#Tokyo Trend#ライフスタイル

都心で温泉旅!「星のや東京」宿泊から考える
コロナ禍における旅のスタイル

みなさん、東京よりこんにちは。
ビューティ&ライフスタイルライターの石原有起です。

コロナウィルスの影響で、一部の旅好きやホテルラバーのみならず広く注目を集めることとなったのが「ステイケーション」や「マイクロツーリズム」の考え方。

「ステイケーション」とは、滞在を意味するStayと休暇を意味するVacationから生まれた欧米発の造語で、近場のホテル・旅館などで宿泊を楽しむ旅のスタイル。「マイクロツーリズム」も自宅から30分〜1時間ほどの場所に出かけ、温泉や料理、地域の散策を楽しみ、活力を取り戻す滞在型旅行のこと。遠出しづらい今のご時世にとって望ましい、旅の形です。

今回の記事では、東京・大手町にある「星のや東京」のマイクロツーリズムの提案を中心に、東京のホテル事情の体験をレポートします。

 

感染拡大防止と地域経済を両立する、観光のこれから

日本における“緊急事態宣言下”の4月下旬、旅館・リゾート運営大手の「星野リゾート」は、いち早く、グループ全体の衛生管理と3密(※)回避の新しい運営スタイルを明示しました。

※新型コロナウイルス感染症拡大期に、集団感染防止のため厚生労働省が掲げた言葉。密閉空間、密集場所、密接場面を指す。

星野佳路代表によると、今後の旅行・観光の需要回復には“3つの段階”があり、最初は、周辺地域を旅行するマイクロツーリズムが回復。次に、飛行機や新幹線などを使った大きな移動を伴う旅行、最後に戻るのがインバウンド需要、という順番となります。

まず現在の状況下で最優先されるのは、“3密回避=安全安心の旅”。それが選択基準のひとつになっている特殊な旅行需要が続きますが、「星のや」では徹底的な衛生管理と3密回避を両軸にサービスを強化し、安心して非日常を楽しむプランを構築。地域の人的交流にも注力しています。

 

「星のや東京」における、3密回避の滞在とは

まず、検温を済ませたら、直接お部屋でチェックイン(「星のや」「界」ブランドで実施中)。自宅から自家用車またはタクシーで訪れ、地下駐車場から玄関に向かい、直接客室に入り、人との接触を極力減らすことも可能。設備や食事の説明も、極力口頭での説明を減らし案内用紙やお品書きで行うなど配慮されています。

「星のや東京」では1Fで靴を脱いでから、スリッパを履くことはありません。館内では、エレベーターの中までもが畳! 段差がほとんどなくストレスフリーで、マスクをしていても畳の香りが感じられるほど。

アートギャラリーのようなダイニングは、地下1Fに。個室が6室と半個室が4室というプライベート感あふれる造りで安心して食事ができます。

とは言え、現在は、夕朝食ともに客室内で食事をする方が増えているのも事実。こんな時こそ楽しみたいのが、色とりどりのインルームダイニングメニュー。中でも木製のお重で運ばれてくる「星のや東京御膳」は、4種の前菜やサラダに加え、メインの肉ちらしが食欲をそそります。蓋を開けるときのワクワク感も楽しいですね。

翌朝の朝食も、夕食と同様に客室で。お部屋の障子に浮かび上がっているのは、江戸小紋の「麻の葉くずし」の格子。

周囲のビルからの目隠しと伝統を重んじたデザイン性の両面から、客室は江戸小紋の格子に囲まれているため、日が差すとなんとも趣のある雰囲気。太陽の向きや光の強さによって刻一刻と模様が変わるたびに気分が上がります。

「星のや東京」は、都心にありながら温泉に浸かれる、都市型の“日本旅館”。地下1,500メートルから掘り上げた温泉は黄金色で、ミネラルが豊富。現在は洗い場を減らして対応されているほか、チェックイン後の15:00~翌日の11:30まで入れるので、混雑する時間をずらしてプライベートなバスタイムを満喫できます。

2020年6月中旬からは、コロナウィルス対策で、温泉の混雑状況にスマートフォンで簡単にアクセスできるシステムを導入! 実際、混雑状況を把握してから大浴場に向かったら、他のゲストと顔をあわせることなく、癒しの時間を過ごせました。それにしても“自宅から車で10分ちょっとのビジネス街の真ん中で温泉に浸かっている”というのは、なんとも不思議な気分です。

 

24時間リビングのように寛げる「お茶の間ラウンジ」

2Fには、時間の経過に合わせて日本酒などを楽しめるラウンジがありますが、現在の状況下では、特にそれぞれの客室階のゲストだけが利用できる「お茶の間ラウンジ」の利用がおすすめ。

滞在中、小腹が空いたりのどが渇いたら、いつでもお菓子や飲み物がいただけるので、ワーケーションという形で長期滞在もしやすそう。冷蔵庫にはドリンク、冷凍庫には一口サイズのアイスクリームもあるので、お風呂上がりのクールダウンにも。

気軽に利用してほしいという宿の思いから、客室のドアにオートロックをかけず、行き来ができるタブがドアについています。これが便利! 私は「とらやのあずき茶」がお気に入りで、まさに自宅のリビングにお茶を取りに行くように、何度も利用してしまいました。

 

地元の魅力を再発見! 屋外アクティビティの充実っぷり

館内の感染症対策が万全である一方、通気性の良い屋外で行われるプログラムが充実している点は、「星のや東京」の大きな魅力。(別料金)

