mental care

【心ひも解くヒント】
ひとり時間の悩みは人それぞれ…

「膨大なひとり時間を持て余している」
「育児や仕事で全くひとり時間がない」

 
慣れない海外生活のなかでも、時間を有意義に過ごさなくては!と焦る日々 。ひとり時間の過ごし方に悩み、カウンセリングに来る方も少なくありません。そんな心のモヤモヤをポジティブに変える方法をお伝えします。


ひとり≠孤独

家族や友人とまったり過ごす週末、趣味の時間や旅行は楽しいですよね。
でも、ひとりで過ごす時間をいかに充実させ、心の充足や成長に充てることができるかが、本当の意味であなたがどれだけ穏やかで豊かな人生を過ごせるかには重要なのです。

現在、世界人口の約1/3が「孤独」を感じていると言われています。ソーシャルメディアの普及で、人々がバーチャルでは常に誰かと繋がっている社会です。にもかかわらず、孤独感を持つ人は、着実に増え、不安や鬱から、セラピーや投薬をしている人たちの数も供給が間に合わないほどです。

まず「ひとり= 孤独ではない」ということを理解しましょう。「ひとり」というのは、その場に1人でいるという“事実”ですが、「孤独」は主観的なもので、事実ではありません。
その証拠に、誰かといても「孤独」を感じたことはありませんか? また、大好きなバンドのコンサートに、趣味が合う人がいないため、あえて1人でも行って心から楽しむこともあるでしょう。

よって、どのように「ひとり時間」を捉えるかが、鍵になります。


ひとりは自由

読者の方のほとんどは、外国人としてシンガポールに暮らしていると想定すると、来星されたときは「ひとり」か、知る人は「家族」だけだったという方が多いでしょう。
「仲の良い友人、同僚、家族がここにはいない」→「自分は孤独だ」という思いに囚われると、それをストレスに感じ、何もなくても気持ちが落ち込んでいくものです。

しかし「(この機会に)ひとりでできる、楽しいことや、自分にとって意味のある時間の過ごし方は何だろう?」と考えてみましょう。周囲に気を遣わずに、妥協せず、時間や気持ちを好きなように使えるというのは「自由」を満喫できるということです。

ひとりをいかに楽しむか、そのためのヒントがあります。

①ひとりを孤独だと感じてしまう、トリガー(きっかけとなるもの)を一時的に、できるだけ身の回りから排除する


例えば、以前所属していたソーシャルメディアのグループチャットを見ない。
XXデーは恋人や友人、家族と過ごすべき、と植えつけられた概念を刺激させるような映画、雑誌を見ない
「そこ、ひとりで行ったの?」などネガティブなことを言う人に会わないなど。

②趣味がある人はそれに時間を使う
 まだ趣味がない人は何か新しいことを始めてみる


外に出なくても、家で読書やTVシリーズ・映画鑑賞をするなどでもよい。いつかやってみたかった習い事(楽器、語学、アート、ローカル料理)などはどうでしょう?

③自分を知ることに時間を費やす


この機会に、じっくりと時間を掛け、どんな人生を歩みたいのか、これから何を達成したいのか、何を変えたいのか、などを考えてみる。

上記のようなことに時間をゆっくり掛けられるチャンスは人生では、実はそうそうないものです。
「なぜ自分はこんなにも孤独を感じるのだろう」「なぜひとりで時間を過ごすことが、これほどまでに苦手なのだろう」というのもテーマになります。このポイントで、セラピーに来て、気付きや自己認識を得て、自己受容から人生の転機を迎える人もいます。

あなた次第で「ひとり時間」は、かけがえないものにもなります。


ひとり時間がない

さて反対に育児などで、ひとり時間が全くなくて辛いと感じている方もいるでしょう。
まずパートナーに今の気持ちを話してみてください。辛い気持ちを理解してもらえるだけで、心が軽くなるはずです。

もしパートナーの理解が得られないで苦しんでいるのであれば、ソーシャルメディアや育児サークルなどを活用し、同じ境遇の人たちと共感し合ったり、知恵を出し合うことで、「こういう状況の人は自分だけじゃない」というのを知ることも、助けになります。

可能であれば、パートナーの協力や、ベビーシッター、チャイルドケアなどを利用し、月に1~2回は、ひとりで出かけてみましょう。罪悪感を感じることはありません。これは、あなたがあなたらしくいるために必要な時間と考えるべきです。

普段したかった、カフェ巡り、ネイル、買い物など、その日はひとり時間を満喫してください。

リフレッシュできれば、きっとまた頑張る力が沸いてきますし、お子さんやご主人にもより笑顔で接することができますよ。


孤独からの脱出

もし孤独が真実の場合、あなたは誰からも、(私を)見てくれている(SEEN)、聞いてくれている(HEARD)、価値を見出してくれている(VALUED)という感覚が持てないのだろうと思います。
ここで、「ハッ!そんなことはない。少なくともXXは自分をちゃんと見てくれている」と気づけば、幸せなことです。

誰かと本当にコネクトするというのは、その相手とある程度の時間をともに過ごす必要があります。近道はありません。

勇気を出して、家族ともう一度向き合ったり、身近なところから人付き合いを始めてみましょう。



〈シンガポール在住の日本人の「ひとり時間」にまつわる相談例〉

● ご主人の帯同で来星し、仕事を中断したため、自分の存在意義を見失っている。
● 周囲に頼れる人がいなく、赤ちゃんと家に引きこもりで鬱状態。周りの日本人はエネルギッシュな人ばかりに見え、入りづらく物怖じしてしまう。
● 仕事に追われ、自分の時間が全く持てなくて空しい。





教えてくれたのはこんな人

山形千尋
BeeYrOwn心理士。(応用心理学修士・カウンセリング学修士)
オーストラリア・カウンセリング協会会員、シンガポール公認心理士。