#mental care

【心ひも解くヒント】
コンプレックストラウマと自己防衛の「4F」

戦う〈Fight〉、逃げる〈Flight〉
立ちすくむ〈Freeze〉、媚びへつらう〈Fawn〉
4つのモードがうまく機能できていないとき


私たちは、生活のなかで経験する対人関係のストレスに対し、バランスを取り、心の安定を促したり、問題を乗り越えるために4つの方法を知らず知らずのうちに使っています。
その4つの方法:戦う〈Fight〉、逃げる〈Flight〉、立ちすくむ〈Freeze〉、媚びへつらう〈Fawn〉を「4F」と呼びます。

例えば、戦うモードは、誰かが自分を利用しているときに、相手との間に境界線を引き、自分の権利を主張したり、自分を軽んじている相手 へ「ノー」を言うなどです。

これら4Fの全てに適切にアクセスでき、必要なときに必要な手段にて自分を守ることは、生きていく上で必要なスキルです。しかし生育過程での、虐待やネグレクトなどのトラウマがある場合には、生き延びるために4Fのうちの1つ、または2つ(その環境に合わせた方法)に過度に依存することを学習してしまうと考えられています。

それにより、成人しても4Fのうち学習してきたF以外へのアクセスができないため、問題や課題へ対処できる幅が狭くなります。習得できていないFが必要な状況になると冷静でいられず、緊張感や不安で心が“リラックス” できません。そうすると、子どもの頃に感じた不快な感情(恥ずかしさ、恐怖、怒り、失望など)から逃れるために、さらに自分に馴染みのFモードへの依存が高まっていきます。

『戦うモード』は、いつもイライラと怒っていた親が、そのままの自分を受け入れ愛してくれなかった過去から、相手に対して、怒りやコントールを通して、その相手を遠ざけ、密な関係を築くことを避けます。

『逃げるモード』は、対立や衝突に繋がる引き金を避けるために、慢性的に忙しくしています。仕事や趣味への過度な没頭はよい言い訳です。その後、通常の会話自体をも避けるようになります。

『立ちすくむモード』は、自分の世界や部屋に閉じ籠り、そこだけで事を完結しようとします。なぜならば、このタイプは基本「人は危険だ」「人は信用できない」と考えています。よって、一人でいることが安心なのです。

『媚びへつらうモード』では、人にどう思われているか、嫌われていないかが心配で、相手に過度に世話を焼こうとしたり、気を遣い犠牲を買ってでます。「なぜそこまで?」するのかといえば、ここまでしないと自分は価値がない、受け入れてもらえないという恐怖からです。表面的に温和な状態を確保することで、自分を深く探られず拒否されることを避けているのです。

気づいたと思いますが、4Fのどれもが、何らかの要求を満たす役割をしています。問題が分かれば、それぞれに適した対処法を学び、改善することもできます。




This Month’s Hint(今月のヒント)

どのFを持っているかを見極め自己判断するためには、何モードを使っているかを一定の期間観察し、その割合をみて見てください。親しい人に尋ねてもよいでしょう。上に記したように2モードを同程度使うハイブリッドタイプも多いです。




教えてくれたのはこんな人

山形千尋
BeeYrOwn心理士。(応用心理学修士・カウンセリング学修士)
オーストラリア・カウンセリング協会会員、シンガポール公認心理士。

BeeYrOwn Psychologist & Therapist
308 Telok Kurau Rd Vibes @ East Coast
☎ 9665-4572
Email: beeyrown@aim.com
http://beeyrown.blogspot.com
診療日:火、水、土(完全予約制)

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