前回のポイント(コロナ禍での物件見学)
● ようやく新規駐在員の増加が始まっている
● 賃貸住宅の決まり方が相当早く、1週間くらいで取られてしまうことが多くなってきている
● 日本人駐在員に人気の住宅賃料はまだまだ上昇が続く
賃料上昇が続くコンドミニアム
今回も引き続き、佐藤さんが不動産業者の山田さんに聞きます。
佐:現在、賃料が上がっているということですが、日本人駐在員の数は増えているのでしょうか? 私の身の回りでは帰国する人のほうが目立つのですが。
山:正確な統計数字はまだ出ていませんが、私どもの肌感覚でもご帰国される方の方がやや多いような感じがします。
佐:それなのに賃料が上昇するのでしょうか?
山:現在の賃料の上昇は日本人駐在員の数の増減はあまり関係なく、複合的な要素があると思われます。
佐:どういうことでしょうか?
山:➀以前と比べてシンガポール人の生活が豊かになりシンガポールの人たちが自分の住まいとしてコンドを購入して、投資賃貸に回さなくなっていること、➁公共住宅の入居が遅れておりコンドに一旦入居しなくてはならないこと(とくに結婚を控えた若い方々)、➂不動産価格の上昇のタイミングで自分の不動産を売却してとりあえず次を買わずに賃貸する人が増えたということ、などシンガポール国内のいわゆる実需と言われる部分が大きくなってきたことが考えられます。
佐:なるほど、それだけシンガポールの人たちが豊かになった、ということですね。
山:そうですね、でもそれだけではありません。コロナの収束に伴い、日本と比べて欧米とシンガポールの行き来がより活発になり、欧米諸国の人たちの賃貸需要が増えていること、香港からシンガポールに駐在員が移動してくること、などもその他の要因として考えられます。
佐:なるほど、日本の人以外の需要が大きくなってきている、ということですね。
山:さらに不動産価格自体が上昇しているため、以前と同じだけの投資利回りを確保しようとすると、当然賃料を上げざるを得ません。そのために賃料が上がります。
佐:それだけの理由があれば賃料が上昇するのは仕方がないですね。
山:これから楽観できないのは不動産の固定資産税、GSTが上昇しますのでそれらの値上げを見越して家主が賃料をより多く取ろうとしていることも今回の値上げが暫く続くと思われる要素としてあります。
佐:それは日本人駐在員にとってこれから結構大変な時期になりそうですね。
今回のポイント
ポイント1
●現在、コンドの賃料は上昇が続いており、当分続く可能性が高い
ポイント2
●理由として以下のことがある
➀以前と比べてシンガポール人の生活が豊かになりシンガポールの人たちが自分の住まいとしてコンドを購入して、投資賃貸に回さなくなっていること
➁公共住宅の入居が遅れておりコンドに一旦入居しなくてはならないこと(とくに結婚を控えた若い方々)
➂不動産価格の上昇のタイミングで自分の不動産を売却してとりあえず次を買わずに賃貸する人が増えたということ
ポイント3
●さらにコロナの収束に伴い、日本と比べて欧米とシンガポールの行き来がより活発になり、欧米諸国の人たちの賃貸需要が増えていること、香港からシンガポールに駐在員が移動してくること
ポイント4
●これらの動きに加えて、不動産価格の上昇、不動産維持費、GSTの上昇なども今後さらに賃料を押し上げる可能性がある
教えてくれたのはこんな人
高野 徹
82年東急不動産入社。93年から駐在、不動産仲介、エアコン保守を手がける。
01年東急不動産より会社譲渡を受ける。
また現在、野村不動産から資本を50%受け入れ野村不動産グループに。
その他、日本のリログループ、リログループの100%出資の米国リダック社とも業務提携(日本、米国、ヨーロッパ不動産賃貸)。宅地建物取引主任者、シンガポール不動産仲介業有資格。
お問い合わせは、takano@tokio.com.sgまで
www.tokioproperty.com.sg