#Tokyo Trend#ライフスタイル

「ペット殺処分ゼロの世界へ!」
日本人女性がチャリティに込める思いとは?

みなさん、東京よりこんにちは。
ビューティ&ライフスタイルライターの石原有起です。

今回は、コロナの陰で世界中で問題になっている、ペットの殺処分とシンガポールでのチャリティ活動に焦点を当てたインタビューをお届けします。

2020年8月5日に“ペットの殺処分の実情を知ってもらうチャリティ”をメインの目的にイベントを開催したのが、2011年にシンガポールで起業後、9年を過ごされた渡辺真希さん。

日本帰国を前に、「シンガポール生活で得た恩恵を、この国を去る前に何かの形でお返ししたいと考え、“ペットの殺処分の実情を知ってもらうチャリティ”を目的としたガレージセールとオリーブオイル販売イベントを行いました」という渡辺さんに、当日の様子から活動の思いまで、インタビューさせていただきました。

活動のきっかけは、犬の殺処分の実情に心を痛めたこと

石原:渡辺さんが、シンガポールでペットの殺処分に関心を持たれたきっかけを教えていただけますか?

渡辺さん(以下、敬称略):2016年、「OSCAS」(2006年に設立された犬の保護施設) の譲渡会に、私が輸入を手がけるオリーブオイルを協賛させていただいたときに、シンガポールには約7000頭もの野良犬がいて、年間約1000頭近い殺処分が行われていることを知りました。(※2015年当時のデータ)シンガポールから他の国に引っ越す際、「連れて行けないから」と捨てていかれるケースもあるようです。

石原:そんな多くの野良犬がいるのですね。犬の保護施設である「OSCAS」は、どのような団体なのでしょうか?

渡辺:「OSCAS」は、2006年に設立された犬の保護施設 (非営利慈善団体)です。野良犬や殺処分対象となった犬が保護され、このシェルターで暮らしています。100頭を超える犬達の世話は全てボランティアの手で行われていて、餌代や医療費等は、寄付とスポンサーからの援助によりまかなわれています。

シンガポールにある、犬の保護施設の現状とは

石原:施設は、シンガポールのどのあたりにあるのでしょうか?

渡辺:以前は北東部にありましたが、現在はマレーシアとの国境近くのWoodlandsに移転しています。

石原:「OSCAS」にはどのような保護犬が暮らしているのですか?

渡辺:この施設には、人間に捨てられ、野犬として繁殖して捕獲された犬たちが保護されています。「OSCAS」の特徴は、高齢の大型犬が多いこと。HDB(シンガポールの公営団地)では大型犬の飼育は認められていないので、大型犬は小中型犬に比べ、引き取り先が限られます。「OSCAS」を通して新しい家族が見つかる犬もいれば、この施設で生涯を終える犬もいます。

石原:渡辺さんも、可愛いチワワを飼っていらっしゃいますものね。同じ犬なのに境遇が違うだけで辛い目に遭ってしまう現実を目にされて、自ら行動を始められたのですね。

渡辺:はい。愛犬と暮らしながら、犬も人間と同じ様な感情があり、喜怒哀楽を表情や声を変えながら表現していることを知りました。人間と同じなんです。それを知った今、殺処分される子たちがどんな思いでいるかを考えると、苦しくなりました。どんな犬にも幸せに生きる権利があり、殺処分されるために生まれてくる命などないと思うんです。3年前、「OSCAS」の活動と譲渡会についてFacebookに投稿した内容をご覧いただいた方が、その後ずっとシェルターのサポートをして下さっていることも知り、発信や行動の必要性を改めて実感し、今回の開催に至りました。(帰国直前となると、いつも以上に皆さん気にかけてくださりますから。笑)

チャリティー販売アイテムの売り上げは、全て「OSCAS」へ寄付

石原:今回チャリティでは、どんなアイテムを販売されていたのですか?

渡辺:多くの企業様からアイテムを提供していただきました。例えば、「terra Tokyo Italian」より小豆島のグリーンオリーブの実3ケース、$100バウチャー10枚、シンガポールの人気パティスリー「Pantler」のタルトタタン30個、日本酒の取り揃えがシンガポール随一である「KAMOSHITA」の店主三好氏によるおすすめの日本酒テイスティング券(5〜10種)、人気ジム「TPG」カリスマトレーナーによるパーソナルトレーニング券、おしゃれなハンドメイドマスク大人用・子供用各10枚、私の主宰する料理教室の「Buon Appetito」からはエプロンやトートバッグ(白黒2色)を各20枚、あらや商店「Goodvibes」からはオリジナルTシャツ……と、多くの協賛をいただきました。皆様にSNSなどでも広くお知らせいただきました。感謝しています!

石原:現在のご時世を鑑みたアイテムの販売も多かったのですね。渡辺さんの活動に賛同いただいたボランティアの方も、当日多くいらっしゃったとか。

渡辺:はい。新型コロナウィルス対策の”phase2”のルール厳守で開催したため、それぞれのブースを離して設置する必要があったので、各ブースを担当していただく方、人の流れをコントロールする方々の協力は不可欠でした。ボランティアの方々に対しては、レストラン「Esora」から美味しいランチをご用意いただきました。多くの方の手によって成り立ったイベントだと感じています。

石原:現在シンガポールは新型コロナウィルス対策で、一度に集まれる人数が制限されているなど、当日の対応も大変だったのではないでしょうか?

渡辺:会場の「cafe B」は3F建てなので、1Fはレストラン、2Fはチャリティースペース、3Fはオリーブオイル販売フロアとしていました。2Fと3Fはかなり広々としたスペースがありますが、万全を期し一度に4人までの入場制限を行うことを徹底。お待ちいただかなくて済むよう、1Fのレストランでお食事を取りながら空いたタイミングでご案内させていただくなど、工夫をしました。新型コロナウィルス対策「phase2」のシンガポール政府のガイドライン(2020年8月5日時点)を踏まえ、弁護士に当日の流れの確認を行い、徹底した管理のもと開催したので、安心してご来場いただけたのではないかと思います。

$2,500の募金に! “人、食、犬(動物)”の輪が広がることを願って

石原:多くの方の賛同があり、支援の輪が広がったのですね。

渡辺:たくさんの方々にご協力いただき、当日だけで$2,392(その後も寄付が集まり$2,500)の募金が集まりました。この場をお借りしてご協力頂きました各店舗の皆様、ご来場いただいた皆様、オークションにご参加いただいた方々、ボランティアでお手伝いしてくださった方々に、お礼を申し上げたいです。募金は8月10日に「OSCAS」を訪れ、代表の方に直接お渡しした後、私のSNSでも報告させていただきました。

石原:世界中の“食”に携わられてきた渡辺さんにとって、“命”はどのようなものでしょうか?

渡辺:“人、食、犬(動物)”は、私自身にとって大切な3つの柱です。全てに共通する“命”を中心に、”縁が円”として繋がるイメージが頭の中にありましたが、そのイメージをたくさんの方々にサポートいただくことで、シンガポールを去る前に形にできたことを幸せに思っています。なお、“人、食、動物”が輪になり繋がっている様子を見事に表現してくれたイラストは、現在パリ在住、元シンガポールのカリスマブロガーである友人シェフ、アラコさんによるもの。PCマウスのハンドライティングで作って下さった驚異の神業です! 遠くからご支援をいただき、本当に感謝ですね。

石原:遠くからも、多くの方が渡辺さんの思いに賛同されたのですね。最後に、イベントを終えた今のお気持ちをお聞かせください。

渡辺:9年間に及ぶシンガポール生活でしたが、この素晴らしい国と、出会った素晴らしい方々から受けたものはあまりにも大きく、到底お返しできないなと。そこで「pay back:恩返し」ではなく、ささやかながら「pay forward:恩送り」をしたいと考えていたので、見えないどこかで命のバトンとして引き継がれていけば良いなと思います。「OSCAS」の運営は、全てボランティアと寄付で成り立っています。(施設使用料だけで、月に1万ドルはかかるそう!)“adopt、donate、foster、sponsor、volunteer”と様々な形でサポートが可能ですし、毎年発売されている犬のカレンダーを購入するだけでも、サポートの一環となります。私の投稿やインタビュー記事に目を止めて下さることも、大きな意味を持つと思っていて。いただいた親切を別の人に新しい親切で送りつないでいくように、今後も命が繋がって行くことを願っています。

 

※人物写真:当日挨拶に来てくださったシンガポールで活躍されている日本人シェフの方々。
※「OSCAS」の関係者の方々。

 

<取材協力>
渡辺真希さん:「BuonAppetito」代表。2005年、高級イタリア食材専門商社勤務をきっかけにファインダイニングに魅了され、2011年にシンガポールに拠点を移し会社を設立。世界各地のレストランを巡りながら自身のSNSなどで世界のファインダイニング、スターシェフ、食材などの情報を発信する傍ら、普段は料理教室を行っていないミシュランスターシェフとコラボし、家でも再現しやすいレシピで料理教室を開催。今後は“人、食、動物”が、命を中心(核)に輪になるような活動を行い、下記アカウントで情報を発信予定。Instagramアカウント:@buonappetitooliveoil、 Instagram個人アカウント:@ebisuwako

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OSCAS

 

※2020年8月15日の記事です。
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