在の賃貸住宅市場では、借り手が不動産業者に手数料を支払わないと見学する物件がかなり限定される
ポイント2
●見学するほとんどの物件がすでに誰かが入居中のため細かく見学ができない
ポイント3
●見学日時が特定されるため多くの物件見学ができない
ポイント4
●限られた見学日時に多くの見学者が訪れるため、あっという間に誰かに取られてしまう
教えてくれたのはこんな人
高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg