#mental care

【心ひも解くヒント】
「ここでいいや」の潔さ

「準備しすぎ」の落とし穴 
~オーバー・プリペア~

妥協ができない完璧主義者や、「不安」が強い人は、常に先のことを考えて備えをしておきたいものです。もちろん重要な事象に対して、ある程度の準備をしておくことは大切ですが、今回はそれをし過ぎて、神経をすり減らしたり、常にそわそわしたりイライラしたりして、今を心穏やかに生きるのが苦手な人へのメッセージです。

このようなタイプの方は、入念な準備をどれだけやっても足りないと感じています。ですから、人生の大半を「準備」に費やします。周りが、どんなに「大丈夫」「十分」「どうにかなる」と言っても信じられません。

トイレットペーパーや、水を何ダースも買い置きをしてしまう方、仕事のプレゼンがあると他のことは一切できなくなくなる方、自分の中では正当化ができているでしょうが、この準備し過ぎ症候群によって、失っているものを考えてみましょう。

例えば、周囲の人や家族は、終わりのない準備ばかりしているあなたにうんざりしているかもしれません、そして、あなたの関心事が家族や恋人ではなく、実は「準備」だということに、がっかりしているでしょう(気づいていないのはあなただけかもしれません)。



人生の時間をどれだけ準備に使っていますか? 加えて「まだこれしなきゃ、次にあれしなきゃ」と常に考えているのでストレスから解放されず、心が休まる時間も失っています。さらには、家のスペースが狭くなったり、健康に害を及ばしたりもします。見た目では、苦虫を嚙み潰したような暗い表情が慢性的になり、老けやすいだけでなく、周りに人が寄り付きにくくなっているかもしれません。

あなたがここまで準備をする人間になってしまったのは、遺伝的なものもあるかもしれません。あるいは、過去に辛く苦しい経験をしてそうなったのかもしれません。でも、どちらもあなたのせいではありません。

一度きりの人生です。いつも心配して準備ばかりしているのは、疲れませんか?
それに、完璧な準備はいつまでやってもできないのです。自分としてやるだけやっても、実際にそれが完璧に近いアクションに繋がり満足することもあまりありません。目安は「7割」です。時間や程度で自分の基準を見直し、潔くそこで止め、そして失いそうなことを失わないようにする行動に時間を使ってください。得るものがもっと尊いことに気づくはずです。




This Month’s Hint(今月のヒント)

これまで築いてきたあなたの大切な価値観を手放すのは心苦しいかもしれませんが、程度を抑えることから始めてみましょう。




教えてくれたのはこんな人

山形千尋
BeeYrOwn 心理士。シンガポール心理学会公認心理士。
オーストラリア・カウンセリング協会員。
(応用心理学修士、教育カウンセリング学士)

BeeYrOwn Psychologist & Counsellor
308 Telok Kurau Rd Vibes @ East Coast
☎ 9665-4572
Email: beeyrown@aim.com
http://beeyrown.blogspot.com
診療日:火、水、土(完全予約制)

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