まず、気軽に圧倒的な開放感を味わえるのが、「東京絶景ナイトバスクルーズ(往復約1時間/2020年11月30日まで)」。2F建てのオープントップバス「スカイバス」の座席からは、360度に広がる景色が! 周囲の音や風を感じながら、心地よい東京観光ができます。身近な東京タワーも大迫力で、都内在住のゲストが8割を超える現在(2020年8月末)でも、人気を集めています。

宿泊ゲストだけの最大20名(通常定員50名)で運行中なので、感染症対策もバッチリ。東京都在住者には¥1,000の割引もありますよ。

また、神田・日本橋・人形町を人力車で巡る「人力車遊覧」は風情抜群! 宿の玄関前から街を知り尽くした「えびす屋」の俥夫から歴史を聞き、史跡を辿りながら街を進むと、何気なく歩いている地元の道が全く違った表情に見えます。

さらに同エリアの老舗を知り尽くした「お江戸マイスター」が、ゲストの要望に合わせて、食事や買い物、観光などを手配するサービスにも注目。街を巡りながら食べ歩きや買い物を楽しめるほか、館内にいながら老舗の思いや品々に触れたり、購入も可能です! こちらで体験できる、和小物作りのアクティビティもあります。(要予約)

今回は、食事を含め3店舗へ。創業から360周年を迎えた日本橋の和紙専門店「小津和紙」では、時代とともに私たちの生活をより豊かに発展させてきた和紙の歴史を学びました。

館内では、日時によって手すき和紙の製作体験や工程の実演を見られるほか、ギャラリーやカルチャースクールなど、楽しみ方はさまざま。

ランチ時には、創業は大正12年の老舗鮨屋「喜寿司(㐂寿司・きずし)」の暖簾をガラガラと。創業当時から江戸前鮨にこだわるものの、堅苦しさはなく「新しいお客様は大歓迎です。ふらっと立ち寄っていただきたいですね」と、4代目主人である油井一浩さん。外観は昭和にタイムスリップした感じの風情ある店構えで、もともと置屋だったそう。

さらに、明治5年から庶民の粋と伝統を守り育ててきた、ゆかたや手ぬぐい製造卸の「梨園染 戸田屋商店」では、伝統工芸の注染(ちゅうせん)という繊細な染め分けやボカシの技法について、取締役の風間勝己さんからお話を聞きました。

最近では、肌に優しい綿100%の「手ぬぐいマスク」も好評です。染め方にも表情が感じられる世界で一つだけのマスクは、使うほどに色がなじみ、やわらかく味わいのある風合いが生まれるとか。近隣の小学校にもこのマスクを寄付して、喜ばれているようです。

地元旅こそ、思いっきり贅沢な貸切クルーズを選択肢に!

とりわけ贅沢な屋外アクティビティが、約90分間の貸切“舟遊び”。

現在1日1組(2〜4名)限定で行われている「東京・秋の夕さり舟あそび(2020年11月30日まで)」は、日本橋桟橋から東雲運河を経由し、東京湾を巡るコース。

まず、お出迎えのお茶として、旬の果物を煎茶にブレンドした季節茶をサーブ。この日は梨のお茶で、フルーティな甘みがありながらさっぱりした飲み心地。

その後は、元禄3年に日本橋で創業した日本最古の煎茶商「山本山」監修の、味わいや香りの異なる煎茶5種類を、甘味と軽食にあわせて贅沢にも飲み比べ(1種類につき2~3煎まで)。

上品な香りと味わいが特徴の宇治茶などのほか、本アクティビティ限定の滋賀県の煎茶「朝宮茶」の透明感とキレのある味わいが、秋空の夕暮れを爽やかに彩ります。茶葉の特徴に合わせてお湯の温度や抽出時間にこだわりながら、一煎ずつ丁寧に淹れていただき、ほっこり。

屋外の開放的な桟敷席で、日本全国から厳選された煎茶と、日本橋・銀座の老舗で長く愛されてきた江戸前のちらし寿司と季節の甘味を味わいながら、秋の澄んだ美しい夕空、日没後には街の夜景をひとりじめできますよ。

もともと江戸の町は、物資や人を運ぶための高度な水運機能を持つ“水の都”として栄えました。水路を中心に問屋や市場が生まれたことで、周辺には飲食店が広がり、人々は水辺に多くの楽しみを見出したそう。“舟あそび”に興じることで、見慣れた東京の景色も、運河から見ると全く違った風景に見えるから不思議。

 

私自身、東京に長く住みながら知らなかった地元の魅力に気づかされた、今回の滞在。学校の休校や四季折々のイベントの中止など、新型コロナウイルスが地域経済に与える影響は甚大です。だからこそ、リゾート施設が地域の方々とのつながりを強固に保ち、新たな魅力を打ち出すことは、ウイルス拡散のリスクを減らしつつ観光需要に繋がり、地域経済にも貢献する意義深いものだと感じます。

現在、日本では「Go Toキャンペーン」というGo To トラベル事業に参加登録している旅行代理店や旅行予約サイト等を通じて予約するパッケージツアー(日帰り含む)で旅行代金が還元されるキャンペーンが行われています。しかし、感染者数の関係から東京発着の旅は除外に(2020年8月末現在)。

そんな状況から「都民の皆様に」と渡されたのが、こちらのTシャツ。ウィットに富んだ発想ですよね(笑)! 今後も工夫しつつ楽しみながら、Withコロナの旅のスタイルを模索していきたいものです。

今年は、近場で非日常を味わいながらリフレッシュし、地元の魅力を再発見する旅のスタイルを満喫してみませんか?

 

♯東京トレンドメモ

星のや東京

えびす屋

小津和紙

梨園染 戸田屋商店

※2020年9月1日の記事です。